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「ポケモンGO」上野公園・弁天堂で「全面禁止」後も利用相次ぐ、犯罪では?

2016年09月24日 12:51  弁護士ドットコム

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スマートフォンゲームアプリ「ポケモンGO」のレアなポケモンが出現する「ポケモンの巣」として知られる上野恩賜公園の不忍池(弁天堂)。昼夜を問わず、多くのユーザーが入り浸るように出入りしていたが、このほど「当境内地(弁天堂)に於ける遊戯はやむを得ず全面禁止」との掲示がされた。


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これまで、プレイヤーのマナー違反や迷惑行為などの問題が起きるたびに、弁天堂の関係者は注意を呼びかけていたが、一向に改善されなかったようだ。参拝者からの苦情もたえなかったため、9月18日をもって禁止に踏み切った。


9月24日午前、弁護士ドットコムニュースの記者が弁天堂を訪れると、境内のなかは人がまばらに行き交う程度だったが、中にはスマホやタブレットを片手に「ポケモンGO」をプレイしている人が散見された。境内でプレイしていた中年女性に声をかけると、「禁止のルールを知らなかった」と驚いた様子で、境内の外に出てプレイを再開していた。


特定の敷地内でスマホゲーム禁止ルールを破り、「ポケモンGO」をプレイすることは、法的に問題ないのか。足立敬太弁護士に聞いた。


●建造物侵入罪や不退去罪にあたる可能性

「『不忍池(弁天堂)の管理者は天台宗寛永寺です。住職など宗教に携わる方たちに向けた専門誌である『月刊住職』9月号の記事によると、天台宗ではポケモンGOへの対応は『各寺に任せる』とのことでした(8月20日現在)。ところが、これまでは静観していたものの、あまりにも目に余る事例が多かったので、全面禁止に踏み切ったものと思われます」


足立弁護士はこのように分析する。禁止された後も敷地内で「ポケモンGO」をプレイすることは、法的に問題はないのか。


「私有地への立ち入りの許否や、私有地内での行動の制約・禁止事項は管理者の判断で自由に決めることができます。


禁止事項を破るつもりで、黙って立ち入った場合であれば、建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立します。


さらに、管理者が遊技は禁止されているから止めるよう注意して、退去を要求したにもかかわらず、プレイヤーが留まった場合は不退去罪(刑法130条後段)が成立します」


境内のような開かれた場所も、建造物といえるのか。


「ここで言う『建造物』には建物そのものだけでなく『囲繞地(いにょうち)』、つまり、塀や柵で囲まれた庭などの場所も含まれます。


弁天堂の敷地は、池に浮かんだ小島状の土地にあります。場所によっては池と遮る柵すらない場所も見受けられますが、ほとんどは転落防止目的の仮柵などが設置されています。


この形態からすると、『建造物』に含まれる可能性は十分あるでしょう。建造物侵入罪は歴史的に見て緩く広く適用されています。大ごとになる前に止めるべきです」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
足立 敬太(あだち・けいた)弁護士
北海道・富良野在住。投資被害・消費者事件や農家・農作物関係の事件を中心に刑事弁護分野も取り扱う。ポケモントレーナーではなくIngressエージェント。
事務所名:富良野・凛と法律事務所
事務所URL:http://www.furano-rinto.com/