SF第3戦の富士でもサーキットを訪れた寿一。「きっちり見るのは今回が初めて」と言いながらも早速アドバイス。 今週末に行われるスーパーフォーミュラ第6戦SUGO戦で、SUNOCO Team LeMansに脇阪寿一が緊急参加。実質的な監督として早速、金曜日の占有走行から積極的にスタッフとコミュニケーションを取り、チームにアドバイス。これまでシーズンまさかの0ポイントの小林可夢偉に、大きな助っ人が加わることになった。
シーズン中の監督登録変更ができないため、肩書きとしては「ヘッドコーチ」としてスーパーフォーミュラのチームルマンに加わる寿一。しかし、実質的にはスーパーGTと同じ、監督としての役割が求められることになる。
今回は土曜日に都内でトヨタのイベントに寿一は参加することが決まっていたため、週末は仙台と東京を行き来し、サーキットには金曜と日曜に監督業を務めることになる。それでも、寿一ヘッドコーチのモチベーションは高い。
「急に決まった話なので、今回はスケジュール的にも体力的にも厳しいけど、求められている部分がある限り最善を尽くしたい。いきなり今回、何かできるということではないけど、まずはチームの空気を整流するというか、いい方向に変えることができればなと思っています」と、謙虚に話す寿一ヘッドコーチだが、初日の金曜からその効果はチームに現れているようだ。
チームルマンとしては、可夢偉が前回の岡山の2回の予選で2度のクラッシュをするなど、今季はまさかの0ポイントのままで、岡山のレース後には可夢偉はブレーキの違和感を訴えていた。チームとしても、岡山戦後に再度クルマをチェックしたが、やはりトラブルは確認できずなかった。これまでチーム監督兼、小林可夢偉を担当していた山田健二エンジニアが話す。
「ドライバー的に違和感があったかもしれないけど、チームが精査したところ大きなトラブルはなくて、その違和感の原因が分からないのは共通した認識です。ただ、タイヤのウォームアップを含めて、ドライバーがあそこでクラッシュしてしまうというのは僕たちもクルマのセットアップとしては反省しなければいけないところ。今日もいろいろ試してみて、明るい兆しは見えています」と、今回のSUGOが転機となることを示唆した。山田エンジニアにとっても、寿一ヘッドコーチの加入は大きな助けになる。
「今回からは寿一監督も来てくれているので、アドバイスもくれて明るい雰囲気になっています。『明日の予選の結果よりも、次につながればいいんだよ』と言ってくれるので、僕としてもすごく助かります。スーパーGTでも一緒にやっているし、やっぱり、ドライバーとふたりでずっと話しているだけではお互い悩んでしまうだけで、雰囲気も暗くなってチームとしても出口が見えなくなるときがありますからね」と、山田エンジニア。バランサーとして寿一の存在は大きいと言う。
寿一ヘッドコーチにとっても、初日の手応えは上々だったようだ。
「僕は全部、確率論で考えるのですけど、エンジニアが求めるクルマ、走らせ方、そしてドライバーのコメントを聞いてつじつまが合わない部分があったので、それを明日のセッションでトライしてもらうようリクエストしました。それが上手くいけばいいし、今回、成績が出るかどうかわからないけど、浮上するきっかけになればと思っています」
スーパーGTとスーパーフォーミュラの両カテゴリーでチームルマンの実質、監督を務めることになった寿一だが、やりやすい面も多いと言う。
「両方見ることで、チームの状態がわかりやすいよね。スーパーGTとスーパーフォーミュラと別のカテゴリーだけど、やっているチームとしては同じな訳で、スーパーフォーミュラでチームが困っている顔を見ていると、なんとかしたいと思うし、それをひとつに束ねるというのは、これからの作業をすごくスムーズに進めることができると思う」
監督業は寿一ヘッドコーチ、そして山田エンジニアは可夢偉担当として専念することで、チームとしても役割が明確になる。山田エンジニアも初日にして、「今日はとてもポジティブな一日になりました。僕たちもシーズン最初は速さはあったものの、シーズンが進むにつれて何かが違っていった。その違っていた部分を明日、確認できればと思います」と笑顔を見せる。
このSUGO戦は金曜の走行を見る限りでは、ITOCHU ENEX TEAM IMPULとVANTELIN TEAM TOM'Sの2チームが好調の様子だが、新生SUNOCO Team LeMansがどのような走りを見せることができるか。今週末は可夢偉&チームルマン&寿一ヘッドコーチのトライアングルが、ダークホースになるかもしれない。