先週末に開催されたFIA World RX世界ラリークロス選手権バルセロナ・ラウンドで今季4勝目を挙げたマティアス・エクストロームが、次々戦のラリークロスと日程の重なるDTMドイツ・ツーリングカー選手権最終戦ホッケンハイムを正式に欠場すると発表した。
バルセロナ戦の直前に欠場の可能性を示唆していたエクストロームだが、週末の勝利によりラリークロスの選手権リーダーに再浮上。こちらの“ワールドタイトル”獲得を優先すべく、アウディスポーツとの協議の末、最終戦スキップを正式に決めたという。
このラリークロスのドイツラウンド、エステリンク戦と日程が重なるDTM最終戦には、昨季はWEC世界スポーツカー耐久選手権でアウディのLMP1をドライブしたレネ・ラストが、エクストロームの代役として起用されることも明かされた。
「僕はDTMへの参戦以来15年間、レースを休んだことがない。だから僕自身とアウディスポーツにとって本当に大きな決断だった」と、エクストローム。
「だけどFIA世界選手権のタイトルが手に届きそうな状況でそれを諦めるわけにはいかない。それを理解しチャンスを与えてくれたアウディスポーツとボスには心から感謝しているし、名誉なことだと感じている」
「その期待に応えるためにも、僕や自分のチームであるEKSのメンバー全員、フラットアウトで戦うことを約束する」
アウディスポーツでDTMのチーフを務めるディーター・ガスは、難しい決断ではあるものの、エクストロームの意思を尊重したいと語った。
「ふたつの思いが心の中でぶつかったよ。DTMのフィナーレを戦うのにあたって、我々のベストなドライバーのひとりを欠いたまま勝負するのは簡単なことではない」
「しかし、マティアスにはアウディと自らに世界選手権のタイトルをもたらすチャンスがある」
代役を引き受けたラストは、今季のDTMザンドボールド戦に負傷したエイドリアン・タンベイ代わってスポット参戦した経緯もあり、RS5 DTMのドライブは経験済み。
今季はそれ以外にブランパンGTエンデュランスシリーズにR8 LMSで、WEC世界スポーツカー耐久選手権にはG-ドライブ・レーシング・オレカ05ニッサンで、それぞれフル参戦中。LMP2ではル・マン24時間で2位表彰台を獲得している。加えて、フォーミュラEにもアントニオ・フェリックス・ダ・コスタの代役としてチーム・アグリから参戦した経験もある。
そのほか、DTMの残りラウンドでは、マノーヘ移籍し、F1昇格を果たしたエステバン・オコンに代わり、シーズン途中からメルセデスDTMのシートを得たフェリックス・ロゼンクビストが、レースごとに行っていた契約を更新。今週末のハンガリー戦から最終戦まで全戦のエントリーが確定している。