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MotoGP第14戦アラゴンGPプレビュー:マルケス、得意コースで再び表彰台を狙う

2016年09月23日 12:21  AUTOSPORT web

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マルク・マルケス
今週末、スペインのモーターランド・アラゴンでMotoGP第14戦アラゴンGPが開催される。 
 モーターランド・アラゴンはスペインのアラゴン州にあり、バルセロナと首都マドリードとの中間地点の山間部に位置する。2009年の9月に完成したコースだが、2010年に当初開催が予定されていたハンガリーGPが資金的な問題による新コース建設の遅れから開催不可能となり、代替としてアラゴンで開催され、それ以降、アラゴンがカレンダーに定着した。アラゴンGPの開催により、2010年以降、スペインでは、ヘレス、カタルニア、アラゴン、バレンシアと計4回のグランプリが開催されている。

 モーターランド・アラゴンは、1周5.078kmの反時計回りのレイアウトで、左コーナー7、右コーナー6の計14コーナーで構成されており、中低速コーナー中心のコースレイアウトだが、アップダウンがあることが特徴だ。

 今レースでヨーロッパラウンドはいったん終了。10月の日本、オーストラリア、マレーシアのフライアウエイ3連戦を戦った後、再びヨーロッパに戻り、バレンシアで最終戦を迎える。

 昨年のアラゴンGPは3クラス共ドライコンディションで争われ、MotoGPクラスでホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)が優勝、2位にダニ・ペドロサ(ホンダ)、3位にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が入賞。Moto2クラスではティト・ラバット(カレックス)、Moto3クラスではミゲール・オリベイラ(KTM)が優勝した。

 第6戦イタリアGPから8戦連続で8人のウイナーが誕生するという混戦ぶりを見せているMotoGPクラスでは、ここまで通算3勝を記録しているマルク・マルケス(ホンダ)がランキングトップにつける。

 マルケスはイギリスGP、サンマリノGPと2戦連続4位に終わり、表彰台から遠ざかっているものの、安定してポイントを獲得。アラゴンはMotoGP初年度の2013年から3年連続でポールポジションを獲得するなど得意とするコースで、2013年には1勝を記録しているが、2014年、2015年と2年連続で転倒リタイアに終わっている。

「アラゴンはミサノより好きなコース。僕のライディングスタイルに合っていると思う。確かに今年はレースごとに状況が大きく変わってしまうから、うまくマネジメントできるようにトライしよう。どのような状況に対しても順応できるように準備しなければいけないけど、ファンとファンクラブの前で、もう一度表彰台を獲得したい」とマルケス。


 43ポイント差のランキング2位にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。ロッシはここまでの13戦で2勝、通算7回表彰台に立っており、チェコGPから3戦連続で表彰台を獲得している。アラゴンはロッシにとってまだ優勝経験のないコースだが、2013年と2015年に表彰台を獲得した経験を持つ。

「ミサノでは勝ちたかったけど、いいレースだったと言うことができる。これからのレースは、ベストリザルトの獲得に向けて、ミサノのようにベストをつくそう。アラゴンは高速コーナーとハードブレーキングなセクションがあるから、完ぺきにセットアップを整えたバイクを準備することが重要となる。大好きなコースで、得意ではないけど、ベストをつくそう」とロッシ。

 ランキング3位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)は前戦サンマリノGPで3戦振りシーズン7度目の表彰台を獲得した。ランキング2位のロッシとは18ポイント差。ロレンソは、アラゴンでは2011年から5年連続で表彰台を獲得、2014年にアラゴン初優勝を達成し、昨年のレースでも優勝を飾っている。

「ミサノは期待が高かったけど、ようやく、悪かったレースが続いた後で表彰台に戻ることができた。週末を通じてよい仕事をしたけど、ダニとバレの方が速かった。少なくとも表彰台を獲得し、セッティングの方向性が見つかった。アラゴンは、僕たちのバイクに合っているとは言えないが、過去には優勝できているので、どうなるか分からない。特に今年はタイヤが理由で全てが難しくなっている。ホームレースでファイトしたい。もう一度、勝利の美酒を味わえるようにトライしよう」とロレンソ。

 前戦サンマリノGPで今シーズン初優勝を達成したダニ・ペドロサ(ホンダ)がランキング4位に再浮上した。アラゴンでは2012年に1勝を記録、シーズン中盤まではマシンのセットアップに苦戦していたペドロサだが、昨年も2位表彰台を獲得しているアラゴンでも前戦での好調さをつなげることができるかに注目。

「いい感じでアラゴンを迎えることができる。この2戦で物事がよくなり始め、ミサノでは完ぺきに機能し、すばらしいリザルトを獲得できた。今シーズンは同じようなレースが多いから、重要なのは落ち着いて取り組むこと。ここ数戦で取り組んで来たベースのマシンセットアップを確立させ、上位に進出可能なペースを見つけるという僕たちの仕事と目標に向けて完璧に集中することが必要だ。ファンクラブのみんなが応援に来てくれるから、いいレースをするために全力をつくしたい」とペドロサ。


 マーベリック・ビニャーレス(スズキ)はランキング5位に後退したものの、ペドロサとの差は9ポイント。MotoGPクラス初レースの昨年のアラゴンGPでは11位に入賞。125クラス、Moto3クラスでは表彰台経験があり、Moto2クラスでは2014年に優勝経験を持つアラゴンでどんな走りを見せるかに注目。

「アラゴンの複数のセクションは、要求が厳しいけど、楽しいレイアウト。ポジティブなフィーリングと共にサーキットに乗り込むことができる。シルバーストンの優勝は、特別な自信となり、ミサノではコンディションを考慮すれば、ベストをつくしたと思う。アラゴンは気温が低いかもしれないし、暑くなるかもしれない。数戦前までは、気温の上昇が心配だったけど、ミサノの後で自信を持ってアプローチができる」とビニャーレス。

 ランキング6位にアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)。アラゴンでは2012年に3位表彰台の経験があり、昨年は5位に入賞している。

「アラゴンは不思議なコースでミサノとは完全に異なる。今シーズンはミシュランが新しいタイヤサプライヤーとなり、毎レースどうなるかわからない。でも、条件はみんな同じだから、アラゴンでもベストなレースをめざすよ」とドビジオーゾ。

 サンマリノGPのフリー走行1回目に転倒負傷、ホームレースを欠場することになったアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)は2戦連続ノーポイントが響き、ランキング7位。アラゴンではMoto2時代の2010年に優勝経験を持つ。ミサノの転倒で椎骨にヒビが入ったイアンノーネだが、2週間の間で治療とリハビリを行ない、アラゴンGPへの出場はメディカルチェックの結果次第となる。
「ここ数日はケガの回復に専念した。まだ少し背中に痛みがあるが、アラゴンでドクターがどう判断するかを待とう。いつもどおり、レースに出て、ベストをつくしたい。去年はいいレースができているし、アラゴンはドゥカティに合ったコースだと思う」とイアンノーネ。

 インディペンデントチームではトップとなるランキング8位にカル・クロッチロウ(ホンダ)がつける。クロッチロウは2011年のMotoGP参戦以来、アラゴンでは常にトップ10でフィニッシュ、2014年には3位表彰台を獲得している。
 ランキング9位にポル・エスパルガロ(ヤマハ)、ランキング10位にエクトル・バルベラ(ドゥカティ)が続き、共に今年3回目のホームグランプリとなる。

 前戦サンマリノGPを欠場したランキング17位のジャック・ミラー(ホンダ)は、今レースも欠場。SBKライダーのニッキー・ヘイデン(ホンダ)が代役を務めることになった。また、イギリスGPから欠場しているランキング18位のブラドリー・スミス(ヤマハ)も、今回も欠場することが決定。イギリスGP、サンマリノGPに続いて、SBKライダーのアレックス・ロウズ(ヤマハ)が代役を継続することになった。イギリスGPでのケガでサンマリノGPを欠場したロリス・バズ(ドゥカティ)は、今レースで復帰の予定となっているが、メディカルチェックをパスする必要がある。


 Moto2クラスではヨハン・ザルコ(カレックス)が194ポイントでランキングトップにつけるが、ランキング2位のアレックス・リンス(カレックス)が猛追、二人のポイント差は3ポイントに縮まった。

 リンスとは50ポイント差のランキング3位にトーマス・ルティ(カレックス)。ルティが141ポイント、ランキング4位のサム・ロウズ(カレックス)が137ポイント、ランキング5位のジョナス・フォルガー(カレックス)が127ポイント、ランキング6位のフランコ・モルビデリ(カレックス)が125ポイント、ランキング7位の中上 貴晶(カレックス)が124ポイントとランキング3位以下の争いも接戦となっている。

 昨年のMoto2クラスではリンスが2位、ロウズが3位。ザルコは2014年に3位入賞経験を持つ。中上は昨年のアラゴンGPでは予選5番手、決勝8位入賞。イギリスGP、サンマリノGPと2戦連続表彰台を獲得した中上だが、10月の日本GPを前に2勝目を記録して、ホームレースに向けて弾みをつけたいところ。

 また、Moto2ヨーロッパ選手権に参戦する長島哲太(カレックス)が今レースにワイルドカード参戦する。


 Moto3クラスではランキングトップのブラッド・ビンダー(KTM)がタイトル獲得に王手をかけたレースとなる。今シーズンは第2戦アルゼンチンGPからポイントリーダーの座をキープするビンダーだが、前戦サンマリノGP終了時点でランキング2位のエネア・バスティアニーニ(ホンダ)とのポイント差が106ポイント差となった。アラゴンGP終了時点で残り4戦、100ポイント以上のリードを取れば、ビンダーのタイトルが確定する。

 タイトル獲得の条件は以下のとおりとなる。
- ビンダーが優勝、もしくは2位を獲得した場合。
- ビンダーが3位、ランキング2位のバスティアニーニが優勝しなかった場合。
- ビンダーが6位以内、バスティアニーニが2位以内でフィニッシュできず、ランキング3位のホルヘ・ナバーロ(ホンダ)が優勝しなかった場合。
- ビンダーが7位、バスティアニーニが表彰台に立てず、ナバーロが優勝しなかった場合。
- ビンダーが8位、もしくは9位でフィニッシュし、バスティアニーニが表彰台に立てず、ナバーロが2位以内でフィニッシュできず、ランキング4位のニコロ・ブレガが優勝しなかった場合。

 日本勢では尾野 弘樹(ホンダ)がランキング23位、鈴木 竜生(マヒンドラ)がランキング26位から上位フィニッシュをねらう。アラゴンGPの次はホームグランプリの日本GP。日本GPに向けていい流れとなるようなレースが期待される。