イギリスは、全てにおいて日本よりも社会福祉制度が充実しているといっても過言ではない。しかしその恩恵にぶら下がったまま、仕事を見つけようとしない怠惰な大人も存在する。子だくさんのシングルマザー、もしくは計画性のない大家族が高額な生活保護手当を受給し話題になることも多い。ウエストミッドランド州ウォルバーハンプトンに暮らす子供5人を持つシングルマザーも例外ではない。
1歳から8歳になる5人の子供を抱えるエマ・ローラーさん(27)は現在、児童手当、収入援助金など各種手当を含み年間19,200ポンド(約250万円)を受給している。
エマさんが最初に妊娠したのは17歳の時。それから2人のパートナーとの間に5人の子供をもうけた。生活保護手当を受給し、寝室が3部屋ある公営住宅に子供5人と暮らす。
エマさんは英紙『Mirror』のインタビューに対し、以下のように語っている。
「子供たちのことは愛しているけれど、1人で5人の世話は大変よ。そりゃ、時々テイクアウトだってするわ。毎日料理なんてしていられない。タバコだって吸うけど、吸わなきゃやってられないし。チャンネル5に出演した時も、私は普通に話をして、いつかカレッジに通いたいって前向きなことを言っていたのに、みんな私をすっごく不公平に扱ったわ。」
さらに「働け」という納税者からのバッシングにも、「全くもって不公平だ」と真っ向からエマさんは反論する。
しかしながら彼女が受給している額は決して少なくはない。エマさんは児童手当を週に70ポンド(約9200円)、子供税額控除代が週に270ポンド(約35,000円)、収入援助金が月に240ポンド(約32,000円)、合わせて月に1600ポンド(約21万円)の支援を政府から得ている。
その中から、エマさんは月にたった20ポンド(約2,600円)という破格の家賃と、水道・光熱費が月に168ポンド(約22,100円)、480ポンド(約63,200円)の食費を捻出している。そして嗜好品のたばこに月80ポンド(約1万円)を費やしている。
生活保護受給者というと、貯金などの余裕がない人を想像してしまいがちだ。実際にそんな余裕がなく、生活に必要なお金さえない人が受給するというのが筋であろう。月に1600ポンドももらっているエマさんは、残りのお金をどうしているのだろうか。もし貯金しているのならばそれは受給額が多すぎるということになる。
にもかかわらず「5人の子供の制服を買う余裕がない」とエマさんは訴える。5人分で100ポンド(約13,000円)の制服代が出せないのは、受給されている生活保護の金額からすると全く計算に合わない。
「私には全ての受給額を受け取る権利があるわ。私は自分のものなんてほとんど買っていない。全部子供たちの必要なことのためにお金は消えているの」と語るエマさんだが、かなり高額な税金が含まれるたばこを止めて、その分の費用を子供の制服代にあてようという気持ちがない限り同情する人は現れないだろう。
イギリスでは本当に必要なところに予算が回らず、エマさんのようなシングルマザーや
大家族が、多額の給付金を得て休暇に出かけるなどするケースが往々にしてあり、納税者たちの不満を募らせている。
出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)