職場における「嫌な上司」の存在は、たとえ仕事自体が楽しくても働く意欲を失わせるものだ。人の上に立つ存在は、それなりに仕事も出来、信頼できる人であって欲しい。ただ、今のニッポン、長く会社にいるからという理由だけで部署の責任者になることが多いのも現実だ。
そんな中、都内の出版社、まる出版が9月、20代から50代のビジネスパーソン310人に実施した「上司にとられて嫌だと感じる行動に関する調査」の結果を発表した。つまり、「どんな上司が嫌ですか?」と質問したのだ。質問は選択形式で、ワースト順位は以下のようになった。(文:okei)
2位は「失敗は部下のせい、手柄は自分のおかげ」
1位:「こちらの意見を聞いてくれない」(62.9%)
2位:「失敗は部下のせい、手柄は自分のおかげ」(55.8%)
3位:「相手によって態度を変えすぎる」(47.7%)
部下の意見を聞かない上司というのは、やっかいだ。どんな場面でのことか具体的な内容はなかったが、実際に実務を受け持つのは大抵が部下である。その意見を聞かないとなると仕事はうまく回らないのではないか。もちろん部下の意見が正しいとは限らないが、落ち着いて適切なアドバイスを返してくれれば、「意見を聞いてくれなかった」という不満にはならないはずだ。
それで失敗したら2位のように部下のせいにし、「成功すれば自分の手柄にする」となれば、嫌われるのは仕方ない。
ちなみに4位は「良い時は認められず、悪いときだけ怒られる」(36.7%)。5位は「無理難題を押し付けてくる」(35.5%)で、6位は「過去の成功体験を押しつける」(19.4%)など。人を褒めもせず無茶振りで嫌われている上司像が浮き彫りになった。
結局、部下は上司になかなか言いたいことは言えないものだ。こうした不満はそれが積もり積もったものと考えられる。勇気を出して意見してみても、聞く耳を持たれなければ仕事へのモチベーションは大きく削がれることだろう。
上司は「自分の矢印」がどこに向いているか自問してみる
この調査結果を踏まえて、同社が出している書籍「職場を幸せにするメガネ~アドラーに学ぶ勇気づけのマネジメント~」の著者である、半導体製造装置メーカーであるディスコの小林嘉男氏が、世の「上司」に向けて次のようにアドバイスしている。
「もしあなたが上司として、部下がやる気がない、成長意欲が感じられないと感じているならば、そのことを嘆く前に、自分の矢印がどこに向いているのか、自問してみてはいかがでしょうか。」
本来、部下はやる気を持っており、役に立ちたい、成長したいと思っている。それが自分の部下には全く感じられないという場合、自身が部下のやる気や成長意欲を下げている可能性が高い。自分の正しさや出世欲など「自分」にばかり矢印が向いていると、チームで成果をあげることに目が行かず、部下の話を聞けなくなってしまうのだという。もっともな指摘だ。
これを自分の上司に知って欲しい、気付いて欲しいと思う人は少なくないだろう。しかし嫌いな上司ナンバーワンになる人は、そもそも部下の話を聞けないのだから話は平行線。まったく残念な話である。
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