ウイリアムズは、シンガポールGPでバルテリ・ボッタスを襲った「謎のシートベルト・トラブル」が、次戦に向けての懸念材料であることを認めた。
1周目にパンクに見舞われ、大きく順位を落としていたボッタスは、33周目に無線でシートベルトが外れたと訴えて、その周の終わりに急遽ピットイン。メカニックにベルトを締め直してもらわなければならなかった。
「シートベルトのバックルが外れてしまったとの連絡を受けて、すぐにピットインさせた」と、ウイリアムズのロブ・スメドレーは言う。
「彼のベルトは、ピットでメカニックが締め直した。しかし、なぜ外れてしまったのかを理解する必要があるし、レーシングスピードで走っているときに、突然ベルトが外れたりするのは重大な懸念材料だ」
「いつだったか正確には思い出せないが、バルテリは何年か前にもベルト絡みのトラブルを経験した。同じ類いの問題ではなかったと思うが、シートベルトに関することだったのは間違いない」
「十分な注意を払って正しい分析を行い、問題を解決しなければならない。何よりも重要なのは、それを(次戦の)マレーシアまでに解決しておくことだ」
「言うまでもなく、プラクティスやレースでシートベルトが外れるなとどいうことは、シーズンを通じて一度もなかった。それだけに、突然あのようなトラブルが起きたのは、釈然としないところがある」
この緊急ピットストップは、ボッタスが2度目のタイヤ交換でピットに入ってから、わずか2周後のことだったが、結果として、それが36周目に彼をリタイアさせることにもつながった。
「(ベルトを締めるための)ピットストップに時間がかかったこともあって、彼はピットを出る時に、急激にクラッチをつないでしまった。それで1速ギアに過大なトルクがかかったんだ。これは私たちにとっては厄介な状況だった。走行中に1速ギアが壊れた場合、ギアボックス全体に大きなダメージが及ぶ可能性がある。そのリスクを考えると、最良の選択はクルマを止めることだった」
このリタイアにより、スメドレーの言い方を借りれば、ボッタスにとってスタート直後から「とても厳しい」ものになっていたレースは終わりを告げた。スタートに失敗したマックス・フェルスタッペンを避けようと、大勢のドライバーが回避行動を取ってフィールドが混乱に陥った末に、ジェンソン・バトンのマクラーレンがボッタスの左リヤタイヤをヒットして、パンクさせていたのだ。
「スタート後のターン1あたりで、ジェンソンが彼に追突した。それでジェンソンはフロントウイングを壊し、私たちもピットストップを強いられた」と、スメドレーは語っている。
「パンクするといつも起きることだが、破壊されたタイヤのトレッドベルトが暴れて、左リヤタイヤまわりの空力パーツの大部分が壊されてしまった」
「その結果、リヤのダウンフォースが大きく減少した。だが、このサーキットでは、空力バランスが極端に前寄りになったことが、それ以上に大きな問題だった。(リヤが滑りやすくなっために)タイヤのマネジメントがものすごく難しくなったんだ。バルテリにとっては、とても厳しいレースだった」