先週末に行われたF1シンガポールGPのサポートイベントとして併催されたTCRインターナショナル・シリーズの第17-18戦は、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRを走らせるレパード・レーシングの2台が予選から速さを見せ、ジャン-カール・ベルネイがレース1を勝利。チームメイトのステファノ・コミニも2位に入り、1-2フィニッシュを達成。コミニはレース2でも4位となり、選手権リーダーのセアト・レオンTCR、ジェームス・ナッシュに2ポイント差と迫った。
マリーナ・ベイ・サーキット現地19時30分からスタートしたレース1は、予選ポールポジションのベルネイがホールショットを決め1コーナーへ。後方ではホンダ・シビックTCRのジャンニ・モルビデリが接触からスピン。2台のゴルフGTIを、ぺぺ・オリオラ、ナッシュのチーム・クラフト-バンブー・ルクオイル、セアト・レオンTCRが追う展開に。
同じオープニングラップでB3レーシングチーム・ハンガリーのセアトをドライブするマット・オモラが、4番手を走るナッシュをオーバーテイク。この間にベルネイが序盤からベストを連発して2番手を引き離しにかかり、そのままフィニッシュ。コミニも順位を守り、上位勢はそのままのポジションでゴールラインへ。ゴルフGTIが1-2フィニッシュを決める形となった。
続くレース2は現地15時からのデイタイムレースでスタート。リバースポールとなったホンダ・シビックTCRのロシア人、ミカエル・グラチョフが好スタートを決めるが、その後レースは2度にわたるセーフティカー導入の荒れた展開に。
3周目には3番手争いを展開していたセアト・レオンTCR同士、アッティラ・タッシとセルゲイ・アファナシェフが接触の末、ウォールにクラッシュ。コミニとバトルを展開中だったオリオラも、モリビデリのシビックにヒットするなど激しいバトルが各所で勃発。SCピリオドが明けた7周目には、オリオラにドライブスルー・ペナルティの裁定が。
しかし、この同じ周にも下位争いで大クラッシュが発生し、レースサスペンデッド。そのまま30分の中断を経て短縮ラップでレースが成立。グラチョフが美味しい勝利を収めている。
このレースで3位のナッシュ、4位のコミニは、これで選手権ポイントをそれぞれ229、227ポイントとし、213ポイントの3位オリオラとともに、残るアジア・フライアウェイ2戦、セパン、マカオで雌雄を決することとなる。
また、このシンガポール・ラウンドでは中国CTCCなどを中心にフォード系のチームとして活動するFRDモータースポーツが製作した『フォード・フォーカスTCR』もデビュー。
2014年にイギリスF3インターナショナルシリーズタイトルを獲得した23歳の中国人ドライバー、マーティン・カオのドライブでレース1を13位、レース2で12位と、それぞれ完走を果たしている。
FRDモータースポーツの副社長で、テクニカル・オペレーションを担当するブライアン・マも、デビュー戦の戦績にひとまず安堵のコメントを残した。
「厳しいコンディションと難しいトラックでのデビューで完走できたことは、我々のマシンにとって一定の成果があったことを示している。スタッフは過去7カ月の間にこのプロジェクトのために精力的に働いてきた」
「CTCCでは2015年から同型車の開発を始めており、今回の2016/17モデルは大きくアップデートした技術構成になった。2.0リッターのフォード製4気筒エコブーストをベースに、Xトラック製の6速シーケンシャルパドルを組み合わせ、すべての新しいエレクトロニクス制御とダンパー、ブレーキシステムに更新されている。空力パッケージはすでに成功を収めているCTCCでの形状を基本とした。カスタマーが望めば、いつでもこのパッケージを提供することができる。もちろん、さらなる開発は続けていく予定だけどね」