今季も残り4戦となったFIA World RX世界ラリークロス選手権は、9月16~18日にスペイン・バルセロナのカタルニア・サーキットで第9戦が開催され、アウディS1 EKS RXクワトロをドライブするDTMドイツ・ツーリングカー選手権元王者、マティアス・エクストロームが完全勝利。
これでシリーズポイントランキングでも、ライバルのペター・ソルベルグを逆転し首位浮上。先日、自身が明かしていた「DTM最終戦スキップ」のスケジュールを適用し、自身初となるラリークロス・タイトル獲得へ前進することとなった。
ラウンド前にも「シリーズ随一の盛り上がりをみせるイベント、楽しみにしている」と語ったとおり、週末は順調にファイナルヒートまで勝ち進んだエクストロームは、カタルニアのF1サーキットのセクター3周辺に設定されたコース6周の決勝でも圧巻の走りを披露。
ショートカットではなく長い距離を走ることになるジョーカーラップを、レース後半の5周目に消化する戦略を採り、その前段階でフォード・フィエスタのティミー・ティミジヤノフや、セバスチャン・ロウブのチームメイトであるティミー・ハンセンのプジョー208WRXに対してセーフティマージンを築いたエクストロームは、後続がバトルでペースを抑え合う展開になったのも活かして逃げ切りに成功した。
一方、この週末まで選手権リーダーの座を維持していたペターだったが、予選ヒートからDS3 RXのペースが上げられずに苦戦。
ヒート中盤のポイント暫定結果で7番手となり、「僕らの出走タイミングでは路面状況が最悪だった」と、コースコンディションに対してマーシャルに苦言を呈すると、迎えたセミファイナル1ではロビン・ラーソンのアウディA1や元WRC世界ラリー選手権のライバル、ロウブとのバトルでマシンを破損。4位に終わりファイナル進出を逃すとともに、大量のチャンピオンシップポイントを逃すスッキリしない週末となった。
また、ミュニッヒ・モータースポーツからセアト・イビーザRXで“復帰”出場した、2度のDTM王者でもあるティモ・シャイダーは、Q4でギヤボックストラブルに苦しんでいたフォード・フォーカスRXのスタードライバー、ケン・ブロックに先行する13位フィニッシュを果たしたものの、惜しくも予選ヒートで敗退となっている。
World RXの残りラウンドはラトビア、ドイツ、アルゼンチンの3戦。最終戦直前のドイツ・エステリンク戦はDTM最終戦のホッケンハイムと日程が重なるものの、既報のとおりエクストロームはラリークロスタイトル獲得を優先するべく、DTMを欠場する可能性が高くなっている。