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TOYOTA GAZOO Racing NASCARシカゴランド レースレポート

2016年09月20日 16:51  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

NASCARシカゴランド マーティン・トゥルーエクス・Jr.
2016年9月20日
トヨタ自動車株式会社
モータースポーツマーケティング部

NASCARスプリント・カップ・シリーズ第27戦シカゴランド
マーティン・トゥルーエクス・Jr.が“チェイス”初戦を制す
トヨタ勢は週末の3カテゴリーを完全制覇
 スプリント・カップ・シリーズの“チェイス”初戦がシカゴランドで開催され、マーティン・トゥルーエクス・Jr.が勝利。今季3勝目を挙げると共に、“チェイス”初戦を制した。エクスフィニティ・シリーズではエリック・ジョーンズ、キャンピング・ワールド・トラック・シリーズではカイル・ブッシュが勝利を挙げ、この週末のシカゴランドは、トヨタが3カテゴリー全てを完全制覇した。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第27戦 Teenage Mutant Ninja Turtles 400
開催日:9月18日

マーティン・トゥルーエクス・Jr.が“チェイス”初戦を制す


 9月18日(日)、米国中部イリノイ州ジョリエットのシカゴランド・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第27戦「Teenage Mutant Ninja Turtles 400」が開催された。

 いよいよカップ・シリーズはタイトルを争うプレーオフ“チェイス”へ突入した。トヨタ勢は今季、カイル・ブッシュ、デニー・ハムリン、カール・エドワーズ、マーティン・トゥルーエクス・Jr.、マット・ケンゼスの5名が“チェイス”入りを決めている。チャンピオンを目指す10戦が開始されるが、まずは最初の3戦での上位12名に入り、次ラウンドへ進出することが最初の目標となる。

 シカゴランドは2001年オープンと比較的新しいコース。トヨタ勢は過去に4勝を挙げており、カイル・ブッシュ、ケンゼス、ハムリンがそれぞれ1勝。昨年はハムリンが制している。

 16日(金)に予定されていた予選は降雨のためにキャンセル。規定に則りスターティンググリッドはオーナーポイントで決定。カイル・ブッシュがポールポジション、ハムリン3番手、エドワーズ5番手、トゥルーエクス・Jr.6番手、ケンゼスが7番手からのスタートとなった。

 18日(日)午後1時49分に1.5マイルオーバルを267周(400.5マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。序盤はポールポジションのカイル・ブッシュがレースをリードしたが、直近の2戦で1位、3位と絶好調のトゥルーエクス・Jr.が目覚ましい速さを見せ22周目にトップに立った。

 しかし、トゥルーエクス・Jr.はトップ走行中の68周目に突然のタイヤバーストに見舞われ予定外のピットイン。1周遅れの21位に後退。

 周回遅れとなったトゥルーエクス・Jr.だったが、119周目のこの日2度目のイエローコーション時に“ラッキー・ドッグ”(イエローコーション発生時に周回遅れの最上位車両が1周取り戻せる救済処置)を獲得。トップと同一周回に復帰した。

 ハンドリングに苦しみながらもトップ10をキープしていたケンゼスは、このコーション時のピットでスピード違反のペナルティ。カイル・ブッシュも4位を走行していた167周目、グリーンフラッグ下でピットに向かった際、スピード違反を取られるなど厳しい戦いとなった。

 そんななか、タイヤバーストからの復帰後、追い上げを続けたトゥルーエクス・Jr.が徐々に順位を挽回。残り10周という時点で2位まで浮上して見せた。

 この日はイエローコーションの少ない展開となったが、レースが残り4周となったところでクラッシュ車両により4度目のイエローコーション。レースは延長され“オーバータイム”の最後の2周で決されることとなった。この2周スプリントへ向け上位勢はピットインし、タイヤを4本交換。エドワーズを含む3台がピットインしなかったため、トップでピットアウトしたトゥルーエクス・Jr.は4位での再スタートとなった。

 2列目アウト側での再スタートを切ったトゥルーエクス・Jr.はタイヤの優位性も活かし、素晴らしい追い上げでトップへ浮上しそのままチェッカー。今季3勝目を挙げると共に、“チェイス”初戦を制することとなった。

 他のトヨタ勢はハンドリング不調など苦しみながらのレースとなったが、ハムリンが6位、カイル・ブッシュが8位、ケンゼスが9位、エドワーズが15位でフィニッシュ。“チェイス”ランキングでは5人共に次ラウンド進出圏内につけている。

 次戦第28戦は9月25日(日)、米国北東部ニューハンプシャー州ロードンのニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー マーティン・トゥルーエクス・Jr.:
「信じられない。チームやトヨタ、TRD-USAやスポンサー、ファンの全てに感謝したい。タイヤバーストに見舞われたが、幸運にもレースの序盤で、我々には素晴らしい“トヨタ・カムリ”があった。絶対に諦めない気持ちで最後まで戦い続けた。とにかく信じられない一日だった。チーム全体の努力による勝利だ。更なる勝利、そしてチャンピオンシップ獲得を目指して戦い続ける」

<チェイス・フォー・ザ・NASCARスプリント・カップ>
“チェイス”と略して称されることが多い。NASCARスプリント・カップ・シリーズの全36戦のうち、終盤の10戦でタイトルを競うプレーオフシステム。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバー(全レース出場、ランキング30位以内が条件)と、未勝利でランキング上位の計16名が“チェイス”に進出する。

 “チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの3ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位4名が脱落しポイントはリセット。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。




NASCAR XFINITY SERIES
第26戦 Drive for Safety 300
開催日:9月17日

エリック・ジョーンズが今季4勝目
エリック・ジョーンズとダニエル・サレスが“チェイス”進出



 9月17日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第26戦「Drive for Safety 300」がシカゴランド・スピードウェイで開催された。

 今季よりエクスフィニティ・シリーズでも終盤のプレーオフ戦でタイトルを争う“チェイス”が採用されることとなり、今大会はレギュラーシーズンの最終戦となる。

トヨタ勢では昨年トラック・シリーズのチャンピオンに輝き、今季よりエクスフィニティ・シリーズにフル参戦している20歳のエリック・ジョーンズが3勝を挙げている他、今季2年目のシリーズフル参戦となる24歳のメキシコ人ドライバー、ダニエル・サレスが念願の初勝利を挙げ、2名が“チェイス”入りを決めている。

 シカゴランドでは今大会スポット参戦するカイル・ブッシュが過去に4勝。エリック・ジョーンズも年2戦行われた昨年の第14戦で勝利を挙げている。カイル・ブッシュはこの週末開催される3カテゴリー全てに出場。前日行われたトラック・シリーズで勝利を挙げており、本人しか実現していない同一週末3カテゴリー制覇の再現へ向け、レースに臨んだ。

 17日(土)決勝レースに先立ち午前10時45分から行われた予選では、カイル・ブッシュが今季7度目となるポールポジションを獲得。チームメイトのサレスが2番手で続き“トヨタ・カムリ”が最前列を独占。エリック・ジョーンズも5番手につけた。

 予選に続き、午後2時21分に1.5マイルオーバルを200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。ポールポジションのカイル・ブッシュを1周目にかわしたサレスがトップに立つも、5周目にカイル・ブッシュが抜き返し、すぐに出されたイエローコーションの後はカイル・ブッシュが独走で後続を引き離していった。

 この日最多となる、200周中154周にわたってレースをリードしたカイル・ブッシュだったが、トップ走行中の182周目に壁にヒットし、これに伴うタイヤバーストでスピン。タイヤ交換と修復のため、トップと同一周回最後尾近い16位まで順位を落とすこととなってしまった。

 これにより出されたコーションで、3位走行中のエリック・ジョーンズ、序盤ピットでの接触で最後尾近くまで落ちながら6位まで追い上げてきたサレスは共にピットイン。ピットインしなかった車両もあり、それぞれ6位、12位で再スタートを切ることとなった。

 残り14周での再スタートが切られると、好ダッシュを決めたエリック・ジョーンズが6位から1周で2位までジャンプアップ。テール・トゥ・ノーズでのバトルの末に、191周目についにトップ浮上。最後はカップ・シリーズのレギュラー、カイル・ラーソン(シボレー)の猛追を受けたが逃げ切り、今季4勝目を挙げた。

 サレスも4位までポジションを上げてフィニッシュ。エリック・ジョーンズと共に、次戦からの“チェイス”へ向け弾みの付く結果でレースを終えた。

 シリーズ初の“チェイス”が幕を開ける次戦第27戦は9月24日(土)、米国中東部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで行われる。

ドライバー エリック・ジョーンズ:
「タフなレースだった。最後の再スタート、タイヤ的に優位であることは分かっていたが、6番手スタートはちょっとトップから離れていた。しかし、とても良い再スタートが切れて2位へ浮上し、その後はエリオット(サドラー:シボレー)とのバトルだった。じっくりとチャンスを待ち、後は時間の問題だった。

ようやく今季初めて1.5マイルオーバルで勝つことが出来たし、最高の一日になった。勝って“チェイス”に臨めるのは素晴らしいことだし、来週のケンタッキーが楽しみだ」

<エクスフイニティ・シリーズの“チェイス”>
今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。エクスフィニティ・シリーズでは、全33戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバーと、未勝利でランキング上位の12名が“チェイス”に進出。

 “チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとにランキング下位4名が脱落。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。




NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第16戦 American Ethanol E15 225
開催日:9月16日

カイル・ブッシュが今季2勝目
トヨタ勢は4人が“チェイス”へ



 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第16戦「American Ethanol E15 225」が9月16日(金)にシカゴランド・スピードウェイで開催された。

 今季からトラック・シリーズでも終盤戦で上位ドライバーがタイトルを争うプレーオフ“チェイス”システムが導入されることとなった。今大会は“チェイス”前のレギュラーシーズン最終戦。

 トラック・シリーズの“チェイス”は最初に8人が選抜されるが、既に今季勝利を挙げているウィリアム・バイロン、マット・クラフトン、クリストファー・ベルの3名が“チェイス”入りを確定。

未勝利でのランキングでは8位でティモシー・ピーターズが入っているが、今季全レース出場のランキング30位以内で未勝利のドライバーにはまだ全員に“チェイス”入りの可能性が残っており、緊迫した状況でレギュラーシーズン最終戦を迎えることとなった。

 シカゴランドでトラック・シリーズが開催されたのは2009年から。これまでに7戦が行われてきたが、トヨタはうち4勝。その全てをカイル・ブッシュが挙げている。

 今大会スポット参戦するカイル・ブッシュは、この週末にシカゴランドで行われる3カテゴリー全てに出場。
 
 カップ・シリーズのディフェンディングチャンピオンで、今季も“チェイス”入りを決めている事もあって、忙しい週末を過ごすカイル・ブッシュの代わりに、15日(木)に行われた2回の練習走行は、エクスフィニティ・シリーズに参戦しているエリック・ジョーンズがドライブ。16日(金)決勝を前に午後3時45分から行われた予選からカイル・ブッシュがドライブ。

 予選では同じくスポット参戦のダニエル・サレスが3番手、“チェイス”入りを確実としたいピーターズが5番手、ベン・ローズが7番手、カイル・ブッシュは8番手、バイロンが9番手につけた。

 予選に続き、午後7時45分、1.5マイルオーバルを150周(225マイル:約360km)して競われる決勝レースがスタート。序盤からサレスとカイル・ブッシュがトップ争いを繰り広げた。

 しかしサレスは100周過ぎから連発したコーションの中で、ピット戦略が合わずポジションダウン。

 レースは残り5周でクラッシュ車両によりこの日9度目のイエローコ-ションが出され、残り2周の“オーバータイム”に。トップのカイル・ブッシュが好スタートで逃げ、キャメロン・ヘイリーがその後方で激しい2位争いを展開したが、上位勢がファイナルラップの第3コーナーを過ぎたところで後方車両のスピンによりイエローコーションが出され、順位はその時点で凍結。カイル・ブッシュが今季2勝目を挙げた。

 キャメロン・ヘイリーが3位。ベルが4位。
 シリーズ登録レギュラーではないカイル・ブッシュが勝利を挙げたことで、大きな順位変動無く“チェイス”進出ドライバーも確定。今大会8位でフィニッシュしたピーターズが未勝利ながらランキングで“チェイス”入りを決めた。

 この結果、次戦より始まるトラック・シリーズ初の“チェイス”には、バイロン、クラフトン、ベル、そしてピーターズと、8人中4人をトヨタドライバーが占め、タイトルを争うこととなった。

 “チェイス”初戦となる次戦第17戦は9月24日(土)にニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで開催される。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「ここシカゴランドは何年にもわたって我々KBM(カイル・ブッシュ・モータースポーツ)にとって良いコースだ。ここで我々はいつも速さを示せている。昨日代わりにドライブしてくれたエリック・ジョーンズには感謝したい。彼とチームが素晴らしい仕事をしてくれた。今日は良い一日になったが、何よりも重要なのは我がチームの9号車(ウィリアム・バイロン)と4号車(クリストファー・ベル)がチェイスに進出できたということだ」

<キャンピング・ワールド・トラック・シリーズの“チェイス”>
今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは、全23戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。開幕からの16戦全ての決勝に出場し、ランキング30位以内に入った上で、シリーズ戦勝利を挙げたドライバーと、ランキング上位のドライバーから8人が選抜される。

 “チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとにランキング下位2名が脱落しポイントをリセットして次ラウンドに進む。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。