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「目の不自由なファッショニスタ」の言葉が胸を打つ 「サイズの合った靴さえ履けば、どんな世界も征服できる」(英)

2016年09月20日 13:22  Techinsight Japan

Techinsight Japan

視覚障がいのファッションブロガー(出典:http://www.mirror.co.uk)
障がいといっても、目に見えず他人にはわかりにくい場合もある。障がいを持つ人は見た目でわかるというのは偏見でしかない。イギリス在住のエミリー・デイヴィソンさん(21)は、自身をファッションに敏感なファッショニスタ(Fashionista)ではなく「ファッションアイスタ(Fashoneyesta)」と呼んでいる。彼女は視覚障がいを持ち、生後18か月の時に透明中隔欠損と視神経低形成に下垂体機能低下症を伴う先天異常である「中隔視神経形成異常症」と診断された。

エミリーさんの右目は完全に失明しており、左目は10%しか視覚がない。段差や階段、電柱などほとんどの物が見えない状態のエミリーさんは、かつて夜の外出は不可能だったという。両目のバランスがくずれて意思に関係なく眼球が動く「眼球振とう症」を患っており、夜になるとその症状から集中力の低下が起こるためだ。

14歳の頃、エミリーさんは拒食症になった。視覚障がいのこともあり、思春期の真っ只中に自分を受け入れることが難しくなってしまったという。周りが目の見えないエミリーさんを批判中傷したことも、彼女を落ち込ませ拒食症へと陥る原因となったようだ。

しかし、エミリーさんを救ったのはファッションだった。拒食症を克服するためにカウンセリングに通い、同時に人生の明るい部分に目を向けてみる努力をしようと決心した。化粧品会社で働いていた母親の影響で幼い頃からファッションやコスメに興味があったために、そのブログを書いたり、YouTubeに投稿したりすることで自分のやりたいことに向けてのチャレンジが始まった。

エミリーさんは「ClaroRead」という特殊なソフトを使い、ファッションブログを書いているという。積極的に「ロンドンファッションウィーク」にも足を運ぶようにもなった。4年前から一緒に暮らしている盲導犬のおかげで、夜も出かけられるという自信もついた。

初めて会う人に「目が見えないようには見えないわ」「障がいを持つには、あなたは可愛すぎる」「目が見えない人にしては、とてもおしゃれで綺麗な格好してるのね」「どうやってマスカラ塗ってるの?」というようにいつも同じ言葉を言われ続けたことが、エミリーさんがファッションブログを始めたきっかけだ。

「障がい者だからといって、おしゃれにしてはいけない理由はないし、誰でも好きな服を着る権利はある」とエミリーさんは英紙『Mirror』に語る。

「目が見えない人はファッションやコスメとは無関係」というステレオタイプを持つ人がどれほど多いことか。エミリーさんはブログやYouTubeを投稿することで、そんな世間の偏見に対してチャレンジし続けているのだ。

また「目の不自由なファッショニスタ」としてテレビ出演をしたこともあるそうだ。エミリーさんはイギリス各地で講演を行い、障がいがあってもおしゃれをする権利はあることを伝えている。そうすることで「できないことはない」という自分への自信に繋がり、多くの障がいを持つ人への励みになるとも話す。

エミリーさんのモットーは「サイズの合った靴さえ履けば、どんな世界も征服できる」というものだ。目が見えないから、耳が聞えないから、四肢が不自由だから…障がいを持つ人はなにかしら偏見で見られがちだ。社会にはまだまだどこかしら障がい者に対する分厚い壁がそびえたっているという事実は否めない。

だが、エミリーさんのようにどんな可能性にもチャレンジする精神を持つことで、社会からの障がい者への見方も変わることがあるのではないだろうか。

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)