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滝沢秀明『せいせいするほど、愛してる』いよいよ最終回へ! 忘れられない名シーンの数々を振り返る

2016年09月20日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 滝沢秀明と武井咲によるドラマ『せいせいするほど、愛してる』(TBS系/火曜22時~)が、いよいよ今夜、最終回を迎える。同番組の視聴率は、初回9.3%というまずまずの数字でスタートしたものの、当初はそのオーバーな演出が賛否両論を呼んだことが影響してか、第3話では6.7%まで落ち込んだ。しかし、その作風を変えることなく独自の路線を突き進むことで徐々に固定ファンを獲得したのだろう、第6話では9.7%まで回復。その後も7%半ばをキープし続けた。


 前回の第9話では、滝沢演じるティファニー社の副社長・三好海里と、武井咲演じる部下の栗原未亜が、周囲の様々な困難から文字通り“逃避”して、三好の父が残した別荘でかりそめの夫婦生活を楽しみ、ふたりきりで結婚式の真似事をする様子が描かれた。そこに三好の妻・優香(木南晴夏)が乱入、「そこまでよ! 海里から離れなさいよ、このメス豚!」と叫び、未亜めがけて猛然と突進していくところで、幕を閉じていた。


 優香の突進がどんな悲劇を生むのか、恐ろしくも気になって仕方がないところだが、本稿では同ドラマの名シーンの数々を第1話から振り返ることで、最終回に向けて心の準備をしたい。


■“お姫様抱っこ”で世界観を提示した第1話


 海里のエアギターと未亜のひとりカラオケが初めて披露され、SNSを中心に大きな話題となった第1話。題材がセンシティブなだけに、シリアスな作風を期待していた視聴者にとっては、かなり意表を突いた演出だったといえよう。また、物語において特に重要なシーンとなったのが、未亜の靴のヒールが折れてしまった際に、海里が軽々と彼女をお姫様抱っこした箇所だろう。まるで少女漫画のような展開は、本作がリアリティを追求するのではなく、あくまでドラマティックな作風を目指すということを示す上でも意味があった。未亜が海里に惚れた瞬間でもあり、後の回想でもたびたび同シーンが使用された。滝沢ファンにとっても、忘れられない名シーンのひとつといえそうだ。(参考:滝沢秀明、“超展開”成立させる驚異のイケメン力 『せいせいするほど、愛してる』で30代の色気


■未亜の“不倫宣言”で物語が加速した第2話


 ふたりの出会いから恋に落ちるまでが怒涛の展開で描かれ、第2話のラストでは早くも未亜が海里に告白をした。「奥さんが一番だっていいです。離婚してとか、面倒なこというつもりもありません。ただ、副社長が欲しいです」との宣言は、後の波乱を考えると、あまりにも純粋だった。理性で割り切ることができない恋の難しさを、未亜の心情とともに丁寧に描いた回で、その行動には簡単に賛同しかねるものの、だからこそ視聴者の共感を呼んだ。ふたりの愚直なほどに求め合う関係性は、ここから始まった。(参考:滝沢秀明 & 武井咲、突っ走る不倫劇はアリ? 『せいせいするほど、愛してる』の勢い)


■待望のラブシーンが披露された第3話


 道ならぬ恋と知っているからこそ、態度が定まらないふたりだったが、偶然に出張先で一夜をともにすることになったことで、ついに一線を越えてしまった第3話。滝沢が惜しげもなく上半身裸体を披露したラブシーンは、ごく短い時間ではあったものの、非常にロマンチックなもので印象深かった。滝沢秀明が、30代の大人の俳優として臨んだこのシーンは、彼のキャリアにとっても今後大きな意味を持ってくるだろう。最終話ではさらに濃密なシーンも期待できるかもしれない。(参考:滝沢秀明、待望のラブシーンで披露した肉体美ーー『せいせいするほど、愛してる』のエンタメ性)


■三好が嫉妬に燃えた第4話


 第4話からは、ジミーチュウの広報部の部長代理・宮沢綾(中村蒼)が本格的に未亜へのアプローチを始め、さらに複雑な恋模様へと発展。嫉妬に燃える三好の態度が話題となった。未亜が宮沢の家に泊まったこと(性交渉はなかったが)や、自分への相談が少ないことから、三好は未亜を問い詰め、「何なんだよ、言ってくれないとわかんないだろ!」と、目に涙を浮かべながら叫ぶ。眉目秀麗な滝沢が困惑する表情は、多くのファンの琴線に触れるものだったようで、SNSでも大きな話題となった。決して完璧ではない三好の姿を描くことで、奥行きを深めていった回といえそうだ。(参考:滝沢秀明、涙で演じた“男の嫉妬”ーー『せいせいするほど、愛してる』でどこまで堕ちる?)


■シリアス路線へと急展開した第5話


 未亜が何者かに階段から突き落とされて入院する一方、ずっと昏睡状態だった三好の妻・優香が目を覚まし、さらなる混乱へと向かった第5話。物語全体がグッとシリアス路線になり、サブキャラクターたちそれぞれの物語も複雑さを増していった。特に説得力を増したのは、武井咲の“涙の演技”ではないだろうか? 武井演じる未亜は同作中、どこかお調子者なキャラクターとしても描かれていたため、全体として恋に浮かれたトーンが目立っていたが、優香が登場したこともあり、その演技の切実さが際立つように変わっていった。この辺りから、すっかり同作から目が離せなくなってしまったという視聴者も少なくないはずだ。(参考:滝沢秀明、ジャニーズを率いるリーダーとなるか? 『せいせいするほど、愛してる』役柄に見る覚悟)


■恋のライバル・中村蒼の魅力が増した第6話


 滝沢演じる三好と、中村演じる宮沢による恋の争いが、いよいよ激化してきたのが第6話。宮沢の一見すると軽そうだが、実は一本芯の通った度量のあるキャラクターは、特に女性視聴者の注目を集め、SNSでは三好派と宮沢派で人気を二分するほどになった。未亜に対する少々強引とも思えるアプローチや、どこか慣れない関西弁も、ファンにとって“萌えポイント”となった。未亜を抱きしめて、溢れる愛情を告げるシーンは、特に視聴者の心に刺さったのではないだろうか。(参考:滝沢秀明 vs 中村蒼、好対照のイケメンぶりーー『せいせいするほど、愛してる』のキャラ比較)


■木南晴夏、狂気の演技が炸裂した第7話


 第6話が9.7%という高い視聴率を記録したのは、中村の人気に依るところも大きいだろうが、ラストで衝撃的な演技を見せた木南晴夏の功績でもありそうだ。第7話の冒頭では、前話のラストシーンで木南演じる優香が放った「このどろぼう猫!」というセリフが、何度もリフレインされた。優香の狂気じみた振る舞いはさらに加速し、“地獄の晩餐会”と名付けられたメインキャラクター4人での食事シーンでは、ナイフを持って怒り叫ぶ演技も披露した。個性派女優としても知られる木南晴夏は、公式サイトのインタビューにて、「優香さんもすごく勝手でダメなところだらけなんですけど、ある意味すごく愛おしいです。私だけではなく、役者はみんな自分の役のことは味方しているんじゃないかと思うんです。未亜ちゃんだって海里だって、誰かからみたら悪者で、自分の役の味方をしてあげないと演じきれないと思うので、私も優香さんの味方をしたい、という気持ちで演じています」と、今作の役どころについて語っている。ヒロインの恋路を邪魔する立場にも関わらず、優香が人気キャラとなっているのは、彼女の役に対する真摯な姿勢があってこそだろう。(参考:滝沢秀明、“真顔”で笑わせる凄さーー『せいせいするほど、愛してる』で示したアイドルの新境地)


■滝沢の“困り顔”が魅力的な第8話


 第6話の「このどろぼう猫!」以来、優香の強烈なキャラクターに注目が集まっていたが、海里たちもまた負けないぐらいの存在感を発揮している。第7話のラスト、海里がエアギターに没頭しているところを、未亜に目撃されてしまうという展開から、第8話では困惑して涙する海里のいじらしさが目を惹いた。優香のこれでもかというほど欲望をさらけ出した姿に呼応するように、海里たちもまた、情けなくも愛おしさを感じさせるシーンを見せてくれたのだ。海里が未亜に別れを告げられ、涙ながらに夜空を見上げるシーンは、不格好だが同情を禁じ得ないものがあった。そこにいたのは、人気アイドル・滝沢ではなく、ひとりの傷心した男だった。(参考:滝沢秀明、“困り顔”の色気ーー『せいせいするほど~』の情けない演技が人々を惹きつけるワケ)


■束の間の幸せを噛み締めた第9話


 おたがいに恋を諦め、海里は優香と、未亜は宮沢と、新たに関係を築いていこうとするのだが、どうしても心を切り替えることができず、ついにふたりで駆け落ちすることを選んだ第9話。第7話とは反対に、未亜のひとりカラオケを海里が目撃してしまったところから、ふたりは改めて気持ちを確認し合い、海里の父が残したというコテージへと向かう。ふたりではしゃぎながら部屋の掃除をして、軒先でバーベキューを楽しみ、夜は花火を見て、海外移住する夢を語り合う。だが、その時間はかりそめのものだと、ふたりはどこかで自覚している。その後、本稿の冒頭で説明した「メス豚!」のシーンへと繋がっていくのだが、コテージで過ごしたわずかな時間は、本作において最も幸福なワンシーンだったといえるだろう。


 いまだ多くの問題が残されたまま迎える最終回。果たして、ふたりの許されざる恋は実るのだろうか。実ったとして、海里のことを深く愛した優香の気持ちはどこに向かうのか。宮沢は、ただ潔く引き下がるだけなのだろうか。どちらにしても、誰かが涙を呑む結末を迎えそうだ。(松下博夫)