ポールスタートだったサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)が強さをみせつけて優勝。インディカー・チャンピオンの栄冠をその手に掴んだ。ポールポジションは7回目、優勝は5回目。ともに今シーズン最多の数字を記録してのタイトル獲得だ。
昨シーズンにチーム・ペンスキー入りしたペジナウはついに1勝も挙げることができなかったが、2シーズン目の今年、チームの創立50周年という記念すべき年にチャンピオンの座に就くこととなった。
ポールポジションから1周目のターン1へトップで飛び込んだペジナウは、11周目までに2番手を走るエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)に5秒以上の差をつけた。
ペジナウ以外でチャンピオンの可能性を残していたのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だったが、彼はレースの半ばでギヤボックスのトラブルによりコース上にストップ。オフィシャルに牽引されてピットに戻り、修理を施してレースに復帰したものの、トラブルが出た時点で2度目のタイトル獲得の夢は破れた。パワーは最終的に20位でゴールとなったが、ポイントスタンディングは2位の座を死守した。
パワーの脱落によってペジナウの楽勝になるかと思われたレースだったが、予選5位から2番手まで浮上して来たグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が終盤になってからペジナウとの差を一気に縮め、逆転優勝のチャンスが生まれる。
一時は0.6秒にまで間隔が縮まった両者だが、ペジナウがペースを上げて突き放した。レイホールはペジナウに接近するとハンドリングが悪化する症状に悩まされ、オーバーテイクを仕掛けられず、優勝を断念したのだった。最終的にチェッカー時の2台の差は3.2523秒になっていた。
「今日は素晴らしいマシンに仕上がっていたことで、圧倒的なパフォーマンスを発揮できた」とペジナウ。
「優勝してチャンピオンになれたなんて、今でもまだ信じることができない。最高の1日になった」
「22号車はシーズンを通して強さを見せ続けることができたが、それはチーム全体の力によるものだ」
4回目のシリーズ2位に終わったパワーだったが、その表情はさばさばしていた。
「トラブルは本当に残念だが、ペジナウを倒してタイトルを獲得するのは難しかった。今日のレースで勝つことはできたかもしれないが、タイトル獲得はかなり難しかったと思う」
「またチャンピオンになれずにランキング2位に終わったが、今年は素晴らしいシーズンだった。開幕戦の決勝を走れなかったためにポイントで大きな差をつけられたが、チャンピオン争いができた」
「今シーズンは4勝もできたし、500マイル・レースでも勝てたからね」
チーム・ペンスキーは14回目のインディカー・タイトル獲得。チーム設立50周年という節目の年にランキングトップ3を独占してみせた。エリオ・カストロネべスがランキング3位をゲットしたのだ。
レイホールはソノマでの2位フィニッシュにより、ランキング5位となった。「ペジナウにアタックするつもりだったが、彼のマシンに近づくとオーバーステアが強くなった。パスは無理と判断し、2位でゴールすることとした」とレイホール。
佐藤琢磨(AJ・フォイト・レーシング)は予選15位から14位でゴール。コンペティティブなラップタイムで走るパフォーマンスをみせてはいたが、期待していたイエローコーションが1回しか出されず、それもタイミングは最悪だった。
「シーズン序盤のストリートでは良い走りができ、ホンダ勢を引っ張っていました。しかし、その後のシーズンでは幾つもの不運に見舞われました」と琢磨。
「今日もストラテジーがうまく機能する展開とはなってくれませんでした。スピードも足りていなかった。それでも、自分たちは全力で戦っていました。今シーズンは表彰台に上ることができなかった。それがとても悔しく、残念ですね。しかし、チームはリザルトに現れていた以上の進歩を遂げたと思います」と今シーズンを振り返った。