メルセデスのボス、トト・ウォルフは、チームがルイス・ハミルトンに、彼本来のパフォーマンスを発揮できるクルマを与えることに「失敗した」と認めた。
ハミルトンはプラクティスを通じて、ブレーキングが思いどおりにならないことに苦しんでいた。そして、その問題が予選でも解決されなかった結果、彼はQ3の最初のランでポールシッターのニコ・ロズベルグから0.7秒も遅れを取り、2回目のランでは自己ベストの更新さえできなかった。
これについてウォルフは、「ルイスのクルマは、本当ならFP1の終わりに到達しているべきレベルにも達していなかった」と語っている。
「クルマのセットアップと、タイヤを作動温度領域に入れ、ドライバーがクルマを完全に信じて乗れるようにすることの間で、適切な妥協点を見つけるのは簡単な仕事ではない」
「私たちはそこで失敗した。予選での彼のクルマは、本来のパフォーマンスを引き出せる状態ではなかったということだ」
ハミルトンは、ハイドロリック・バルブのトラブルで金曜の走行時間の一部を失っており、これによる周回数不足のため、セットアップの正しい方向性を見つけられなかったと、ウォルフは言う。
「当て推量でセットアップを進めることはできない。彼が選んだアプローチは間違っていなかったと思う。ただ、特定の方向性を決められないうちに、時間切れになってしまい、そこから先へ進めなかったんだ。それは単純に走行時間が足りなかったためだ」
また、ウォルフは、昨年チームがシンガポールで直面したトラブルについて、その根本原因を探し当てたチームの努力を「誇りに思う」とも述べている。
「昨年のここでのパフォーマンス不足が、きわめて深刻なものだったために、結果として新しい考え方が開拓されることになった」
「昨年のレース後、これは危機的な状況だと感じた私たちは、トラブルについて真剣に議論した。実際、この問題が鈴鹿以降のレースでも続くかもしれないという恐れもあったからだ。だが、私たちはパニックには陥らず、少人数のグループに2日間にわたってデータの分析に専念させる一方で、他のスタッフには鈴鹿への準備に集中させた」
「(ニコがポールを獲ったことは)私たちが昨年のクルマの弱点がどこにあったのか、正確に理解していた証拠と言えるだろう」