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「ハリウッド大作も今回の作品も違いはない」名優ジェレミー・アイアンズが語る、新作『ある天文学者の恋文』と自身の映画観

2016年09月18日 11:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『ある天文学者の恋文』(c)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.

 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『ハイ・ライズ』『栄光のランナー 1936ベルリン』ーー今年に入ってすでに3本の出演作が日本公開(10月には『奇蹟がくれた数式』も公開)され、映画ファンにとっては今年スクリーンで目にする機会が多い、イギリスの名優ジェレミー・アイアンズ。9月19日に68歳の誕生日を迎えるアイアンズが、『ニュー・シネマ・パラダイス』などの代表作で知られるジュゼッペ・トルナトーレ監督とタッグを組んだ映画『ある天文学者の恋文』が、9月22日に公開される。本作は、ある日突然天文学者の恋人エドの訃報を受けた恋人のエイミーが、エドの遺した謎を解き明かそうとする模様を描いたヒューマンミステリーだ。リアルサウンド映画部では、本作で天文学者のエドを演じたアイアンズにメールインタビュー。本作での、トルナトーレ監督やオルガ・キュリレンコ、エンニオ・モリコーネとの仕事についてや、幅広い作品に出演している彼が俳優として大事にしていることについてなどを答えてもらった。


参考:トルナトーレ監督最新作『ある天文学者の恋文』、モリコーネの音楽にのせた予告編公開


ーー今回の作品はサスペンス、ラブストーリー、人間ドラマなど様々な要素のある作品だと感じました。この作品のどのような部分に惹かれ、出演を決めたのでしょうか?


ジェレミー・アイアンズ(以下、アイアンズ):ラブストーリーに興味を惹かれたんだ。ストーリーは想像力に富んでいると思ったし、トルナトーレがどう映画にするのかも興味深かった。僕は『ニュー・シネマ・パラダイス』を観て以来、ずっと彼と一緒に仕事がしたいと思っていたんだ。『ニュー・シネマ・パラダイス』は強烈で、本当に心に響く作品だ。おそらく今まで撮影された映画の中で、最も美しい映画20本のうちに入るんじゃないかな。


ーー長年待ち望んでいたトルナトーレ監督との仕事はいかがでしたか? これまで仕事をしてきた監督と比べて、何か特徴的なことはありましたか?


アイアンズ:トルナトーレは写真家として働き始めたからか、特別なものの見方をしていたよ。監督としては珍しく、映像の質を高めるために、よくセットで“光”をチェックしていたんだ。自分には何が必要かということをよくわかっているし、とても綿密な監督だね。それに、トルナトーレは自分でキャスティングをするんだが、彼が選んだ俳優たちと共演できたのは僕自身も楽しかったよ。


ーー今回、著名な天文学者のエドという役柄を演じるにあたって、何か特別なことはされましたか?


アイアンズ:天文学については元々興味があったけれど、僕は何も知らなかったんだ。でも、僕の仕事は天文学を理解することではなかった。映画の中で実際には1シーンでしか映し出されない、エドとエミリーの関係を、真実として観客に伝わるようにすることが重要だったんだ。


ーー確かに、エミリー役のオルガ・キュリレンコとの共演シーンはとても少ないですね。彼女の印象や女優としての魅力を教えてください。


アイアンズ:オルガは賢くて、内に秘めたエネルギーを持っている女性だ。一緒に仕事をするのも非常にやりやすかったよ。それは、彼女がウクライナ出身で、他の人とは異なるところから僕たちの関係が出発したというのもあるかもしれないね。驚くべき魅惑的な女性で、今後本当に立派な女優になると思うよ。


ーー音楽はトルナトーレ作品の常連、エンニオ・モリコーネが手がけていますね。彼の音楽は映画にどのような効果をもたらしたと感じましたか?


アイアンズ:モリコーネは僕が初期に出演した『ミッション』でも音楽を書いてくれていて、彼が映画にもたらしたものは大きかった。だから、彼の音楽が映画を素晴らしいものにしてくれることは最初からわかっていたよ。


ーー近年、俳優としてより精力的に活動されているように思うのですが、ご自身の中で何か変化があったのでしょうか? また、出演する作品を決める際に何か大事にしているポイントなどがあれば教えてください。


アイアンズ:僕が映画を選ぶ基準は、ストーリーが僕にとって興味深いかどうかだ。そして、その役が過去にやったことのない役かどうかだね。僕の選択は自分の興味を反映しているかもしれないけど、年が経つにつれて、その興味は変わっていくと思う。最近は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のようなハリウッド大作にも出ていれば、今回のようなヨーロッパの作品にも出演しているけど、僕にとってそれらに違いはないんだ。一方はいくつかのカットが早く、もう一方はより滑稽だったりすることはあっても、大差はない。僕たちは、映画が語る物語の一部なのだから。(宮川翔)