F1第15戦シンガポールGPの予選がシンガポール市街地のコースで行われ、ニコ・ロズベルグがポールポジションを獲得したものの、ランキングトップのチームメイト、ルイス・ハミルトンが3番手のとどまり、2番手にはレッドブルのダニエル・リカルド、4番手にマックス・フェルスタッペンと、メルセデスvsレッドブルの戦いの構図が明らかになった予選結果となった。
シンガポールGPの予選は、夜9時という遅い時間に幕が上がる。市街地コースでオーバーテイクが極めて難しいサーキットだけに、何よりもこの予選の結果が重要となる。
昨年の大不振があるだけにメルセデスAMGの純粋な速さがどれほどのものなのか、そこにレッドブルとフェラーリがどこまで迫ることができるのか、注目が集まった。
Q1は気温30度、路面温度33度というコンディションで始まった。中団以下のチームが開始直後からウルトラソフトを履いてアタックへと出て行くが、上位チームがトラフィックを嫌って待機する中、メルセデスAMGの2台だけが早々にアタックへと出て行った。
4分が経過して各車が続々とコースインし、8分過ぎにダニエル・リカルドが最後にコースイン。トロロッソの2台だけがスーパーソフトを履いた。
最初にトップタイムを記録したのはメルセデスAMGの2台だったが、路面の向上幅が大きく後続が次々と好タイムを並べていき、1回目のアタックを終えて暫定首位に立ったのは最後にアタックし、1分44秒255を記録したリカルドだった。
そんな中、セバスチャン・ベッテルはマシンに問題を抱え、コーナリング時にイン側のタイヤが路面から浮いてしまう状態で、残り時間ではマシン修復が不可能と判断してタイムアタックを試みるが、トップから4.8秒落ちのタイムしか記録できない。
「フロントのアンチ・ロールバーか何かが壊れている。バカみたいに時間をロスしているだけだ」
実際、ガレージに戻ってからチームが確認したところによると、リヤのアンチ・ロールバーが破損していたようだが、このトラブルでベッテルは4周してピットに戻り、まさかの最下位でQ1敗退となってしまった。
マクラーレン・ホンダのジェンソン・バトンは「良いスタートだ、(ロマン)グロージャンより1秒速いタイムだ」と、FP3までグリップ不足に苦労したマクラーレン勢は上手くマシをまとめ上げ、バトンが6位、フェルナンド・アロンソが9番手でQ1を通過した。
ベッテル以外ではザウバー勢、ルノー勢、マノー勢が争う中、マーカス・エリクソンが16番手でQ2進出を果たした。カルロス・サインツだけがスーパーソフト1セットのみでQ1を通過している。
Q2では各車が引き続きウルトラソフトを履いて出て行く中、決勝のスタートタイヤを意識してレッドブル勢がスーパーソフトでアタックに出る。
ニコ・ロズベルグが1分43秒020のトップタイム、2番手にはルイス・ハミルトンが続いたが、スーパーソフトのレッドブル勢はフェラーリを上回って3・4番手タイム。それでもマックス・フェルスタッペンはQ3に向けてさらなる微調整を進める。
「フロントのウォームアップをもう少しなんとかしたい。フロントのロックアップに苦しんだんだ」とフェルスタッペン。
残り3分で6番手サインツ以下が2回目のアタックに出るが、チェッカー直前にグロージャンがターン10入口でスピンしてクラッシュ。
「何が起きたのか分からないよ、ブレーキングで何かが起きた。あぁ……」とグロージャン。前日の金曜日からトラブル、クラッシュがあり、厳しい週末になっている。
そしてバトンはターン15でランオフエリアにストップ。
「ウォールをヒットしたせいでステアリングが壊れてしまったみたいだ」と、バトンは無線でそう報告したが、実際には左リヤタイヤをパンクさせたためだった。
これら黄旗の影響で数台がタイム更新できない中、アロンソは8番手タイムを記録してQ3進出を果たした。
フォース・インディアの2台も9・10番手に滑り込んだが、セルジオ・ペレスは黄旗下のターン15で他車を追い抜いて審議対象に。バトンに加えてウイリアムズ勢、ハース勢、エリクソンがQ2敗退となった。
バリア修復のため10分遅れで始まったQ3は、全車がウルトラソフトでアタック。
ハミルトンは「右フロントタイヤがなかなかウェイクアップ(温まって)くれない」と不満を訴え、トップタイム1分42秒584を記録したロズベルグから0.704秒も差を付けられた。
このQ3で驚きだったのはレッドブル勢。「すごくひどいラップだった。フロントもリヤもロックすするし、タイヤの使い方を考える必要がある」とフェルスタッペンが無線で話すように、最初のアタックで3番手をライコネンに奪われ、ロズベルグから1秒以上の差で4位・5位に留まる。
しかし、2度目のアタックではリカルドがハミルトンのタイムを抜いて2番手のフロントロウスタートを獲得。フェルスタッペンはハミルトンに続く4番手。そして、ロズベルグはQ3最初のアタックタイムの更新はならなかったが、堂々、今季7回目のポールポジションを奪った。
「みんなありがとう、とてもクールな予選だったよ!」と自身のF1参戦200戦目をPPからスタートすることになったロズベルグ。
一方のハミルトンは最後のアタックでターン1、ターン7と相次いでワイドになり自己ベストを更新できず3番手。最後にコースインしたライコネンもタイム更新できず5番手。その後ろはトロロッソ勢が続き、8番手、10番手のフォース・インディア勢の間にアロンソが割って入った。
2番手リカルドは「ポールポジションじゃないけど、悪くないね!」と無線で報告。予選の1周アタックでは0.531秒差を付けられたがレースペースには自信を持っており、決勝のタイヤもメルセデスのウルトラソフトに対して、Q2をスーパーソフトでクリアしており、スタートタイヤの戦略も別れている。
明日の決勝、スタートのポジションと第1スティントがまずは勝負の分かれ目となる。メルセデスAMG対レッドブルの戦いはまだ終わってはいない。