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内田理央、山本舞香、石井杏奈……夏ドラマで飛躍した若手女優たち

2016年09月17日 14:31  リアルサウンド

リアルサウンド

 9月に入り、7月から始まった今シーズンのドラマも次々と最終回を迎え、残すドラマもあとわずか。夏のドラマは4月と10月の番組改編期の間にあること、さらに今年はリオオリンピックが重なったことも影響しているのか、全体的に視聴率は振るわず、大きな話題作は生まれなかった感がある今シーズン。そんな中でも、今後が期待される若手俳優が続々と登場した。見逃している人も多いと思うので、今シーズンにキラリと光った注目の若手俳優たちを紹介したい。


■コメディエンヌとして開花した内田理央


 まずは、今シーズンのドラマで1、2を争う名コメディエンヌぶりを開花させたのが、ドラマ24『侠飯~おとこめし~』に出演している内田理央。今回は、生瀬勝久や柄本時生、三浦誠己などの濃い役者たちの中で紅一点のヒロインを演じ、彼らの濃さに負けない存在感を見せている。現役のモデルなだけにスタイル抜群で正統派美少女の内田ではあるが、今回はBL好きな腐女子の女子大生という役柄でその武器は隠し、同級生の友人たちには男っぽくサバサバと接し、隙があればBLを妄想する。しかし時折見せる弱さで男のハートをグッと掴み、友人関係から淡い恋心を抱かせつつ、モヤっと一線を引く狡猾さもあり、内田はそのキャラクターをユーモラスに演じていた。


 中でも、内田理央の酔っぱらい演技は素晴らしく、警官に暴言を吐きまくってはケンカを売り、交通指示機の人形の動く手をわざと胸に当てて身悶えるシーンは、本人がインタビューで「私が今まで出したどのDVDよりもセクシーなポーズをしました(笑)」(参考
「今まで出したどのDVDよりもセクシー」 内田理央が語る、ドラマ『侠飯』の経験と女優としての展望)と言うように、ドキリとさせられるものがあった。主人公の良太をセクシーに誘い、そして酔いが覚めて冷静になったとき、自分の行いに泣く。喜怒哀楽全てが含まれたこの酔っぱらい演技は、若手俳優の中で5本の指に入るほどだったのではないか。その魅力的な演技には、番組スタッフも救われたのではないかと思う。


 元々はグラビアモデル出身でバラエティ経験も豊富の内田は、俳優としては2014年に『仮面ライダードライブ』のヒロイン役でブレイクし、2016年にセーラー服にふんどし姿でチェーンソーを持つ衝撃のビジュアルを見せたスケバン役の初主演映画『血まみれスケバンチェーンソー』では過激なアクションを見せるなど、笑顔を見せないクールな役が多い印象なだけに、『侠飯』で見せた、柄本時生に負けないほどの顔芸はインパクトがあった。今後の活躍に大いに期待したい。


■2016年注目の美少女がドラマで本領発揮!


 夏のドラマ界に爽やかな風を吹き込んだのが『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』に出演した山本舞香。宮沢りえに始まり、蒼井優や川口春奈など注目の新人女優を排出してきた「三井のリハウス」第14代リハウスガールを2011年から務め、昨年は映画『暗殺教室』や『Zアイランド』を始め、「JR SKISKI」のCMに出演し各媒体で注目され、今年も既に3本の出演映画が公開されたりと、16年のブレイク美少女として話題となっている。


 ドラマに関しては、以前から『まほろ駅前番外地』での殺人犯やドラマ『幽かな彼女』でのいじめっ子など、闇を抱えた女子高生キャラの演技は評価は高かった。一方で、昨年からの今年の始めにかけて放送された『南くんの恋人~my little lover』でのヒロイン役には賛否があり、その実力は未知数なところがある。しかし『ヤッさん』では、南くんの時とは別人かのように髪の毛をショートにし、ボーイッシュなツンデレキャラとなり、以前は何となく二階堂ふみや広瀬すずのような雰囲気があったが、ショートにしたことでその束縛から解放されたように明るく自然な印象になった。その軽やかなイメージチェンジは大成功だったといえよう。


■実力派2世俳優たちの中で光った紅一点、石井杏奈


 学園ものと言えば次世代スターを発掘する場。今シーズンの学園ドラマ『仰げば尊し』にも様々な若手俳優が登場し、特に村上虹郎、真剣佑、太賀など、実力派の2世タレントが多く出演したことでも話題となった。不良たちが寺尾聡演じる教師の熱意で更正し、吹奏楽部で全国大会の頂点を目指す王道の青春ドラマで、そんな不良たちが切磋琢磨する吹奏楽部の中、教師との架け橋にもなる女神的存在が石井杏奈だった。


 E-girlsから女優部門として突如送り込まれた刺客かと思いきや、ポカリスエットや積水ハウスなど、透明感のある少女を多数輩出してきたCMにも出演している。その瑞々しさと声の綺麗さが、一夏の青春という儚くも尊い時期を演じるのにうってつけだったのだろう。E-girlsの活発なイメージから一転、さわやかな純粋さを前面に出した役どころは、不良たちのよい中和剤となっていた。本作がこの夏、数少ないヒットドラマのひとつとなったのは、石井杏奈の魅力によるところもあっただろう。



 今期は他にも、『こえ恋』の永野芽郁や唐田えりか、『そして誰もいなくなった』の桜井日奈子など、話題のCMで活躍する女優たちが出演するドラマも多く、ベテラン俳優を主演に起用した作品が目立つ陰で、実はいろんな才能が生まれ飛躍していた、実験的なシーズンだったとも言える。昨今ではネットで過去の放送を配信している局も多いので、改めてチェックしつつ、秋ドラマへの期待を高めてみても良いかもしれない。(本 手)