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今宮純シンガポールGPの見どころ:トップ4チームが約1秒差、セクターで異なるマシン特性

2016年09月17日 08:41  AUTOSPORT web

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トップ3+1、シンガポールGP金曜FP2の1~7位に昨年と同じ4チームがきた。

 メルセデス、フェラーリ、レッドブル、そしてフォース・インディアが1.030秒内の接戦だ。これは今シーズン初めて。シンガポール夜空の下に火花が散った。

 セクター1はニコ・ロズベルグ、セクター2はダニエル・リカルド、セクター3はキミ・ライコネン、最速タイムがきれいに分かれた。ピット前とミドル・ストレートはパワフルなメルセデス・ステージ、ここで稼ぐロズベルグ。ラッフルズ大通りを左折して7つの低中速コーナーが続くセクター2は「レッドブル・ステージ」、攻めまくるリカルドがひとりだけ40秒をカット。

 “マーライオン像"を過ぎて右折するとマリーナ・ベイ沿いに直角コーナーが6つあるセクター3、ここを「フェラーリ・ステージ」にしたのはライコネン。フロントに切れ味、リヤに粘り味、流麗走法が久々に(失礼)決まっていた。その理由は気温28度、路面32度コンディションで、リヤタイヤのオーバーヒート症状をうまく抑えていたから(みんな、この最終セクションで訴えていたが)。

 大抵、3セクターを独り占めするメルセデスに対し、初日まだ滑りやすいダーティ路面においてレッドブルとフェラーリがそれぞれ強みを見せて阻んだ。「三車三様」のマシン・キャラがシンガポールのコース特性とともにはっきり感じ取れた。

 さて昨年の大敗から1年、メルセデスは緊張感をもってここに臨み、ロズベルグが1分44秒152まで短縮。しかし1位をあっさり奪ったというより守り切った印象が強い。あの“敗因"をたどればピレリの内圧問題がどうしても絡む。高い指定値→接地面減少→摩擦熱上昇→表面オーバーヒート→リヤ挙動不審……コーナーが多いセクター2から3で彼らは失速していった。

 チェックすると2014年は前後とも内圧は16psiで2015年に前18/後17psiに変わり、今年は前20/後17.5psiへ。この指定値の変化で気付くのは後輪が昨年より0.5psiしか高くないことだ。

同じ3スペック供給のオーストリアGPでは前22/後19.5psiだったのだから、大幅に低い指定値と言えるだろう。これが今年、メルセデスにどういう意味をもたらしたのか。金曜2セッションだけではまだその答えは見出せないが、付け加えるとどこのチームからもシンガポールで内圧に関するクレームはない。もちろんメルセデスも……。

 昨年はセルジオ・ペレス、今年はニコ・ヒュルケンベルグが6位に割って入ったフォース・インディア。5位セバスチャン・ベッテルに0.021秒差、彼が勝ったのは意外にもセクター2だ。イニシャル・セッティングを“プラス・ダウンフォース"気味に設定、おそらくペレスとその方向性を分けて2台で探ったのだろう。金曜夜から夜明けまでの間に両者のデータを精査、最適セットアップを構築しここで再逆転4位を狙う構えだ。

 2位攻防11点差のレッドブル対フェラーリ。4位攻防3点差のウイリアムズ対フォース・インディア。さらに6位攻防3点差のマクラーレン対トロロッソ。終盤にきて6チームが僅差で競い合う展開を目の当たりにするのはとても珍しい。ここから「ミドルリーグ7戦」がスタート――。