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嵐などのチケット「転売ヤー」の女性逮捕、なんで「古物営業法違反」なのか?

2016年09月16日 10:02  弁護士ドットコム

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人気アイドルグループ「嵐」のコンサートチケットを転売したとして、香川県に住む25歳の女性が逮捕された。その容疑が、古物営業法違反(無許可営業)だったことから、ネットでは「開演していないコンサートのチケットが古物なの」といった声があがっている。


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報道によると、女性は転売サイトを使って、嵐のコンサートチケット5枚を定価の1.6倍に当たる計約7万円で売った疑いが持たれている。女性はこのほかにも、チケット交換サイトや自費購入で手に入れたチケットを転売サイトに出品し、2014年10月~2016年4月までに、約1000万円を売り上げていた可能性があるという。


ネットでは「古物商の免許があったら転売してもいいの」「オークションに出品している人全員が該当するのでは」などの疑問も出ている。消費者問題にくわしい岡田崇弁護士に疑問点を聞いた。


●ポイントは「営業としてやっていたかどうか」

ーー古物営業法とは何か?


古物営業法は、盗品の速やかな発見や売買防止、窃盗などの犯罪防止を目的としています。この中で、古物の売買などの「営業」を行うには許可が必要とされています。


「古物」とは、大雑把にいえば「中古」のことです。ただし、開演前のチケットのように未使用のものでも、「使用のために取引されたもの」であれば、古物になります。古物は13品目に分類されていて、コンサートチケットはこのうち、金券類に該当します。


ーーなぜ、逮捕されたと考えられるか?


チケットを転売した人が、古物営業法で逮捕されるのは珍しいことです。今回のケースは「無許可で金券ショップをやってしまった」と考えると分かりやすいでしょう。


報道によると、女性の直接の容疑はチケット5枚の販売ですが、1年半で1000万円ほどの売り上げがあったと言います。この反復性・継続性から、「営業」としてやっていると判断されたのだと思われます。ただし、盗品の売買防止という法律の趣旨からすると、微妙な部分もある気はしますね。


ーー転売した枚数が少なかったら?


1~2回くらいでは「古物営業法違反」で逮捕されることはないと思います。過去には、ネットのオークションで手に入れたSMAPなどアイドル関係のチケットを金券ショップに転売し、200万円以上の利益をあげたとして古物営業法違反容疑で逮捕された事例もありますが、これも利益の大きさから「営業」と判断されたと思われます。


なお、今回のケースでは、許可を受けていれば「古物営業法」で逮捕されることはなかったでしょうが、許可があれば転売し放題かというとそうではなく、ほかの法律に抵触する可能性があります。


ーーたとえば、どんな法律があるのか?


よく見かけるのは、都道府県が定めた迷惑防止条例違反での逮捕です。多くの都道府県では、転売目的でチケットを購入することや、「公共の場所」で転売することを禁止しています。ただし、ネットオークションは「公共の場所」とは言い難く、チケットを大量に購入するなど、転売目的が明確でないと逮捕されにくい傾向があります。


このほか、チケットを高値で転売したとして、「物価統制令」違反で逮捕された例もあります。また、主催者が転売されたチケットでの入場を禁止している場合は、使用できないチケットであることを知りながら転売したとして、詐欺罪が成立する余地もあるでしょう。


ーー今回の逮捕による影響は?


ネットの転売で、ここまでの利益をあげる人は珍しいのではないでしょうか。反復性や継続性が認められれば、古物営業法に抵触する可能性がありますが、すべてのネット転売に適用されることはないと思います。


とはいえ、転売目的のチケット購入は、ほかの人の迷惑になりますので控えるべきでしょう。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
岡田 崇(おかだ・たかし)弁護士
日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会委員
事務所名:岡田崇法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.jp