東京都の小池百合子知事が9月14日、10月中旬から20時以降の職員の残業を原則禁止することを庁内放送で発表した。毎日新聞などの報道によると、小池知事は
「夜8時には完全退庁。このことを都庁の新しいルールにしたい」
と語り、残業ゼロへの意識改革を職員に呼びかけた。
「仕事の効率化に取り組み、早く帰ることを競い合う風土に」
小池知事は7月末に行われた都知事選から、仕事より育児や介護など家庭生活を大切にする「ライフワークバランス」の大切さを訴えており、「残業ゼロ」を目標にまずは都庁の職員から始めたいと話していた。
残業禁止が始まる10月中旬以降は、20時に全庁を一斉消灯する。20時以降の退庁者は庁舎出口で確認し、所属部局に伝える。事前に申請をすれば照明をつけて仕事を続けられるが、都職員支援課は「本当にやむを得ない場合に限る。かなり厳しく運用する方針」と話していたという。
2015年の職員一人当たりの平均残業時間は23.5時間。残業ゼロに向けて職員の意識改革を図るため、超過勤務縮減率の高い部署を全庁に公開する「残業削減マラソン」も導入する。
小池都知事は、「一種のショック療法。仕事の効率化に取り組み、早く帰ることを競い合う風土に変えていってほしい」と職員に呼びかけたという。
「夜8時までは残業ではないのか?」「残業ゼロになるの?」
小池知事の今回の発表はネットでも話題になり、ツイッターやはてなブックマークでは、歓迎する声が挙がった。
「長時間かければ良い仕事ができる訳でもないのだから、工夫するようになるから良いことだと」
「まずこうやって圧をかけることで、現場から『○○作業は無駄なので廃止できる』といった提案が上がってくるはず」
一方で、その効果に疑問を呈する人も多い。
「残業を減らそうと思うなら業務内容の見直しが先のはず」
「仕事を時間じゃなく、量で区切らないとダメなのでは?」
「ワークライフバランスというのは、多様な働き方を認めることであって、8時になったら一律に職場を追い出すことではないと思うんだけど」
ほかにも、「夜8時までは残業ではないのか?」「残業ゼロになるの?」といった指摘や、表面上は夜8時で退庁しても持ち帰り残業や早出で仕事をするだけ、という意見もあった。
残業をさせないためにオフィスの照明を強制的に消灯する企業は以前からあったが、結局社員がタイムカード打刻後にデスクライトを点けて仕事をするなど、残業禁止が有名無実化するケースもあった。
ネットでは「いきなり数値目標出すよりも、実態の把握が先じゃないかね」など、重要なのは残業させないことではなく、なぜ残業が発生しているのかを分析し、業務を見直すことではないか、という声も出ていた。
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