倉持裕の新作舞台『お勢登場』が、2017年2月10日から東京・三軒茶屋のシアタートラムで上演される。
倉持が作・演出を手掛ける『お勢登場』は、江戸川乱歩の作品世界をモチーフにした作品。乱歩の短編小説『お勢登場』『二銭銅貨』『二癈人』『D坂の殺人事件』『押絵と旅する男』『木馬は廻る』『赤い部屋』『一人二役』の8本を、1つの演劇作品として再構成する。
キャストには悪女・お勢役を演じる黒木華をはじめ、片桐はいり、梶原善、水田航生、川口覚、千葉雅子、寺十吾が名を連ねている。チケット一般発売は12月4日からスタート。なお『お勢登場』は、3月1日から福岡・福岡市民会館、3月4日と5日に大阪・梅田芸術劇場シアタードラマシティでも上演される。
■黒木華のコメント
倉持さんがやっていらっしゃる「ペンギンプルペイルパイルズ」の作品に友人が出ていて、そこで初めて倉持さんの作品を見ました。
とても面白く、いつか出られたら…と思っていたので、やっと出演できます!しかも新作に…と大変嬉しく思います。
「江戸川乱歩」は私も好きな作家ですし、まるで夢の中にいるような少し妖しい世界を、お勢と他のキャストの方々と一緒に体験出来るのが待ち遠しいです。
■片桐はいりのコメント
夢か現かわからぬような江戸川乱歩の世界をもとに、本気か冗談かわからぬような倉持裕さんの書き下ろしで、摩訶不思議な、すてきな戯曲ができあがりました。
私にとって、いつも刺激的で挑戦的な作品をやらせていただいているシアタートラムで、再び倉持さんの作・演出でお芝居ができるのは、とっても幸せです。しかも今回は、強力な共犯者がたくさん、しかもみなさん初共演で、刺激倍増。
より、チャレンジングに、世の中の当り前をぐりっと反転させるような、脳みそが捻挫するような、迷路にはまって思わず隣席の人の手を握りたくなるような心騒ぐ舞台をお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
■水田航生のコメント
さり気無いようで緻密に練られた笑いなど、倉持さんの織り成す世界が以前から好きで、ワークショップにも参加したりと一ファンでした(笑)。江戸川乱歩の小説のワクワク感をお客様に抱いてもらいながら、いかに舞台ならではの表現になっていくのか、楽しみです。
シアタートラムには2015年に『マーキュリー・ファー』で立たせていただいたのですが、ステージから客席が本当に近くて、演者とお客さんという垣根がある意味無く、劇場が一体となって作品にのめり込む事が出来る素晴らしい空間だなと思います。
念願の倉持さんの作品で、錚々たる顔ぶれの皆さんと共演させていただくので、少し空回りしないかな?と心配なぐらい気合いが入っております!江戸川乱歩の世界観、空気感をシアタートラムに創り出せるように精一杯頑張ります。
■川口覚のコメント
初めて倉持さんの作品に出演させていただいた時、今までに経験したことのない刺激的なことばかりで、僕の中の子供心をくすぐられたのを今でも鮮明に覚えています。
あれからもうすぐ3年経ちます。その間にも倉持さんの作品を拝見するたびに、また絶対にご一緒したいと強く思っていました。
江戸川乱歩の原作と倉持さんの世界観がたっぷり詰まった脚本、それに加え多彩な俳優さん達との共演は想像しただけで今から興奮しています。
皆様の心に刻まれるような作品にする為に、僕もキャストの1人としてこの作品と真摯に向き合っていきたいです。
■千葉雅子のコメント
江戸川乱歩の短編を倉持裕さんが独創的に紡いで、新たな世界を舞台に創り上げる。幻想、猟奇、倒錯的なイメージと倉持さんの軽妙であざやかなエッセンスが、どんなふうに化学反応をおこして行くのか。台本を読み終えまして、期待に胸を熱くしています。また長く劇団を率いている倉持さんの稽古が、どんなふうに進んで行くのか。同じく劇団育ちの身としても、とても興味深いです。一日一日、大切に過ごしたいと身も引き締まります。魅力的で素敵なメンバーとご一緒できるのですから。と、肩にいささか力が入り過ぎるようなので、初日までの数ヶ月を脱力方法も模索しながら、作品世界にきちっと存在できるよう力を尽くしていく所存であります。
■寺十吾のコメント
作品も題材も演出家も出演者もスタッフも全部が全部初めてな公演は二十年以上この仕事してきて久しぶりです。しかもなんて贅沢な顔触れ。
はぁ、緊張と興奮で眠くなります。緊張とプレッシャーも度を超えると眠くなってくるんですね。明らかな逃避作用です。だから早いうちからこの公演のこと考えるのはよそうと思うのですがそれも儘なりません。江戸川乱歩を読んどこうとするとやはり興奮と緊張で眠くなります。助けてください。
いやでも、今回はこの微睡んだ感じで乱歩を演るのも悪くないかもしれない。決してフザケてる訳ではありません。緊張してるんです。
皆さんよろしくお願いします。
■梶原善のコメント
何本かくらもちさんの舞台を観せて頂き、人間の中身の面白味やつまらない所や憎たらしい所を上手く描いているし、舞台作りにも、くらもちさん特有のセンスがあり!いつか、是非とも、何回でも出演させて頂きたいと手ぐすね引いてお待ちしておりました。
江戸川乱歩は“薄暗闇”“陰”“後ろ姿”というイメージ。シアタートラムという何を演るにも心地よい空間で、演じる方も観る方も、“ドキドキ”しそうです。
んーくらもちさんの演出!江戸川乱歩感!クセモノ揃いのキャスト!久々のシアタートラム!稽古場に行くのが楽しみ、何度も言いますが”ホント”もうドキドキです。
■倉持裕のコメント
本作は、江戸川乱歩の多数の作品群の中から厳選した八本の短編小説を、複雑な手法で編み上げ、一本の演劇作品として再構成したものである。その八本は、乱歩作品の中の二大ジャンル「本格推理もの」「怪奇・幻想もの」の両方から分け隔てなく選んだ。
俳優のほとんどが複数の役を演じる。妻の不貞に耐える夫を演じていた俳優が、次の場では浮気者になり、また、とある長屋でマゾヒストだった女優が、別の下宿屋では純朴な画学生になる、といった具合である。これは、乱歩の描く人間の不可思議な多面性を強調する試みの一つである。
細分化し、さらにシャッフルした八つの物語は、入れ子構造の複雑な形を取るが、それは舞台美術を駆使した転換によって、ある程度明快に見せる。「ある程度」とことわるのは、乱歩の迷宮めいた作品世界を表現するには、それなりの複雑さは必要だと考えるためである。