ピレリのマルコ・トロンケッティ・プロベラ会長がメルセデスに対し、2017年用F1タイヤテストのどこかの段階で、レースドライバーのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグを起用してほしいと要望を述べた。
メルセデス、フェラーリ、レッドブルの3チームは、よりワイドになる来季のタイヤを開発中のピレリに協力している。彼らは2015年のマシンに手を加えたものを使用しているが、すでにフェラーリはセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンにこのクルマをドライブさせてきた。
一方、メルセデスは、今月初めにポール・リカールで3日間にわたって行われた彼らにとって初の新規格タイヤテストを、リザーブ兼マノーのレースドライバーであるパスカル・ウェーレインに任せた。また、レッドブルは8月のテストにおいて、元トロロッソのドライバーでフォーミュラEチャンピオンのセバスチャン・ブエミを起用している。
だが、ピレリは当初から、「現役のレースドライバー」によるテストを希望してきた。その点、ウェーレインには十分な資格があるとも言えるが、プロベラは「いまのところ、彼ら(ハミルトンとロズベルグ)にテストを担当させる予定はない」というトト・ウォルフの発言を、メルセデスが翻すことを望んでいる。
この3チームはレースドライバーを参加させることに同意したかとの質問に、プロベラは次のように答えた。
「もし彼らがそうしないのであれば、それは間違った判断だ。フェラーリはレースドライバーの2人をテストに参加させた。他の2チームもそうしてくれることを希望する」
「チームで最も優れたドライバーが乗ることが重要だ。(新タイヤによって)スピードが大きく変わるので、トップレベルのドライバーにテストしてもらう必要がある。彼らには(タイヤの)違いを理解できる経験と感覚能力がある」
メルセデスは、あと5日間のテストを予定しており、レッドブルは残り6日間、フェラーリは4日間だが、ロズベルグは「本当に使えるタイヤになるまで」待ちたいと発言している。
これに対し、プロベラは「誰がドライブするかはチームに任されており、今後の予定はまだ決まっていない。私としては、予定表に彼ら(レースドライバー)の名前が載ることを期待している」と語った。
とはいえ、ピレリは2017年の大幅な仕様変更に向けて、本格的なテストプログラムを実施できたことに、ひとまず安堵しているようだ。このテストでは、来季のダウンフォースレベルをシミュレートするため、旧型車に改造を施したクルマを走らせている。
「(テストは)きわめて重要だ。これほど大きな変更を、本格的なテストもせずに進めることはできない」とプロベラは述べた。
「来季のクルマは1周あたり4、5秒も速くなる。十分なテストもせずに、それほどのパフォーマンスに対応したタイヤを作ろうとするのは愚かなことだ」
「だが、こうしてテストプログラムが設けられ、実施されており、今のところはすべて順調だ」