昨年度は“SUVイヤー”として、新型車種の投入や車名整理が相次いだメルセデス・ベンツ。今後「GL」というSUVペットネームの後ろに車格を表すアルファベットを加えるという、クーペの「SL-」などと同様の方法論を用いることになったが、そのSUVファミリーの末弟で昨年デビューを果たした最新モデル『GLC』に、プラグインハイブリッドの『GLC 350 e 4MATIC Sports』と、同モデル初のAMGモデルとなる『メルセデス AMG GLC 43 4MATIC』が追加。9月9日より発売となった。
これまで2.0リッターの直噴4気筒ターボと4マティックのパワートレーン1本で、トリム違いによるグレード展開としてきたGLCだが、追加が予定されていたクリーンディーゼル、プラグインハイブリッドのうち、後者が先に上陸となった。
今回はCクラスのC350eにも搭載されているプラグインハイブリッドシステムを移植。最高出力211PS(155kW)、最大トルク350Nmのエンジンに、最高出力116PS(85kW)、最大トルク340Nmを発生しブースト機能も併せ持つ高出力の電気モーターを組み合わせ、システム出力は320PS(235kW)/560Nmとなった。
JC08モードは13.9km/リッターだが、4つのハイブリッドモード(HYBRID/E-MODE/E-SAVE/CHARGE)のうち、EV走行となる「E-MODE」を使えば、最長で30.1kmの電動走行が可能となっている。
8.31kWhのリチウムイオンバッテリーの充電時間は、フル充電まで「CHARGE」モードで1時間以内、AC200V電源使用で約4時間。
リヤサブフレーム上に配置されたパッケージングは同一ながら、Cクラスではラゲッジルームに段差ができるなど苦心の跡が見えたが、このGLCではゴルフバッグ3セットを積載可能なラゲッジの実用性も確保している。
また、Cクラスに準じたマスクながらLEDアイラインはより広範囲で点灯するヘッドランプや、ブレーキキャリパーにはブルーのアクセントカラーも入れられている。
そして、GLCでは初となるAMGモデル『メルセデス AMG GLC 43 4MATIC』は、Cクラス系などでおなじみのMercedes-AMG製3.0リッターV型6気筒直噴ツインターボを搭載。最高出力270kW/367PS、最大トルク520Nm、0-100km加速4.9秒のハイパワーを実現しながら、クランクケースとシリンダーヘッドをアルミニウム製とするなど、軽量化にも配慮した最新のエンジンとなっている。
もちろん、そのエンジンに見合った駆動系には、通常31:69とリヤ寄りの駆動力配分とした「AMG 4マティック」や、コンフォート/スポーツ/スポーツ+の「ダイナミックセレクト」を備えたAMGスポーツサス、フロント360mmのドリルドローターを備えた強化ブレーキ、軽量低排圧の「AMG スポーツエクゾーストシステム」など、数々のパフォーマンス装備がおごられている。
価格は『メルセデス AMG GLC 43 4MATIC』が、43AMGで最もリーズナブルな863万円。100%エコカー減税適用となる『GLC 350 e 4MATIC Sports』は863万円で、左ハンドルのみの設定となる。
また、両者ともにミリ波レーダー式PCS(衝突被害軽減システム)/ACC(車間距離制御システム)、側方死角車両監視、車線逸脱支援といった基本機能に加えて、前後の複数レーダーやステレオカメラにより歩行者対応や側方車両飛び出し検知ブレーキアシスト、急接近する後方車両への追突警告などの機能も採用。
さらにACCは停車までサポートする全車速型。側方死角車両監視には車線変更時に死角車両を検知するとブレーキを用いて進路修正を行い危険を回避する機能も装備している。
通常の250系でも、メルセデスラインナップの中で随一とも言える、驚くほど収まりのいい乗り心地を披露するGLC。この2モデルでさらに“味わい”のバリエーションも広がることとなった。