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「君の名は。」三葉ちゃんの「口噛み酒」が話題…個人で作って売っても問題ない?

2016年09月14日 10:42  弁護士ドットコム

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大ヒットとなっている新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」の作中に出てくる「口噛み酒」というお酒がネットで話題を呼んでいる。


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話題のシーンは、主人公の女の子(三葉)が、実家の神社の巫女として、「口噛み酒」という伝統的な酒造りを人前で披露しているところだ。「口噛み酒」について、「君の名は。」の劇中では、三葉の友人が、「米を噛んで、唾液と混ざった状態で放置しておくだけで、発酵してアルコールになるという日本最古のお酒」と説明している。


このシーンがネットで注目され、 「三葉ちゃんの口噛み酒」としてツイッターなどSNSを中心に話題となっている。影響を受けたネットユーザーの中には、実際に自分で「口噛み酒」を作っている過程を撮影して「口噛み酒を作ってみた」という動画まで公開している人もいる。


映画では、三葉の妹が、「巫女の口噛み酒」の商品化を提案し、「きっと売れるわ!」と三葉に提案するシーンがある。もし、個人で「口噛み酒」を作って、販売することは法的に問題ないのか。西口竜司弁護士に聞いた。


●アルコール度数が1%以上の飲料を製造すると「酒税法」の規制を受ける

「アルコール度数が1度(%)以上の飲料とすることができるものは、酒税法上の『酒類』にあたります。


そして、この『酒類』を製造するためには、製造する場所を管轄する税務署長から、酒類の製造免許を受ける必要があります。許可を受けずに酒類を製造すると、酒税法違反になります。


酒税法54条1項によれば、『酒類、酒母又はもろみを製造した者は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する』と規定されています。


今回話題となっている『口噛み酒』も、もし1%以上のアルコール分を含んでいるものを製造した場合は、刑罰を科せられる可能性があるでしょう」


西口弁護士はこのように述べる。1%未満のものであれば、製造しても酒税法上は問題ないということのようだ。また、自宅で梅酒を作って楽しむ人もいるが、酒類を製造したことにはならないのか。


「その場合は例外が定められています。


たしかに、焼酎などに梅をつけて自家製梅酒をつくることは、酒類と他の物品を『混和』して、新たに酒類を『製造』したものとみなされます。


ただし、消費者が個人的に楽しむためにつくることは、例外として『製造』にあたらないとされているのです(酒税法7条、43条11項)。


一方で、お米を発酵させてアルコールを製造する『口噛み酒』の場合、こうした例外にはあたりません」


個人で楽しむ分には、個人の自由とも思えるが、なぜこうした規制が存在するのか。


「何となく、衛生上の観点から定められているようにも読めますが、酒税を確実に徴収する趣旨で定められた法律です。一般人がそれぞれ自由に酒類を製造してしまうと、税金を適切に徴収できないというわけです。


近年規制緩和の動きがあるところですが、アルコールを製造することについては政府の方針は変わっていません。個人的にはそんなに大きな問題でもないような気もするのですが、法律がある以上、現状ではこうしたルールになっています」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/