ハースは今週末のシンガポールGPで、アップグレードパッケージを投入する。これは彼らにとって今季最後のアップデートになり、その後は2017年に向けた開発に専念するという。
アメリカを本拠地とする新規参入チーム、ハースは、シーズン序盤戦で力強いパフォーマンスを示し、開幕からの4戦のうち3戦でポイントを獲得した後、オーストリアでもポイントフィニッシュを記録した。そして、一時成績が低迷した時期はあったものの、夏休み明けにはロマン・グロージャンとエステバン・グティエレスが、いずれもあと一歩でトップ10という位置で戦ってみせた。
予想を超える序盤戦の活躍の後、彼らは2年目にスランプに陥るのを避けようと、来季に向けたプランに力を入れ始めたとも言われている。しかし、このシンガポールで投入予定のアップデート(フロントウイング、フロア、ブレーキダクトを含む)は、かなり前から計画されていたようだ。チーム代表のギュンター・シュタイナーは、次のように語っている。
「今年のクルマの開発は、2カ月以上も前に完全に終了した。今回のアップデートは風洞実験のデータによるもので、実際にパーツを作るのに少々時間がかかった」
「来季に向けての準備に十分な時間をかけたいので、2016年のクルマに関しては、これが最後のアップデートになる」
「(空力のアップデートの成否を)シンガポールで判断するのは難しいが、学習のためにもここで導入したかった。シンガポールは、いずれにしてもギャンブル的な要素の強いレースになるから、このパッケージが機能するかどうかを確認しておいて、その後のレースで存分に生かせるようにしたい」
ハースはモンツァで、フェラーリのワークスチームと同時にエンジンのアップグレードを行い、戦闘力を高めることができた。それもあってシュタイナーは、トロロッソに挑戦してコンストラクターズ選手権7位の座を奪うことに目標を置いているが、残り7戦で17ポイントの差を縮めるのが容易ではないことは、十分に承知しているという。
「何とかトロロッソに追いつこうと努めている。だが、上位の5チームにトラブルが起きない限り、私たちがポイント圏内に入るのは難しい。そして、10位でフィニッシュできたとしても、獲得できるのはわずか1点で、トロロッソとの間には17点の差がある」
「過去3戦では、トロロッソより私たちのほうが競争力は高かった。それは結果を見れば明らかだ。私たちは着実に進歩してきたが、問題はトロロッソに勝てるかどうかではなく、さらにその上のチームにも勝たないとポイントを獲れないことにある」