F1のタイヤサプライヤーであるピレリは、2017年のプレシーズンテストの開催地として、スペインではなく、バーレーンを強く希望している。
イタリアGPの週末に浮上した日程案によると、来年のプレシーズンテストは各4日間で2回(2月27日~3月2日と、3月7日~10日)とされている。しかし、実施される場所は未定で、現時点ではパドック内でも意見が分かれているが、一部のチームは経費削減のためヨーロッパ域内でのテストを望んでいるという。
だが、来季からワイドな新タイヤを導入するピレリは、他のいくつかのチームの支持も得て、バーレーンでのテスト開催を求めている。ピレリの新しいタイヤは、プレシーズンテストで初めて2017年仕様のマシンに装着されることになる。その点を考慮して、彼らはその時期のまだ寒いヨーロッパよりも、シーズン序盤戦の気温と路面温度に近い条件のサーキットで走らせて評価をしたいのだ。
「テストの開催地については、まだ何も明らかにされていないが、私たちの希望はなるべく温暖な場所だ」と、ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーは述べた。
「以前から言い続けているように、これほど大きな仕様の変更があった年には、なるべくシーズン序盤戦の条件に近いところでテストをしたいし、ヨーロッパでそういう場所を探すのは難しい」
「たとえば、(2月末から3月初めの)バルセロナの気温や路面温度は、開幕後にレースが行われる時よりもずっと低い。私たちが行きたいのは、例を挙げればバーレーンのようなコースだ」
また、ヘンベリーが特に懸念しているのは、いまのところ、フルウエットとインターミディエイトの2種類のウェットタイヤを試すためのテストが、予定に組まれていないことだ。
現在、ピレリはフェラーリ、メルセデス、レッドブルの2015年のマシンに手を加え、2017年のダウンフォースレベルに近づけた車両を使って、新しい各種タイヤのテスト走行を行っている。だが、ヘンベリーによれば、シーズン開幕までに少なくとも1日か2日をかけて、ウエットタイヤのテストを行うことがきわめて重要だという。
「このようにトレッド面の幅が広いタイヤへ移行する場合は、アクアプレーニングの発生を適切なレベルに抑えながら、ウエットハンドリングとのバランスを見極めることが、大きな技術的課題になる」
「チーム側には、レースの週末を迎えてから初めてウエットタイヤの特性を知るよりも、開幕前の段階で何らかの機会を設けたほうが賢明だと伝えている」
「ただ、現実問題として現在のF1では、理想的なウエットテストを行うのは不可能に近い。フィオラノやポール・リカールが使えるとしても、開幕前にそれらしいことをやろうと思えば、多くても3台くらいのマシンで実施するしかないだろう」
「何よりも大きな問題は、プレシーズンテストの日程以前には、2017年仕様のマシンがまだ物理的に存在していないことだ」