トップへ

YAMAHA MotoGP第13戦サンマリノGP レースレポート

2016年09月12日 17:11  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

バレンティーノ・ロッシ
ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
Rd.13 9月11日 サンマリノ

RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦サンマリノGP
■開催日:2016年9月11日(日)決勝結果
■開催地:イタリア/ミサノサーキット(4.226km)
■観客:100,496人
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度 ■路面温度:43度
■PP:J・ロレンソ(1分31秒868/ヤマハ)
■FL:D・ペドロサ(1分32秒979/ホンダ)

REPORT
ロッシとロレンソ2‒3位ダブル・ポディウム
 大勢の熱狂的なイタリア人ファンが、客席から身を乗り出してMovistar Yamaha MotoGPのヒーローに声援をお
くった。ミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリで力強い走りを見せたV・ロッシは、ほとんどの時
間帯でレースをリードしたあと2位でチェッカー。チームメイトのJ・ロレンソも終始ハイペースを維持し、ロッ
シに続く3位を獲得した。

 予選2番手からスタートしたロッシは、M・ビニャーレス(スズキ)とサイド・バイ・サイドの状態で第1コーナ
ーへ進入。続く第2コーナーでマシンを素早く左へ振って前へ出ると、さらにその前方を行くロレンソを追う。オ
ープニングラップを終えた時点でロレンソとの差は0.202秒あったが、その1周後には追いついて第14コーナーで
トップに浮上。そして3ラップ目に1分33秒672、5ラップ目に1分33秒384と立て続けにファステストラップをた
たき出し、ロレンソを一気に引き離して0.8秒もの差をつけた。

 地元のヒーローはその後もプッシュを続けて1.2秒のアドバンテージ。しかしD・ペドロサ(ホンダ)がロレンソ
を抜いてロッシに迫る。3ラップ後にはふたりのトップ争いへと発展し、ロッシはマシンを大きく振りながら懸命
にリードを守ろうとするものの、残り7ラップの第4コーナーで先行を許してしまった。残り3ラップでは1分33秒
025の自己ベストを記録するなど最後まで全力を尽くしたが、そのまま2位でチェッカーを受けた。

 一方、ポールシッターのロレンソは絶好のスタートでホールショット。そしていつものように、序盤からペース
を上げて一気に後続を引き離そうとする。しかしロッシがそのテールにしっかりとついていた。1ラップ後には第
14コーナーでロッシが先行。ロレンソも簡単にはあきらめず、着実にペースを上げながらチャンスを窺っていた
が、その後方からもう1台が近づいてきていた。ペドロサと2位争いを展開しながら、ロッシとの差も詰めたいロ
レンソ。しかし2ラップ後にはペドロサに抜かれて3位に後退。その後も前の2台を懸命に追い続けるが届かず、最
終的にはトップから4.359秒離されて3位でチェッカーを受けた。

 ロッシは20ポイントを獲得して合計180ポイント。ランキング2位をキープし、43ポイント差でトップを追って
いる。ロレンソは合計162ポイントとなり、ロッシを18ポイント差で追うランキング3位。Movistar Yamaha
MotoGPは短い休暇のあと、2週間後のアラゴンGPに出場する。

エスパルガロが9位
 10万もの熱狂的ファンが詰めかけたミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリ。Monster Yamaha
Tech 3のP・エスパルガロが終始、攻めの走りを続けて9位を獲得した。
グリッド4列目の先頭からスタートしたエスパルガロは、1周目を慎重に走り切ってスタート・ポジションをキー
プ。そのあと素早くペースを上げ、力強いリズムでA・エスパルガロ(スズキ)を追って行った。これを8ラップ
目でパスすると、さらにC・クラッチロー(ホンダ)、M・ピロ(ドゥカティ)を追い、レース終盤でその差を詰
めながら9位でゴール。

 一方、怪我で欠場中のB・スミスに代わって出場したローズは、ポイント獲得を目指して走行中に8ラップ目で転
倒リタイア。予選14位からスタートしたあといくつか前へ出たものの、17位へ後退してオープニングラップを終
了。その後は安定したリズムで挽回を目指していたが、16位走行中、レースの4分の1ほどを終えた第1コーナー
で転倒を喫した。モトGPはわずか2回目。プラクティスでは好調ぶりが注目を集めていたが、残念な結果に終わ
ってしまった。来週はワールド・スーパーバイク選手権ドイツ大会に出場し、2週間後のアラゴンGPで再び、
Monster Yamaha Tech 3チームに合流する予定。

COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(2位)

「マルケスを相手に全力で戦った。リズムが良かったので優勝できると思っていたが、あとになってペドロサが追いついてきたんだ。彼は本当に速くて、僕も懸命にがんばったけれども彼のペースにはどうしてもかなわなかった。ミサノで優勝できなかったことはとても残念だ。ここは僕にとって、とくに勝ちたいレースだからね。サーキットに来てくれたファンのみんなに感謝している」

J・ロレンソ選手談(3位)

「もっとがんばれると思っていたから、あまり喜べないよ。優勝を目指してハードにプッシュしていったけれど、単純にペースが足りなかった。とくにダニ(ペドロサ)のペースは素晴らしく、ロッシも僕よりコンマ1秒くらい速かった。だから1周ごとに少しずつ離されて、結局、最後まで追いつくことができなかったんだ。彼らは本当に速かったよ」

M・メレガリ、チーム・ディレクター談

「バレンティーノとホルヘがともに好スタートを切ったあと、今日はきっと勝てると思っていた。バレンティーノは果敢に攻めてレースをリード。残り7ラップまでトップをキープしていたが、とうとうペドロサに抜かれてしまった。ホルヘは持ち前の好スタートを切り、最後まで前のふたりについて行こうと全力で走り切った。バレンティーノが2位、ホルヘが3位。チームのホームレースでふたりが表彰台に上ることができたのはとても良かったと思う。前の3レースでもしっかりポイントを獲り、ランキングトップに着実に近づいてきている。この好調を次のアラゴンGPにもつなげていく。次回は我々の冠スポンサーであるモビスターが開催をサポートする重要な一戦だ」

Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談(9位)

「今日は僕の本当のベストを出し尽くしたつもりだけれど、非常に難しいチャレンジだったことを認めなければならない。体力的にもとても厳しく、いろいろなことが思うようにできなかったんだ。それでもアレイシ(エスパルガロ)とのバトルのなかでは、彼のマシンのほうが力が上のようだったのに、決してあきらめず、8ラップ目、彼が最終コーナー進入でミスをする間に僕は完璧に行ってパス。さらにレース終盤ではカル(クラッチロー)に照準を合わせ、1分33秒9の好タイムを記録して、その差を1.4秒まで縮めることができた。そしてそのあとも全力で攻め続けたんだ。カルとのランキングポイント差はわずか6ポイント。次回はこれをさらに縮めるため、もっと強くなってアラゴンのコースへ戻るよ」

A・ローズ選手談(DNF)

「昨日までがとても順調だっただけに、今日のこの結果にはがっかりだ。正直に言えば、真の戦いに入る前に、悔しいことに小さなミスをしてしまった。プラクティス・セッションのなかで多くの周回を重ね、全体を通して良いペースを維持し、ラップタイムも着実に上がってきていた。ラップごとにYZR-M1への理解も増してきていて、着実に強くなってきていたのに、このような結果になってしまって本当に悔しいよ。モトGPで素晴らしい経験をさせてもらい、チャンピオンシップのプレッシャーのないところで心から走りを楽しんできた。だからこそ今日は、好成績を獲得してチームのみんなの努力に報いたかったんだ......。残念ながら結果にはつながらなかったけれど、前回のシルバーストーンと比べて大きく成長できたと思っている。そして次回のアラゴンGPにも出場できることになりスーパー・ハッピーなんだ! でもその前に、来週はドイツのラウシッツリンクでワールド・スーパーバイクがあるので、本来の自分の使命に集中して立ち向かわなければならない。モトGPで得た経験が力強く背中を押してくれて、表彰台争いに絡んでいけると確信しているよ」

H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談

「グリッドは4列目と5列目。決して楽な戦いにはならないことはわかっていた。しかしそのなかでチーム全員がベストを尽くし、今は次のラウンドを楽しみに思えるようになった。ポルは絶好のスタートを切って序盤から良いポジションにつけた。そしてそのグループのなかで激しいバトルを展開。前回のシルバーストーンでの怪我がまだ痛んでいるというのに、ウイークを通して努力を続け、ハイペースをキープし続けたポルに感謝の気持ちでいっぱいだ。

一方のアレックスについても、予選を含めたすべてのプラクティス・セッションでベストを尽くし、着実に成長してきたことをうれしく思っている。今日はその彼の転倒を見ることになり残念だったが、ヤマハ関係者、そしてMonster Yamaha Tech 3チームの誰もが、彼のパフォーマンスに注目していることは間違いない。次回アラゴンGPもアレックス・ローズ登用する。彼にとっても、これが今後の輝かしいキャリアへと続く重要なチャンスになることを願っている」