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P.MU/CERUMO・INGING スーパーフォーミュラ第5戦岡山 レースレポート

2016年09月12日 15:21  AUTOSPORT web

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スーパーフォーミュラ第5戦岡山レース2 表彰式
2016 SUPER FORMULA

第5戦
岡山国際サーキット

レースレポート

◆9月11日(日)天候:晴れ|コース状況:ドライ

#1 石浦宏明 3位/#2 国本雄資 優勝

 2016年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦・Race2が岡山国際サーキットで開催され、国本雄資が念願の初優勝。石浦宏明も3位となり、P.MU/CERUMO・INGINGはこの2人体制になって初となる揃っての表彰台獲得を果たした。

 前日のRace 1はピット作業義務のないスプリントレースだったが、このRace 2は51周に周回数が伸びるほか、タイヤの4本交換も義務づけられる。戦略の幅も広がり、チームの総合力が問われる戦いとなるが、それでもオーバーテイクの難しい岡山ではスターティンググリッドの重要性も高い。まずは石浦、国本ともにポールポジションをめざし公式予選に挑んだ。

 Race 2のスターティンググリッドを決める公式予選は、2セッションによるノックアウト方式。今回はQ1上位10台がQ2に進出できることになっているが、そのQ1では国本が8番手、石浦に至っては1000分の7秒という僅差で10位に食い込むことに成功した。前日の速さから一転、2台とも苦戦の様子を見せたかと思われたが、10分のインターバルでチームは体勢を立て直す。

 10台で争われるQ2は、残り時間が5分を切り各車がタイムアタックに入るタイミングで赤旗中断に。セッション再開後、限られたわずかなチャンスの中で先陣を切ってコースへと向かった2台は、最終アタックで石浦が1分14秒656をマークして2番手、国本は1分14秒928で6番手となった。その後、3番手タイムをマークしたストフェル・バンドーンに対し3グリッド降格のペナルティが下されたため、国本は5番グリッドを手に入れることになった。

 日差しも傾き始めた午後3時、決勝レースがスタートした。順当なスタートを切った石浦に対し、国本は1周目のタイヤ交換を選択。上位陣の中では唯一このタイミングでのピットインを選んだ国本は、暫定13番手となりピット作業を済ませたメンバーの中でトップでコースに復帰した。前方とは大きなギャップがあるため、国本は他のマシンに引っ掛かることもなく自分のペースで周回を重ね、他のドライバーがピット作業に入るごとにポジションアップ。21周目には、ピットインを遅らせる作戦に出た石浦の後ろ、2番手まで順位を回復する。

 石浦との差は約27秒あったが、ピットインのロスタイムを考えれば、国本は実質的にトップに出ていることになった。対する石浦は20周目まで前を走る野尻智紀にペースを阻まれていたが、野尻のピットイン後はなんとか国本とのギャップを広げようとペースアップを図っていた。

 しかし国本のペースも良く、後ろを走る中嶋一貴、ピット作業を済ませた野尻らとの差はじわじわと広がっていくが、2台の差は27秒台から変わることなく周回数が重ねられていく。そんな30周目、レース展開が大きく動く。

 中団を走っていたナレイン・カーティケヤンがコース上でスピンを喫しストップ。セーフティカーが導入されることになったのだ。カーティケヤンのマシンがストップしていることをコース上で確認していた石浦はすぐさまピットインを選択。チームもすでに準備をしており、セーフティカーが出るタイミングで石浦はピットに滑り込んでくる。

 メカニックたちはミスなく作業を済ませ、石浦はコースイン。すでに国本、中嶋が先行し、野尻と並ぶ形でコース復帰を果たすことになった。実はこの際、コントロールライン上ではわずかに石浦の方が前に出ていたものの、コース上を走行していた野尻のマシンがスピードに乗っていたこともあり先行。石浦は野尻の背後に回ることになってしまった。後に、野尻にはセーフティカー中の車両追い越しによるドライビングスルーペナルティが出されるが、35周目にリスタートが切られてから野尻がペナルティ消化に向かうまでの約5周を石浦は再び野尻の攻略に費やすこととなった。

 この間、国本は中嶋とのギャップをコントロールしながらトップを快走。1周目にピット作業を済ませたため、すでに40周以上を走っているタイヤではあるものの、大きくペースを乱すことなく周回を重ねていった。全車がピットに入った32周目にトップに立ってから20周、完璧にレースをリードした国本は念願のトップチェッカーを受けた。2013年の秋に開催された富士スプリントカップでの優勝経験はあるものの、シリーズ戦での国内フォーミュラ最高峰カテゴリーでは待望の初優勝となった。

 国本の初優勝がほぼ確定したレース終盤は、石浦対中嶋の2位争いに注目が集まった。石浦が3位に上がった41周目の時点で、両者の差は約5秒。しかし、ここから石浦は一気にギアチェンジし、上位陣が1分18秒台で走行する中42周目に1分17秒354の暫定ファステストラップをマーク。更に17秒台を4周連続でたたき出し、44周目には1分17秒232と自らが記録したファステストラップを更新。中嶋の背後へ一気に0.4秒差まで迫った。

 ここからは息をつかせぬバトルが続き、石浦はコーナーの進入などで再三オーバーテイクを仕掛けるが、なかなか決定的なチャンスを作れずにレースはファイナルラップへ突入。最後は中嶋が温存していたオーバーテイクシステムを連発し、石浦は猛追するもそのままチェッカーを受けた。悔しい3位となったが、チームとしては今シーズン初のダブル表彰台の獲得となり、シリーズランキングでも国本が1位、石浦も2位につけ、シリーズ終盤戦に向けてチーム内でのタイトル争いが現実味を帯びてきた。

ドライバー/#1 石浦 宏明
「今週は国本選手の方が調子が良く、今回はそのセットアップを参考にさせてもらったところ、今朝からクルマの速さを確認することができました。残念だったのは作戦がうまく機能しなかったというか、セーフティカーが出てしまったり、野尻選手に引っ掛かってしまったりと運の悪い部分が出てしまったこと。この3位は悔しいですが、チームとしては去年ずっと国本選手が悩んでいたのも知っていたし、どうやって2台揃って速さを出すかということをチームで話し合ってきていたので、今日国本選手が優勝したことは良かったと思っています。今回、彼のセットアップを参考にさせてもらって僕が速くなったように、チームとしてうまく機能できていることが嬉しいです」

ドライバー/#2 国本 雄資
「とにかく嬉しいです。去年はなかなか結果が出せず、今年の開幕前も、また石浦選手にリードされるのだろうかという不安を感じながらシーズンをスタートしましたが、序盤に表彰台に上がれたりと上手くいっていました。つらい時もチームやたくさんの人が支えてくれて、ようやくみんなに優勝する姿を見せることができてホッとしてもいます。チームと相談して、1周目にピットに入ると決めたことが上手くいったし、その後もいいペースで走れました。とても満足できるレースになりました

監督/立川 祐路
「レースを重ねるたびに一歩一歩チームが強くなっていると感じてきている中で、今回国本が優勝し、選手権でも1-2に並べるまでになったのは、チームスタッフとドライバー2人の頑張りによるところなので、まずはこの結果をとても嬉しく感じています。国本も、昔から速さはあるものの、去年は結果に結びつかないレースが続いていました。今年にかける意気込みは、僕たちから見てもものすごいものがありました。それが形として表れたのは本当に嬉しいですね。石浦の3位という結果からも、いまチームが本当に一つになっていることを感じます。これを維持したまま残り2戦も戦っていきたいです」

総監督/浜島 裕英
「国本は自分から1周目のピットインをチームに進言しました。『後半苦しくなるだろうけど耐えられるのか?』というチームの問いかけにも、『それでもやる』と言い切った。それをしっかりと実践し、前がクリアな状況でプッシュしてタイムを稼いだので、石浦や中嶋選手の前でフィニッシュしました。今日は彼が勝ち獲った優勝だと思います。年初から言っていた国本の復活は、ひとつクリアできました。あとは2人で優勝争いができれば最高ですね。残り2大会でそのような場面が見られるよう、頑張っていきたいと思います」