スーパーフォーミュラ第5戦岡山のレース2。前日にシリーズ初優勝を果たしたDOCOMO TEAM DANDELION RACINGのストフェル・バンドーンだったが、一転して今日は「最悪な1日」となってしまった。
朝の予選では3番手を獲得したバンドーン。展開次第では前日に続いての2連勝も狙える位置だったのだが、その後に状況が一変。彼に3グリッド降格ペナルティが言い渡されたのだ。
実は予選Q2でSUNOCO TeamLeMansの小林可夢偉がコースオフし赤旗中断。セッション再開前にガレージを離れた際に、チームがフロントブレーキの冷却ファンを外し忘れてしまい、バンドーンはそのままピットレーンへ。すぐにメカニックが気づいてピット出口がグリーンシグナルになる前にファンは外されたが、スーパーフォーミュラ統一規則の第21条12.(ピットを離れる際に、安全が確認できた時にのみ車両をピットアウトさせることは、競技参加者の責任で行うこと)に違反しているとして3グリッド降格のペナルティが通達された。
岡山国際サーキットはオーバーテイクポイントが少なく、さらに今回はレース距離も通常より短い。予選ポジションとスタートが重要なのはバンドーンも百も承知だっただけに、グリッド降格が決定後のバンドーンは明らかに厳しく、ナーバスな表情をみせていた。
レース2決勝では6番手から抜群のスタートを決め4番手に浮上。前半は1分18~19秒台のペースで安定したラップを刻み、19周目のピットストップを行った。
1周目にアンダーカットを狙ってピットインしたメンバーは1分17秒台に入る好ペースで周回していたため、バンドーンのピットアウトでは何台かの先行を許してしまう。後半は我慢のレース展開となり最終的に7位でフィニッシュ。ポイントは獲得できたが、前日の快進撃と比べると不満の残る結果になってしまった。
レース後は開口一番「今日は最悪な1日だったよ」と険しい表情のまま話しはじめるバンドーン。レース2の朝の一件からレースまでを振り返った。
「予選の3番手というのも満足できる結果ではなかったし、Q2でひとつ目のミスが発生した。チームが冷却ファンの外し忘れてピットレーンに並んでしまい3グリッド降格。岡山はオーバーテイクが難しいから前の方のグリッドにいなければいけないのに、大きなハンデになってしまったよ」
「レースは良いスタートを切れて4番手に順位を上げることができた。ペースもすごく良かったと思うんだけど、中盤のピットストップでミスが発生して、タイヤ交換にすごく時間がかかってしまった。これで多くのマシンにアンダーカットされてしまった。今日は本当にミスが多すぎたし、多くのポイントを取り損ねた。残念だよ」
実際にバンドーンのピットストップタイムは公式映像の表示では8.7秒。他車と比べるとそこまで時間がかかったという印象はなかったが、チームメイトの野尻智紀は7.8秒だっただけに、チーム内で比較をすると約1秒のロスはあったと言えるのかもしれない。
普段はあまり喜怒哀楽を表情に出さず、前日の初優勝時も喜びを爆発させることなくクールな表情に徹していたバンドーン。しかし、今日ばかりは憤りにも似た不満そうな表情を見せていたのが印象的だった。それだけ彼にとっては悔しい1日になったのだろう。