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ホンダ甘口/辛口ダブル評価 ベルギー&イタリアGP編

2016年09月11日 13:21  AUTOSPORT web

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2016年F1第13戦ベルギーGP で7位に入賞したフェルナンド・アロンソ
ベルギーGPとイタリアGPは、ホンダにとって今シーズンもっとも厳しい戦いが予想された2連戦だった。しかし、結果を見れば、ベルギーGPは最後尾からスタートしたフェルナンド・アロンソが7位に入賞。イタリアGPでも1回目のピットストップまで、アロンソがフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグの前となる入賞圏内を走行。最終的にポイント獲得はならなかったものの、名うてのパワーサーキットでライバル勢と堂々と渡り合った。

 その大きな原動力となったのが、夏休み明け初戦となったベルギーGPに投入された7トークンを使用してアップデートされたスペック3のエンジン(ICE)である。

 長谷川祐介総責任者は、「皆さんが期待しているほど、馬力は大きくパワーアップしていません」と謙遜するが、ジェンソン・バトンは「コンマ1~2秒のゲインはある」と、ベルギーGPの予選後に語っている。ベルギーGPが行われたスパ-フランコルシャンは、パワーユニットのパワーエフェクトが比較的大きいサーキットで、10馬力あたり0.22秒と言われている。バトンが体感に間違いがなければ、ホンダは10馬力以上の性能向上を果たしたことになる。

 たかが10馬力と思われるかもしれないが、現在の第2グループ集団の戦いは非常に接近しており、コンマ数秒でポジョンが大きく変わるため、この数字は決して小さくない。現にベルギーGPの予選Q2で10位のバトンと11位のロマン・グロージャンとのタイム差は、0.265秒。もし、アップデートして10馬力向上していなければ、Q2で敗退していたかもしれない。逆に2015年のパワーユニットを搭載しているトロロッソは、昨年のうちにすべてのトークンを使用してしまっているため、今年トークンを使用したアップデートをレギュレーション上、行うことができずに、後半戦は厳しい戦いが続いている。


 ホンダはまだ3トークンを残しており、わずかではあるが、まだ向上する余地は残されている。
 もちろん、課題がなかったわけではない。ひとつはベルギーGPでアロンソのパワーユニットに2度トラブルが生じたこと。ただし、その後、同じスペックに交換したアロンソのパワーユニットに同様のトラブルが起きずに2レースを走ったこと。そして、そもそもチームメートのバトンにはまったくトラブルが起きなかったことを考慮すると、最新スペックであるスペック3に由来する問題ではないと考えるのが自然だろう。つまり、開発の方向性に間違いはなく、残された3トークンを性能アップに使用できるはずだ。

 また今回のアップデートによって、デプロイがライバル勢に対して同等か、わずかに上回る性能が確認できたことも大きな収穫だ。それでも、トップ集団に追いつけないのは、エンジン(ICE)そのものの馬力の差。したがって、今後はエンジンのパワーアップに絞れるので、開発も集中できるというメリットがある。

 そして、ベルギー&イタリアGPの連戦を終えて何より明るい材料は、残る7戦はマクラーレン・ホンダにとって相性がいいサーキットが続くということ。

 終盤戦に向けて、アロンソは次のような抱負を述べた。
「次のシンガポールだけではない。今年はセパンも鈴鹿もオースティン、そしてアブダビもチャンスがある」


ホンダ辛口コラムはF1速報公式サイトで連載中
ホンダ辛口コラム ベルギー&イタリアGP編:高速サーキットで戦えず。だがPUに全責任を押し付けるべきではない