トップへ

SF岡山レース1:来季F1を自ら祝福。バンドーン、5戦目でスーパーフォーミュラ初優勝

2016年09月10日 17:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

抜群のスタートでトップを奪うと、その後は危なげなくトップチェッカー。来季マクラーレン・ホンダからF1参戦する実力を見せつけた。
全日本スーパーフォーミュラ選手権の第5戦が岡山国際サーキットで開催され、レース1でストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がスーパーフォーミュラ初優勝を飾った。

 1大会2レースという特別フォーマットの今大会、これまで同様に1時間の練習走行の後、わずか1時間のインターバルを挟んでRace 1の公式予選が行われた。序盤のチェック走行を終え、各車がアタックに入り始めたタイミングで小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)がダブルヘアピン手前でスピン。これで赤旗中断となり、予選は仕切り直しとなる。

 残り時間約13分で再開後は、セッション最後の路面の一番良いタイミングと、クリアラップを狙うために前の車両と距離を開けるトラフィックがダブルヘアピン近辺で発生し、コース上は混乱。クリアラップを取れなかったドライバーがかなり多く発生することになってしまった。

 そんな中、フリー走行では6番手タイムにとどまっていた中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が再開後のアタックでトップタイムをマーク。一貴の後でコントロールラインを通過するドライバーは、それぞれ自己ベストタイムは更新するも一貴のタイムには届かず、今シーズン初のポールポジション確定となった。

 2番手にはチェッカーラップまでプッシュした国本雄資(P.MU/CERUMO·INGING)が今季ベストグリッド獲得。バンドーンと野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のダンデライアンの2人が2列目に並んだ。この岡山を得意としている石浦宏明(P.MU/CERUMO·INGING)は、前の車両のトラフィックの影響と、アタック中に前方の車両がコースをはみ出した際に巻かれた砂で滑ってしまい、8番手に終わっている。

 昼過ぎまでは強い日差しが降り注いで焼けるような暑さも感じられたが、決勝レース時には空も薄曇りとなり、いくらか日差しの強さも和らいだ。それでも気温32℃、路面温度42℃と高い中、ダミーグリッドからフォーメーションラップへと各車がマシンを動かす中、ポールポジションの一貴がスターティンググリッドを間違えるハプニング。

PPのグリッドのひとつ先、スタートラインを越えて止まってしまう。また、その後、一貴がさらに走行を始めてしまったことで、全車が一度コントロールラインを通過し、再度グリッドについたところでスタートディレイとなった。

 一貴は最後尾グリッドに降格、周回数は2周減算となり、28周で改めて午後3時54分にレースがスタート。仕切り直しでトップグリッドを得たのは国本だったが、これを抜群のスタートでかわしたのがバンドーンだった。

 シグナルが消灯後すぐ、鮮やかに国本を抜いてみせると、オープニングラップで1.3秒のギャップを作ってレースをリード。2周目には唯一1分17秒台をたたき出し、その後も1分17秒台の速いペースを連発。ぐいぐいとギャップを広げていった。2番手につける国本も、4周目には17秒台に入ってバンドーンを追いかける。

 3番手には、予選6位からスタートでポジションを上げたナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)。カーティケヤンにかわされた野尻は4番手にとどまり、その後ろではこちらもスタートでポジションを上げた中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)と、大祐にかわされていた塚越広大(REAL RACING)が激しいバトルを展開していた。

 大祐対塚越の戦いは4周目のバックストレートエンドで決着。オーバーテイクシステムを使って塚越がアウト側から大祐をかわし、5番手に順位を取り戻した。

 その他、各所で接近戦が展開されることもあったが、大きな順位変動はなくレースが進んでいく。バンドーンと国本はともに1分17秒台のタイムを並べていくが、バンドーンはほぼ全ラップで国本を少しずつ上回るタイムで周回を重ねていくため、じわじわと両者の差は広がっていった。

 終盤は国本がバンドーンのラップタイムを上回る周もあり一旦は差が縮まったものの、4秒以上の差は埋められず、バンドーンがトップチェッカー。スーパーフォーミュラ参戦5戦目にして初優勝を飾り、「本当にやっと勝つことができた。できるだけ2位を引き離そうとして、それができたし、素晴らしいレースだった。タイヤの摩耗もマネジメントできたし、最高のクルマを作ってくれたチームに感謝している」と、クルマを降りた直後にも関わらず、相変わらずのクールな表情で語った。バンドーンは今回の優勝でランキング5位に浮上している。

 2位の国本は今季ベストリザルトで、シリーズランキングで4ポイントを獲得しランキングトップに浮上。カーティケヤンは3位で今季初表彰台獲得となった。ペナルティから最後尾スタートとなった一貴は他車と接触があった模様で、テールランプを破損。いったんガレージにマシンを戻すこととなったが、その後コースに復帰し、6周遅れでチェッカーを受けている。