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PerfumeのNY公演を観て来たーー北米ツアーを笑顔で完遂、“憧れの地”への夢は続く

2016年09月09日 15:21  リアルサウンド

リアルサウンド

ニューヨーク・Hammerstein Ballroom

■北米でも“COSMIC”な演出 定番曲含む充実のセットリストを披露


 Perfumeが現地時間9月3日と4日、『Perfume 6th Tour 2016「COSMIC EXPLORER」』ニューヨーク・Hammerstein Ballroom公演を行ない、北米での全5公演を締めくくった。筆者はこれまでに、日本でも何度かPerfumeのパフォーマンスを観たことがある。しかし、ドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』観賞後、世界を股にかけて活躍する彼女たちの海外公演にもぜひ参加したい、という思いが強まっていた。学生であり、長期休みがある今しかチャンスはないかもしれない、と考え、北米ツアーの最終地であるニューヨーク公演に参加するため、初の海外遠征を果たした。本稿では、筆者が参加した3日の公演の模様をレポートする。


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 今回の北米公演では入場の際の整理番号がなかったため、公演日前日から会場前に並び、最前列を狙う熱心なファンの姿が見受けられた。会場に入ると、現地の人はもちろん、アメリカ在住の日本人や中国人、日本から駆け付けた日本人…と、実に国際色豊かなフロアが目の前に広がった。開演時刻の20時ごろになると、客席は多くの人で埋め尽くされていた。


 日本で開催したアリーナツアーの可動式ステージで用いた映像や演出を、丸ごと海外へ持って行くのは難しい。しかし、北米ツアーの会場のキャパシティに合わせて、高いステージ上からメンバーが降りて来る様子を宇宙探索に見立てたり、メンバーの周囲にドローンを飛ばしたりすることで、宇宙をモチーフにしていることが伝わり、本公演が今回のツアーと地続きになっていることを感じさせた。


 同日に開催の展示会にもあった、ライゾマティクスによる“光る衣装”を身に着けたPerfumeの3人が登場すると、フロアの熱気は一気に上昇。本編では、『COSMIC EXPLORER』収録楽曲を中心に披露し、クールな表情を見せる場面が多かった。一転してMCでは、前回のワールドツアーを経てさらに上達した英語で観客とコミュニケーションを取り、ぐっと距離を縮めた。また、日本語でのMCを観客に通訳してもらうという恒例の企画も行なった。「NYでこーんなおっきい、“T”の形のステーキを食べたんよ。ウェイトレスさんが、あっちあっちのお皿を、こうやって持ってきよって…」と、あ~ちゃんの広島弁でのトークを現地の観客が通訳し、フロアを沸かせた。さらに、ゲームアプリ『ポケモンGO』とコラボする場面や、「STAR TRAIN」などの楽曲では英語で歌詞を映し出す場面もあり、衣装以外の面でも視覚に刺激的であった。


 後半には、ライブ定番曲「ポリリズム」などを披露し、さらに会場のボルテージを上げていく。そして、インディーズ時代のシングル『スウィートドーナツ』に収録のジューシィ・フルーツのカバー曲「ジェニーはご機嫌ななめ」を歌唱。曲の合間には観客が「NOCCHI」「A-CHAN」「YUKA CHAN」とコールするなど、彼女たちの出自である“アイドル”らしい、キュートな一面も見せつけた。最後は「チョコレイト・ディスコ」を披露し、熱狂の中、本編は幕を閉じた。


 さらに、「ワン・モア・ショー!」のコールに、アンコールで応える。「Our dream will continue!」とあ~ちゃんが笑顔で言い切ると、これからへの強い決意が詰まった楽曲「STAR TRAIN」を披露し、北米での全5公演が終了した。


 彼女たちがかねてから目標としている会場、マディソンスクエアガーデンは、今回の会場の目と鼻の先にある。キャパシティは約7倍。しかし、興奮した様子で話しながら、笑顔で会場を後にしていく現地の観客を目の当たりにし、これがただの夢では終わらないことを予感した。NYでその実力を遺憾なく発揮した“チームPerfume”の挑戦は、まだまだこれから。筆者が次にPerfumeの海外公演に参加する時、彼女たちはどんなステージに立っているのか、と想像するだけでワクワクする。海外でも臆することなく、堂々とパフォーマンスする姿を目にして、もしも彼女らがMSGでライブをする時には、必ず駆けつけよう、と決意した。まずは10月から開催する『Perfume 6th Tour 2016「COSMIC EXPLORER」DOME Edition』で、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待が高まった。


■ライゾマティクスによる衣装展示 ファンには嬉しい「撮影OK」


 また、同日には、歴代の衣装やポスターなどを展示する『Perfume: A Gallery Experience Supported by Rhizomatiks』も、ニューヨーク・チェルシーのPure Spaceで開催。展示会場は多くの人で賑わい、日本から来たファンと現地のファンによる、国際交流も見ることができた。筆者自身も、会場付近で「Perfumeの展示を見に来たの?」と現地のファンに話しかけられ、国境を越えた熱い思いを感じることができた。


 同展示の見どころは、先日のリオオリンピック閉会式の引継ぎセレモニーや、『ミュージックステーション』でのELEVENPLAYとのパフォーマンスでも話題となった、ライゾマティクスによる衣装展示。会場では、「Spring of Life」のMVで着用の衣装を含め、ライゾマティクスによる衣装が3種類展示され、それぞれ楽曲にあわせて動き、発光する、という展示方法が用いられていた。


 その他にも会場では、事前のファン投票で1位になった「Magic of Love」や最新シングル「FLASH」などの衣装を展示。以前に日本で開催した『Perfume展』や『ライゾマティクス inspired by Perfume』では、展示の撮影を禁止していたが、今回のイベントでは撮影が可能になった。特にライゾマティクスによる衣装の展示コーナーでは、多くの人がスマートフォンを片手にじっくりと観ていたのが印象的だった。


 Perfumeのライブには、衣装を手作りして着用してくるファンも少なくなく、メンバーもステージ上から気付くと、MCで触れている。そのため、このような展示会はファンにとっては貴重な資料となる。今回、写真撮影が可能となったことで、さらに詳細に再現した衣装を作ることができるようになりそうだ。10月からのドームツアーでは、観客のコスチュームにも注目してみたい。


(村上夏菜)