マクラーレンのグループCEOであるロン・デニスは、2017年にストフェル・バンドーンをジェンソン・バトンの代わりにレースシートに座らせ、バトンとは復帰オプション付きの2年契約を結んだことについて、アロンソが2017年末でマクラーレンを離脱する場合に備えた保険ではないと主張した。
アロンソが2014年にフェラーリを離脱した後にマクラーレンと結んだ3年契約は、来シーズン末で満了する。そしてアロンソは、来季からの新レギュレーションによってドライバーにとって走り甲斐のあるF1に変わらなければ引退するかもしれないと、何度か口にしている。
一方、バンドーンは、来季他のチームでレースするという選択肢もあると繰り返し主張していた。
バンドーンを昇格させつつバトンには休暇を与えるというマクラーレンの決定は、期待のホープの流出を防ぎつつ、経験豊富なバトンもキープできるため、アロンソが来季末でF1から退くことを決めた場合に備えることができる。
しかしデニスは、ドライバーラインアップに関する今回の決断には、そういった保険的な意味合いはないと言う。
「保険を作ることを意図したわけではない。来季以降のドライバーラインアップに関して革新的な戦略を取ろうとしただけだ」
2015年にGP2でタイトルを獲得し、負傷したアロンソの代役で出場した今年のバーレーンGPでは初GP初入賞を果たしたバンドーンは、F1の中でも注目の新人だ。それゆえ、もしマクラーレンが2017年のレースドライバーに彼を抜擢していなかった場合、他チームのターゲットになっていたはずだ。
2012年にフォーミュラ・ルノー・ユーロカップのタイトルを獲得して以来、マクラーレンはバンドーンを支援してきており、デニスは彼とF1において長期的な関係を築くことを期待している。
「彼との契約の中には特に目新しいものはない」と語るデニス。
「我々はドライバーにコミットしている。ドライバーがよいパフォーマンスを見せれば長く留まることができる」
「もちろんこの契約によって長期的かつ良好な関係がもたらされることが期待されるが、彼の運命は彼自身の手中にある。だがしばらくの間はストフェルがマシンに乗る様子を見ることになるだろうね」
2000年からF1に参戦し続けていたバトンは、今回の契約により、来年は休暇を取ることになる。
バトンはF1のハードなスケジュールに従って動く生活から一時、距離を置きたいと考え、ベルギーGPの期間中にデニスを話し合いを行った。
「F1は中毒性のあるスポーツであり、どんな中毒であってもそれを止めるのは簡単なことではない」と語るデニス。
「今回の提案はチームがジェンソンに対して抱いている尊敬を反映したものだ。彼は素晴らしい男だし、彼が2018年にレースに復帰しない理由はない」
「完全な休みを取る必要はなかった。これはジェンソンをチームに残すという利点を生かす革新的な方法だ。チームは、必要な場合には彼のドライビング能力を活用することができる。一方彼は、今まで享受できなかった、ちょっとした休息の時間をとることができるのだ」