フェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネによれば、フェラーリが状況を好転させるために打った手は機能しつつあり、過去2戦の成績が多少なりとも上向いていることが、その何よりの証拠だという。
テクニカルディレクターを務めていたジェームス・アリソンが7月にチームを去り、エンジン部門のチーフだったマッティア・ビノットがその後任となって以来、フェラーリはテクニカルチームの再構築を進めてきた。その一環として、彼らはGTプロジェクトから配転したエンリコ・カルディーレをヘッド・オブ・エアロダイナミクスに任命したほか、以前からマラネロにいる優秀な若手を積極的に昇進させている。
フェラーリのセルジオ・マルキオンネ社長はモンツァで、シーズン中のマシン開発が思ったように進まず、チームは2016年の目標を達成できていないと発言した。だが、このところのパフォーマンスの向上は、さらなる好成績の前触れであるとアリバベーネは考えている。
「今年の目標には、まだ到達できていない。だが、私たちは約1カ月前に行動を起こした。マルキオンネ社長は、組織は充実していると言っているし、実際にフェラーリには正しい方向へ仕事を進めるのに十分な人材がいる」
「確かに社長は今季の成績に満足していない。しかし、彼もまた変化を見たいと望み、それによって進歩することを望んでいる。この2レースほどで、状況はほんのわずかだが良くなってきたし、チーム内の雰囲気はとても前向きなものだ。チームの誰もが次のレースを心待ちにしていて、同時に来年に向けて前進することを楽しみにしている」
「チームはしっかりまとまっている。そして、全員が同じ方向を見ている。私たちに必要なのは、あと少しの時間だけだ」
モンツァでセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンがそれぞれ3位と4位に入ったことで、フェラーリはコンストラクターズ選手権の2位争いでも、レッドブルとの差を11ポイントに縮めた。フェラーリにかかる期待の大きさを考えると、来季のクルマに集中するために2016年のマシンの開発を止めることはできないと、アリバベーネは言う。
「フェラーリを名乗る以上、戦いをあきらめることなどできない。そこに私たちの価値があり、同時にプレッシャーもある」
「もちろん、新規定に対応することは重要であり、空力などの面で相当な努力が必要だ。しかし、来年のクルマに専念するために、今年のクルマの改良はあきらめると言うことはできない。実際にフェラーリで仕事をしてみれば、その理由がわかるだろう。このチームが大きな責任を背負っているということを、すぐに実感させられるからだ」
「この難しい状況にうまく対処できるような、適切なバランスを見つけたいと思っている。そして、このチームには、それを実現できるだけの人材が揃っている」