遠距離恋愛をしたことがある人にとっては「あるある」話だが、会うために往復するだけでも、結構な支出になってしまうものだ。近所に住んでいる関係だったら、そういう支出もなく、好きなだけ会えるのに……と、そう思ってしまった遠距離恋愛経験者も多いことだろう。
そういう人たちにとっては朗報と呼べる話題があるので紹介したい。(文:松本ミゾレ)
遠距離夫婦の転居費用や交通費が特別支出控除の対象に
すでに報じられているが、内閣府が遠距離で離れて暮らすカップルの結婚を後押しするような税制度を作ろうとしている。先月公開された、2017年の内閣府税制改正要望にも、「少子化対策の推進」という項目に「婚姻転居費等を特定支出控除の対象に追加」とある。
概要には「遠方に居住する男女が婚姻する場合において、婚姻に伴う転居費、仕事の都合により婚姻後も同居できない場合の旅費を給与所得者の特定支出控除の対象に追加する」と書かれている。
つまり、遠距離カップルが結婚すれば、転居費用や相互の行き来の際の交通費が控除の対象として認められ、税金がいくらか安くなりますよ、といったところだろう。
「お金が遠距離カップルが結婚する際の動機づけにはならんでしょ」という声も
ここで、この驚きの改正要望について、ネットの反応を見てみたい。「ガールズちゃんねる」で、当該テーマを取り上げているスレッドを発見したが、ざっと眺めたところ、以下のような意見が目立った。
「そんな事より金使うべきとこあるじゃん!」「はぁ?」
「遠距離は続かないよ。もっとこう他にするべき事があるんじゃないの? そういうのにお金出せば?」
また、Twitterでも論調は同じようなものが多い。
「お金が遠距離カップルが結婚する際の動機づけにはならんでしょ」
「大きな政府の大きなお世話」「国が後押ししてまで促すことかな?」
と、こんな具合にほぼ反対意見で統一されていた形である。
もちろん、今回の要望の概要にあるように、適用される遠距離カップルとは、婚姻をした男女に限られる。だから単なる遠距離カップルよりも少子化対策の一環で優遇したいという思惑は、分からないでもない。ただし、やっぱりいきなりこんな話を内閣府が提示しても、思うところのある国民は多いようだ。
提案としては面白いけど、そもそも本当に少子化対策になるの?
この手の要望って、結局のところいつの間にかお流れになっちゃうことが多いけど、仮に実現化した場合、悪用されるリスクに対してはどう対処するんだろうか。
たとえば、ただ付き合いたいだけのお金のないカップルが、婚姻関係になるだけなっておいて、実際には事実上の恋人同士で、経済的メリットだけ享受しておいて、別に子どもを作る気もない、ということであれば本来少子化の対策には全くならない。
そもそも、遠距離恋愛から発展して結婚した男女が別々に暮らしているだけで税制面で優遇されるというのなら、「遠隔地で別居している冷めた夫婦だって、これが適用されるのか?」という話にもなる。
現状ではこの要望は、欠陥だらけのように思える。本決まりとなったら、しっかりと色々決めるんだろうけど……。
個人的には遠距離恋愛を起点として結婚をするのは当人たちの自由意志の結果なので、子どもを設けることも確定しないような男女にまで、わざわざ諸々の優遇なんかしなくてもいいように思える。
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