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壁に穴をあけ「何をするか自分でもわからない」と妻にメール…「精神的DV」とは?

2016年09月08日 10:02  弁護士ドットコム

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妻の日ごろの行動や言動への鬱憤が爆発して、突発的に「壁に穴」をあけて壊してしまった。自分のやったことは「精神的DV」なのか?と、30代の男性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談を寄せました。


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この男性によれば、妻は、朝食を全く作らないほか、「一生セックスしなくて良い」と言い放ったこともあるそうです。また、男性としては、家事育児に協力していたつもりでしたが、妻が相談者の母に「全く協力してくれない」と報告したことにも不満を感じていました。


妻に対する苛立ちを募らせた男性はある日、妻子の不在中、壁に穴をあけて壊します。さらに、妻に対して「生活費を制限する」「今帰ってきたら何をするか自分でもわからない」などと脅迫するようなメールを送りつけました。


相談者は自身の行動について、「精神的DVとも取られかねない態度」と捉えています。相談者の行動は、「精神的DV」にあたるのでしょうか? 相談者は妻との離婚を考えているそうですが、このようなDV行為は、離婚をするにあたって不利な要素になるのでしょうか? 井坂和広弁護士に聞きました。


● 「鬱憤の爆発」は、DVの始まり


まず、相談者の行為が精神的DVにあたるかどうかですが、少なくとも相談者の「鬱憤の爆発」は、DVの始まりだと思います。


そもそもDVとは、1回限りの暴力ではなく、反復・継続して行われ、そして、家庭のような親密な関係で行われる「構造的」な暴力のことです。したがって、もし、相談者がたまたま1回だけ、日頃の不満や鬱積が爆発して、壁に穴をあけてしまったなら、一般的なDVの範疇から外れると考えられます。もちろん、今後一切、そのような行動がないことを前提に考えた場合です。


しかし、相談者の鬱積の爆発が、本当に1回きりで済むとは限りません。相談者自身は「突発的」と言っているようですが、そのような行動に出るにはそれなりの理由があるはずです。恐らく長い年月を経て溜め込まれたその鬱積は、一度爆発してはけ口を見つけたら、止まらないのではないでしょうか。


実は、壁に穴をあけるという行動はDV特有です。妻や子は壁にあいた穴を見て恐怖を覚えるでしょう。暴言や暴力的な行動によって相手の心を傷つけることは、精神的DVにあたります。相談者は、「妻の仕打ち」に耐えかねたと言っていますが、DVに妻との諍いなどの原因は関係ありません。DVの原因は、DV加害者自身の心の中にあるからです。


相談者が心配しているとおり、DVがあったことは、離婚するにあたって間違いなく不利な要素となります。相談者からの離婚請求は認められないでしょうし、逆に、妻側からの離婚請求と慰謝料請求は、DVを理由に認められるでしょう。




【取材協力弁護士】
井坂 和広(いさか・かずひろ)弁護士
群馬弁護士会所属、早稲田大学政経学部卒
専門分野は、DV問題、医療問題、低周波音問題等
事務所住所 群馬県高崎市緑町4-5-14 アイオンズビル2F
事務所電話番号 027-370-5282
事務所名:弁護士法人井坂法律事務所
事務所URL:http://isakakazuhiro-lawoffice.jp/