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プロモーターが語るもてぎ戦とWTCCの未来(3)「日本人ドライバーが必要だ」

2016年09月07日 18:01  AUTOSPORT web

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WTCCもてぎオープニングレースのスタートシーン。来季このなかに日本人ドライバーが増えるのだろうか?
WTCC世界ツーリングカー選手権日本ラウンドは9月2~4日、ツインリンクもてぎで2年目のイベントが行われたが、この場でWTCCのプロモーターを務めるユーロスポーツ・イベントのフランソワ・リベイロ代表がグループインタビューに応じた。

 リベイロ代表は、ユーロスポーツ・イベントのなかでWTCC、そして二輪のEWC世界耐久選手権をプロモートしており、鈴鹿サーキット、そしてツインリンクもてぎを運営するモビリティランドとの関係も深い。また、両シリーズとも日本でレースを開催していることから、日本のモータースポーツ文化やシリーズについても非常に深い見識をもっている。

 そんなリベイロ代表に、最終回となる今回はMAC3、そして日本人ドライバーの参戦についてどう考えているのかを聞いた。

■MAC3を提案したとき、皆は馬鹿にしていたがね
Q:2016年から『WTCC MAC3(マニュファクチャラー・アゲンスト・ザ・クロック)』という新しいコンテンツを開催しているが、ここまでの成果はどのようにとらえているのか。
フランソワ・リベイロ(以下FR):素晴らしいものだ。皆、当初は私のことを馬鹿にしていたがね。私が昨年この提案をしたときにはまじめに取り合ってもらえなかったが、今は本当にやってよかったと思っている。選手権に新しいモノを持ち込めたからね。マニュファクチャラーからも気に入ってもらえているし、ドライバーも楽しんでいる。テレビ映えも非常にいいだろう。2017年はMAC3をより重視していくつもりだし、ポイントも増やすつもりでいる。マニュファクチャラーのチャンピオンシップ争いでもここがカギとなるだろう。今年は1位と2位の間、2位と3位の差は2ポイントしかないが、来年は5~7ポイントの差が必要だ。もてぎでのMAC3では、1位と2位のタイム差が1秒あったが、これは今シーズン最大の差だった。今シーズンは0.1秒差や0.2秒差、同タイムでの写真判定すらもあったのだ。素晴らしいことだ。

Q:今回のもてぎでは日本人ドライバーがひさびさに日本で走ったが、これをどう評価するのか。
FR:逆に君はミチガミ(道上龍)についてどう感じた? 日本人ドライバーにとって、WTCCに慣れるのは難しそうだったが。

■WTCCには日本人ドライバーが必要だ
Q:今後の日本人ドライバーの参戦についてどうとらえたか。
FR:ぜひ来年は日本人ドライバーにフルシーズン参戦してほしいし、我々としては必要だ。WTCCにはさまざまな国のドライバーが参戦しているが、まだフルシーズン参戦している日本人選手はいない。そこで私は予選日の夕方、ホンダに『もうチャンピオンシップで十分優勝できるクルマがあるのだから、ヨーロッパの選手だけでなく日本人選手にチャンスを与えるべきだ。シビック・タイプRも日本で販売されており、成功を収めている。日本人ドライバーがフルシーズン参戦するのは当然のことだ』と伝えた。来年が日本人ドライバーが参戦する、最もチャンスとなるシーズンだろう。

Q:それについてホンダはどう反応していたか?
FR:できるのではないかとは感じた。どのドライバーになるかは私が決めることではない。

Q:WTCCに適しているのはどんなドライバーだと思うか?
FR:ホンダには契約しているドライバーがたくさんいる。何人だ? 20人くらいか? まずはWTCCでいいペースを保てることが大事だ。グッド・ルッキングであるとか、ソーシャルメディアのアプローチがうまいとかは二の次だ。

Q:たとえば、ホンダがWTCCで成功するためにはどういうドライバーがいいかというアドバイスを求めて来たらどうする?
FR:来ないと思うがね(笑)。20人くらいの契約ドライバーがいて、誰かひとりの名前を挙げたら彼らは気に入らないだろう。私ならタクマ・サトウ(佐藤琢磨)というかもしれない。インディカーではなく、ワールドチャンピオンシップを戦う彼を見たいと思っている。だが、現実にはホンダは私に尋ねてこないでだろう。聞いてくる必要もないし、彼らのレースでの経験は豊富なので、私を必要とはしないだろうね。ただ、ネストール・ジロラミは私がボルボに対して提案したドライバーだ。もてぎでの彼のパフォーマンスには満足している。彼はとても速く、ボルボのリーダードライバーとして成長していくだろう。