9月7日付け読売新聞が「政府が残業規制を強化へ」と報じ、朝からネットで大きな話題となっている。ツイッターでは「残業規制」がトレンドワード入りし、働く人たちの注目度がかなり高いことが分かる。
1か月間の残業時間に上限を設ける考え方は、すでに今年3月に安倍首相が1億総活躍国民会議で「36(サブロク)協定」の運用を見直す案を示していたが、8月の「働き方改革」担当大臣新設などにあわせて具体的な動きが本格化したものと見られる。
「いいぞもっとやれ」と歓迎の声も散見されるが
実は残業(時間外労働)は、労働基準法で原則として禁止されている。32条2項で「一日について八時間を超えて、労働させてはならない」と定められているからだ。
例外として労使で36協定を締結すれば残業させることができるが、告示で「1か月45時間」という上限が決まっている。ただしこの上限も「特別の事情」があればそれを超えて働かせることができるため、過労死ラインとされる月80時間以上の残業を行わせる会社が後を絶たない。
そんな中、今回の見直しは「特別の事情」を厳格化し、新たな労働時間の上限を設け、罰則規制も新設されると見られ、ツイッターには「めずらしく政治に支持できる動きか!?」「いいぞもっとやれ 罰則は会社にとってキツいのにしてね」と歓迎の声が散見される。
しかし圧倒的に多いのは、ネガティブな評価。残業規制は働く人たちにとってデメリットになるという指摘が多く、目に付くのは「給料減るのでやめてくれませんか」の嘆きだ。
「残業規制はいいけど 給料減るのはやだな~。残業代が頼りなんだし」
「基本給低いから残業代で賄おうと頑張ってる人もいる事を考えて欲しい」
求人広告のモデル年収例にひかれて入社したところ、実は「残業代込み」だったという人は少なくなく、必要な生活費を稼ぐためには残業を減らせないという事情があるようだ。
「むしろサビ残を助長するから逆効果」という危惧も
さらに多いのが、残業規制の前に「サービス残業規制を」という訴えだ。残業をしてもその分の給与が支払われていない現状からすれば、いくら上限規制をしても効果は見込めない。
「規制したところで残業を残業として報告しないで終わりなんだろうなぁ…」
「残業なる前にタイムカード押せって言われたらもう意味ないんだよなぁー」
「やったねこれでサビ残増えるよ!(白目)」
規制によって「むしろサビ残を助長するから逆効果」という危惧もうなずける。新たな規制を設けるより、現行の規制を遵守させるだけでも会社は残業時間を減らすだろう。
規制が適用されない「名ばかり管理職」が増え、正社員に規制を守らせるために「外注への無茶ぶりが増える」として、うなだれる人もいる。
「無駄な仕事はやめましょう!」と声をあげられるか
もっとも、意識を変えるべきなのは会社だけでなく、働く側にも言えるという厳しい指摘もある。「残業規制強化したからって仕事量が減るわけじゃない」という不満はもっともだが、それを当たり前のようにサビ残で処理する人たちも悪いというのだ。
「過剰サービスでしかも自主的で、相手もそんなこともとめてないのに。それが日本のおもてなし」
「サビ残が違法行為でみっともない事だってのを労働者自身がもっと認識しなきゃならんよな」
終わらなかった仕事は一体だれがやるのか、という反論もあるが、本来は個人の責任感に訴えるのではなく、経営者や管理職が適切な業務分担を見直す行うべきだろう。「この業務量では時間内では終わりません!」「無駄な仕事はやめましょう!」と声をあげることも必要ではないだろうか。
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