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GP3:福住、レース1で5位入賞も、厳しい現実に直面

2016年09月07日 13:31  AUTOSPORT web

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次戦マレーシアで自分らしい走りを取り戻せるか
GP3の第7ラウンドの舞台モンツァは、福住仁嶺にとって相性が良さそうだった。初日のフリー走行でも走り始めから上位タイムを刻み、1秒以内に19台がひしめく超接戦の予選でも2回目のアタックで2番手のタイムを記録した。

 その矢先にジュリアーノ・アレジのマシンがコース上に止まって赤旗。残り3分で再開されたセッションで各車がタイムを伸ばす中、福住は燃料が足りずピットインを余儀なくされ、結果は6位。

「チームメイトたちも結構ギリギリだったみたいですけど、リスクを取ってアタックに行ってタイムを更新したんです。だけど僕のエンジニアはリスクを取らなかったみたいで……クルマも悪くなかったしもし(もう1回アタックに)行ってれば全然違ったと思うんで、フラストレーションが溜まりました」

 レース1はタイトル争いをリードするシャルル・ルクレールがポールポジションから首位を守るが、ペースは思わしくないようでジェイク・デニスとジャック・アイトキンに抜かれて3位に後退。福住はアントニオ・フオッコの先行を許したものの5位をキープしてレースを進める。

 10周目にジェイク・ヒュースに抜かれたものの、14周目には逆にフオッコを抜き返して5位を取り戻す。最後はヒュースに抜かれたルクレールの背後まで迫ったものの、抜ききれず5位のままチェッカーを受けることになった。

「1コーナーでブレーキングが早すぎてフオッコにインに付かれて抜かれてしまったんですけど、あそこで抜かれていなければレース展開は少し違ったかなと思います。とにかく今日はメチャクチャ暑かったです。すごく汗をかいて(40分の走行で)体重が1kgくらい落ちました」

 そう言いながらも、福住は久々にレースらしいレースをして満足げな表情を見せた。ARTはこのレースで2016年のチームタイトルを早々に決めた。しかし翌日曜のレース2では、福住は再び厳しい現実を突き付けられることとなってしまった。

 4番グリッドから好スタートで3位に浮上した福住だったが、ターン1でチームメイトのアレックス・アルボンに抜かれて4位。アルボンは2周目にすぐさま前のフオッコもターン1で仕留め、同じくARTのニック・デ・フリースもフオッコをロッジアでパスしてART勢の1-2体制となった。

 2周目のパラボリカで僅かにミスを犯した福住の背後からデニスが迫り、3周目のメインストレートでパス。そのバトルの影響でターン1の立ち上がりがやや遅れた福住に、続くロッジアでルクレールが並びかけてきた。

 ここはなんとか抑え切った福住だったが、次のレズモへ向けイン側へブロックラインを取ると、そこにはルクレールがいて両者は接触。福住のマシンはイン側のガードレールにクラッシュし、ルクレールのマシンはフロントウイングと左フロントタイヤにダメージを負ってアウト側のグラベルへとまっすぐコースオフした。

「単純に自分がスペースを作っていなかっただけです、それだけです。(ロッジアで)普通に抜かれると思ったんですけど、意外と向こうのブレーキした後のスピードが良くなかったんで、抑えられるなら抑えておこうと思ってイン側に行ったんです」

 スチュワードの聴聞の結果、福住には次戦3グリッド降格のペナルティが科された。レース後、大きく落ち込んでいた福住は、激しいヨーロッパのレースの中で少し自分のドライビングを見失っているようにも見えた。

「昨日もレースのことで『もっとこうしたらどうだ?』と言われて、少しは自分なりに考えてやったつもりだったんですけど、それがダメだったみたいです。日本のやり方とこっち(ヨーロッパ)のやり方が全然違うんで……。とにかく今年クラッシュが多すぎますね。もらい事故みたいなクラッシュも多いんですけど、それだけぶつかる回数が多いということがショックというか、よく分からなくて……」

 次戦セパンはGP3初開催。福住も初走行だが、ヨーロッパのサーキットを熟知していた周りのライバルたちとの差はなくなる。自分らしい走りを取り戻すチャンスとなることを願うばかりだ。