ここ数年、イタリアGPはベルギーGPの前後に行われることが多かった。コースのレイアウトは異なるものの、どちらも長いストレートがあるため、レースでのオーバーテイクを重視して、スパでもモンツァと同様、空気抵抗を低減したロウダウンフォースの空力パッケージを採用されてきた。
ところが、今年のベルギーGPは通常よりも高い気温と昨年よりも高く設定されたタイヤの最低内圧によって、ブリスターが発生しやすい状況が生まれたため、ベルギーGPは例年よりもダウンフォースをつけたセッティングでレースするチームが多かった。
2週連続で開催されたイタリアGPも、連日30℃前後の暑い日々が続いたが、タイヤに関する問題がまったくと言っていいほど表面化しなかったため、ほとんどのチームが予定していたロウダウンフォースパッケージの空力仕様を使い続けた。
その中でも、もっともダウンフォースを削ってきたのが、トロ・ロッソだった。2枚で構成されているフロントウイングのアッパーフラップの最上方の1枚を完全に取り外した状態にしたのである。 モンツァではどのチームもフロントウイングのフラップは小さくしていたが、通常仕様のフラップを1枚完全に取り外していたのは、トロ・ロッソだけ。その理由は、トロ・ロッソのパワーユニットだけが昨年仕様だったことが大きく影響していたことは言うまでもない。
これほどの努力にもかかわらず、初日のフリー走行の結果は、サインツが17番手、クビアトに至っては20番手に低迷。これでは勝負にならないと悟ったチームは、土曜日以降は最上方の1枚のフラップの幅を通常の半分のサイズにした妥協案で戦うことを決定した。 しかし、その空力仕様での走り不足からか、土曜日以降もトロ・ロッソの走りを精彩を欠き、予選、レースともに見せ場を作ることができないまま、イタリアGPを終えた。