メルセデスF1チームのボスであるトト・ウォルフは、もしF1の次のオーナーがアメリカ企業であれば、F1は“アメリカ流のやり方”から学ぶことができると考えている。
現在のオーナーであるCVCキャピタル・パートナーズは、メディア王であり、野球チーム『アトランタ・ブレーブス』のオーナーであり、さらにアメリカで一番の大地主であるジョン・マローンが経営する『リバティ・メディア』に対して、保有しているF1の株式を売却する寸前のようだ。
売却価格が85億ドル(約8800億円)と見積もられていることを受け、ウォルフは「それほどの額で企業を買収するなら、そしてリバティのようなメディア帝国の担当者であるなら、その人は人生で何かを成し遂げてきたということだ」と語った。
「それだけの株を買い、それだけの金を費やしておいて、『全てを変えてはいない。アメリカ流でやっている』と、のたまうような人はいないと思う」
「アメリカ流のやり方から我々が学べることもあると思う。特にデジタルの分野だね。でも、こちらでは機能しているのに、あちらでは機能していない分野もある」
「彼らは何を変更し、何を維持する必要があるのか精査し分析してくるだろう。彼らにF1を買う能力があるのには理由がある」
「アメリカのメディアがF1を買収するというのはよいニュースだ」
もしリバティが企業取得を完了させれば、F1の最高権威者であるバーニー・エクレストンの行く末がどうなるのかは分からない。
英AUTOSPORTはエクレストンがすぐに現在の職を辞すことはなく、少なくとも権利の引き渡しが行われるまではその座に留まるだろうと判断している。
レッドブルの代表、クリスチャン・ホーナーは「たくさんの推測がなされている」と語った。
「先週末のイタリアGPがバーニーのラストレースにならないことを心から祈っている。もしそうなったらとても信じられないよ。何かしらの変更などがあれば、我々全員は向こう数週間、F1の所有権や持株比率についてのニュースに注視していくだろうね」
「話し合いが進んでいるのは明らかだ。でも、調印や合意がなされるまでは全て推測に過ぎないよ」
ウォルフは「バーニーは素晴らしい仕事を50年に渡ってし続け、F1を今日のものにした」と付け加えた。
「彼は帝国を作り上げた。そして我々は皆、その帝国が生み出す多数の観客と、年間15億ドル(約1550億円)の利益の恩恵を受けている。彼が為してきたことに改善できるところがあるのかどうかは私には分からないし、それについて憶測はしたくない」