今シーズンのF1でルイス・ハミルトンを悩ませているスタート時のクラッチの問題は「簡単に直せるものではない」とメルセデスが認めた。
ハミルトンはオーストラリア、バーレーンでもスタートで出遅れた。オーストラリアではニコ・ロズベルグも同様の問題に見舞われており、親会社のダイムラーがクラッチのハードウエア最適化に取り組んでいることを、メルセデスモータースポーツのトップであるトト・ウォルフが4月に明らかにしている。
しかし、この問題はシーズンを通して発生し続け、スペイン、カナダ、イタリアでもハミルトンがスタートに失敗。ハンガリーとドイツではロズベルグも苦戦することとなった。ハミルトンはスタートに関するトラブルを、以下のように語っている。
「僕らが改善と学習をやめることはないが、今シーズンはクラッチにずっと悩まされていて、全員が懸命に取り組んでいる。簡単に直せるものではないため、次のレースですぐに、というわけにはいかない。改善はしてきたので、良いスタートが見られるときもあった。けれどもスタートするたびに、問題は不規則に発生する」
「スタートの練習は週末を通して行っていて、小さな違いしかないこともあれば、大きな違いが出ることもある。ニコが問題を抱えたこともあったし、僕が問題を抱えたこともあった。つまり、僕らはこれについて、取り組みを続ける必要があるということだ」
「火曜日は、まず間違いなくファクトリーで、この件について話をすることになる。残りの7レースでポールポジションからのスタートに苦しむことがないよう、できるだけ多くの情報を得て、学習したい」
ハミルトンはスタートの手順は正しく行っており、ホイールスピンの原因はトルクが大きすぎたためであると主張。ウォルフは、スタートに関する問題の責任が、誰にあるかを追求することに興味はないと言う。
「このチームでは、私は誰のことも非難しない。ドライバーも、エンジニアもだ。非難したら、下降線をたどることになる。スタッフは保身に走り、マシン開発にベストを尽くすのではなく、保守的になっていく。とくに、この件では誰も非難されるべきではない。いろいろな要素の組み合わせで起きたことだ」
「昨年ルールに変更があった(ダブルクラッチからシングルクラッチスタートへ)。だから、この問題で責任を追求したくはない。すべてのデータを洗いなおし、問題を避けるために何が必要かは、内部で通達する。誰を非難するかではない。チームはともに勝ち、負けるものだ。いまのところ、この問題では負けているね」