WTCC世界ツーリングカー選手権日本ラウンドは9月2~4日、ツインリンクもてぎで2年目のイベントが行われたが、この場でWTCCのプロモーターを務めるユーロスポーツ・イベントのフランソワ・リベイロ代表がグループインタビューに応じた。
リベイロ代表は、ユーロスポーツ・イベントのなかでWTCC、そして二輪のEWC世界耐久選手権をプロモートしており、鈴鹿サーキット、そしてツインリンクもてぎを運営するモビリティランドとの関係も深い。また、両シリーズとも日本でレースを開催していることから、日本のモータースポーツ文化やシリーズについても非常に深い見識をもっている。
そんなリベイロ代表に、WTCCの日本ラウンドと、将来に関して聞いた。
■80kgのウエイト搭載はホンダにとって素晴らしいこと
Q:昨日(編注:このインタビューは決勝日となる4日に実施)の予選までを見て、2シーズンめの開催となるもてぎ戦をどう感じているのか。
フランソワ・リベイロ:(以下FR):ここはツーリングカーレースのためにはベストなトラックだとつくづく感じることができる。コーナーのバラエティやレイアウトの質が素晴らしい。オーバテイクも多くて、レースのクオリティも非常に高いことが分かるし、レースは接戦になるだろう。(2014年までWTCCを開催していた)鈴鹿は個人的には大好きだ。心から愛している。ドライバーたちも鈴鹿を愛している。しかし、空力の占めるウエイトが大きいカテゴリーでは、オーバーテイクが非常に難しいサーキットだ。
Q:今回、ホンダ・シビックのコンペンセンションウエイトがシトロエンと同じ80kgとなり、予選ではややシトロエンに分があるように感じたが。
FR:昨年から考えると、この1年でホンダが最も進歩してきたメーカーなのは間違いない。彼らは多いに努力して進歩している。そして、80kgのウエイトを積んで走るということは、ホンダにとっては素晴らしいことではないかね? もちろんドライバーにとっては厳しいが、エンジニアやマニュファクチャラーにとってはそれが成果なのだ。エンジンとシャシーのパフォーマンスがシトロエンと非常に近くなってきたということを証明しているんだからね。
Q:予選でのホセーマリア・ロペス(シトロエンC-エリーゼWTCC)のタイムは素晴らしいものだった。
FR:たしかに彼のパフォーマンスはとんでもないものだった。彼は宇宙人みたいなものだ(笑)。ミューラーとの差をいったいどこで見つけたのか。私は常々言っているが、ロペスはルイス・ハミルトンやセバスチャン・ベッテル、それにフェルナンド・アロンソと同じレベルのドライバーだ。彼はF1では二度も不運を経験したが(編注:2010年にUSF1と契約するもシーズン開幕前に解散。その後HRTとの契約を目指すも失敗)、素晴らしいドライバーだ。
■来季は新しいマニュファクチャラーが参戦する
Q:そのロペスは来季フォーミュラEへの参戦が決まり、来季シトロエンもワークス活動を行わないが。
FR:ロペスの活動はフォーミュラE以外にもあるかもしれないがね。シトロエン・レーシングの撤退については、来季はチャンピオンシップがとてもオープンになると思っている。ボルボが強くなるのは間違いない。彼らはホンダと同じレベルに達するだろう。シトロエンもワークスがいなくなるが、セバスチャン・ロウブ・レーシングから3~4台が参戦するだろうし、今よりも軽いクルマになるはずだ。コンペンセイション・ウエイトは予選ラップに基づき、レースのファステストラップで加算されるが、今年のファステストラップはすべてロペスが獲得しているから常に80kgを背負ってきたんだ。しかし、彼が参戦しなくなれば、クルマは20~30kgは軽くなるはずだ。来年は予想不可能なシーズンになると思っている。
Q:その来季以降に向け、新たにWTCCに参戦するマニュファクチャラーの噂は何かあるか。
FR:名前を言うことはできないが、現在あるメーカーが新車を開発している。ヒントはアジアのメーカーだ。アジアはとても広いがね(笑)。
Q:現在WTCCに参戦しているマニュファクチャラーが新しいクルマを出すのか、いま参戦しているマニュファクチャラー以外にもうひとつメーカーが出てくるのか。そして参戦は来年か? それとも再来年か?
FR:新しいマニュファクチャラーだ。参戦は来年だ。マニュファクチャラーからの発表を待たなければならないので、私からは言えない。昨年、ボルボが参戦するであろうという話をしたが(編注:昨年リベイロから新規メーカー参戦の噂を取材し、オートスポーツ本誌に掲載)、そのときはほぼ正式に決まっていたから話をすることができた。ただ、今年はまだ話すことはできない。