トップへ

86/BRZ Race第6戦:車両全損の不運乗り越え、佐々木&松原がポール・トゥ・ウィン

2016年09月05日 19:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

プロフェッショナルシリーズを制した佐々木雅弘
GAZOO Racing 86/BRZレースの第6戦が富士スピードウェイで行われ、クラブマンシリーズでは松原怜史(asset・テクノBS86)が今季3勝目を、そしてプロフェッショナルシリーズでは佐々木雅弘(asset・テクノBS86)が今季2勝目を挙げ、揃ってチャンピオンを獲得する可能性も濃厚となってきた。

 それはレースウィークの1週間前のことだった。テクノファースト尾崎代表が佐々木の車両で公道を走行中に、突然エンジンルームから出火。尾崎代表に怪我はなかったものの、車両は全損となってしまう。そのため、急きょチームメイト松原怜史の車両をレンタルすることとなり、松原は中古車両を購入することに。

 ところが、松原の購入した中古車は数カ月レースに用いられていなかった車両だったためか、いざサーキット入りするとパイロットランプが頻繁に点滅するなど、トラブルが続出。最終調整である金曜日の専有走行では、まともに走ることさえ許されなかった。

 これに対して、佐々木は金曜日の専有走行は5番手ながら、トップとはコンマ3秒しか遅れず、まずまずといったところ。まるで好対照な状況となっていた。松原の車両は、専有走行後入念にメンテナンスが行われ、土曜日早朝の車検にはギリギリ間に合うも、ようやく走行に支障がない状態に。

 先に行われたクラブマンシリーズの予選では、まず1組で前回のウィナー、手塚祐弥(栃木スバルOTモチュールBRZ)がトップで、これに続いたのは今橋彩佳(ネッツ兵庫☆トミカ86R)。だが、2組で「走りは完璧でした」と語る、松原が手塚のタイムを上回って、今季2度目のポールポジションを獲得。

 なお、アウト側には河村直樹(N中京エリア86小牧BS86)、橋本洋平(カーウォッチ86ポテンザED)、小野田貴俊(ネッツ東埼玉ワコーズED86)と、ランキング上位陣がずらりと並ぶ。

 直後に行われたプロフェッショナルシリーズの予選では、佐々木がワンアタックを完璧に決めて、今季初のポールポジションを獲得、「あいつ(松原)が獲ったなら、僕も獲らないわけにはいかないでしょう!」と高々と吠えた一方で、「ドラマなんて必要ないんですけどね」ともつけ加えた。

 2番手は青木孝行(ケーエムエスADVAN 86R)が獲得し、ニュータイヤ投入で絶好調のブリヂストン勢の中に割って入る。3番手は富士チャンピオンレースを長年戦い続けた、市丸聡(千葉自動車総合大学校ED86)が、そして4番手は蒲生尚弥(ASICS Blue 86R)が獲得。

 一方、僅差で佐々木を抑え、ランキングトップの阪口良平(AREA86倉敷)は、換装したばかりのエンジンにまだ当りがついておらず、10番手に甘んじた。

 クラブマンシリーズの決勝では、松原がスタートを決めて、早々に後続を引き離しにかかったのに対し、手塚は河村と小野田の徹底マークを受けることに。また、2コーナーでは混乱があって今橋、橋本らが大きく順位を落としていた。

 じわりじわりと差を広げていく松原に対し、しばらくの間は3台での2番手争いが激しく続き、まず3周目のコカコーラーコーナーで小野田が河村をかわして3番手に浮上。そのまま手塚にも迫っていきたい小野田ではあったが、中盤になると逆に差を広げられてしまう。

 そして終盤になると、手塚は松原に近づいていき、最終ラップにはすぐ背後にまでつけたものの、コンマ3秒届かずに松原が今季3勝目をマーク。

「最後はもう大丈夫だとは思ったんですが、リヤがちょっとつらくなっていたので、少しでもズルってきたらやられちゃうから、その分、抑えたという方が正しいかもしれません。絶対に勝ちたかったんで、本当に良かった」と松原。

 2位には手塚が、3位には小野田がつけたが、ポイントではまた一歩リードを広げることともなった。

 続いて行われたプロフェッショナルシリーズでは、「尾崎代表の視線が怖かった(笑)」と、程よくプレッシャーを感じながらの佐々木が真っ先に1コーナーに飛び込んでいった一方で、その立ち上がりでは青木と蒲生が接触。後続車両も巻き込むアクシデントとなったことから、即座にセーフティカーが導入されることになる。

 その際に300Rのポストから出されたSCボードを、先日のFIA-F4選手権の決勝同様、見逃すドライバーが多数……。またもレース後には多数のペナルティが出されたのは大いに残念だ。

 一方、SCボードを確認した段階で、すでに明確なリードを築いていた佐々木だったが、水の泡となったのは間違いない。その間に2番手につけていたのは市丸で、予選6番手だった久保凛太郎(CG ROBOT BRZ BS)、予選5番手だった大西隆生(オートバックスG7 86ポテンザ)、予選8番手だった井口卓人(CG ROBOT BRZ BS)、そして阪口も混乱をうまくかいくぐってポジションを上げていた。



 5周目からバトルは再開、リスタートは佐々木が完璧に決めたのに対して、市丸はやや出遅れて久保が食らいついて離れない。13コーナーでいきなり仕掛ける久保ながら、ここでの逆転は許されず。もちろん、その間にも佐々木は逃げていく。

 そして久保は6周目の100Rで3番手に浮上、市丸には今度は大西、井口、阪口が迫ってくる。そこは富士スペシャリストの市丸、必死にガードを固め続けるが、しびれを切らした大西が9周目のダンロップコーナーでアタックをかける。が、「前でバチバチ火花が散っていたから、何かあると思っていました」と井口が、これに乗じて3番手に浮上。逆に大西は市丸をかわせず。

 後続のバトルを尻目に、佐々木が圧勝。今季初めて2勝目を挙げるとともに、6位にとどまった阪口を逆転してランキングのトップにも浮上した。「SCが入って結果的には良かった。ただ、1周目のうちにけっこう離してきたので、『もったいないなぁ』とは一瞬思っていたんですけどね。トップに立ってからは、絶対に凛太郎がやってくれるだろうと(笑)。おかげで逃げることができました。松原が勝っちゃうから、借りている僕が勝てなきゃダメでしょう。次の十勝は2レースあるから、最低でもひとつは勝たないと」と佐々木。

 2位の久保は「久しぶりに表彰台に立てました。2年ぶりぐらいかな。去年からBRZに乗り始めて、これで表彰台に立ちたかったんですが、鈴鹿1000kmから井口先輩がいい流れを持ってきてくれたようです」とコメント。プロフェッショナルシリーズでBRZユーザーが表彰台に立つのは、今回が初めて。それもふたり同時とあって関係者の喜びもひとしおのようだった。

次戦のGAZOO Racing 86/BRZレースは開催中止となった第5戦オートポリスの代替として10月1日に十勝スピードウェイで行われる。