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S耐第4戦:24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが夏の9時間耐久を圧勝

2016年09月05日 17:11  AUTOSPORT web

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スーパー耐久第4戦富士/9時間の熱戦を圧勝で制した24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-R
スーパー耐久シリーズ第4戦SUPER TECが富士スピードウェイを舞台に、現在の国内レースとしては最長となる9時間で争われた。決勝レースは、24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rを駆る、内田優第/藤井誠暢/平峰一貴組が今季3勝目をマーク。スタート時こそ路面は濡れていたが、その後は青空が広がるまでとなり、また一度もセーフティカーが出なかったこともあって、走行距離は実に302周、1378kmにも達していた。

 一昨年までは7時間、そして昨年は8時間で争われたSUPER TECが、今年は9時間での開催となった。昨年はオーバーオールウイナーによって246周の走破が成し遂げられたが、レース中の天候変化や二度のSCランがあったことから、1時間増えた分、順当に行って280周ぐらいかと予想されていた。

 ところが実際の周回数は予想を超えるものだった。SCを出すほど大きなアクシデントは一度も起こらず、また事前の天気予報では高い降雨確率だったが、路面が濡れていたのはスタートからのしばらくだけ。1時間も経つと青空が広がるようになったのが、302周にも達した最大の理由だろう。

 その一方で黄旗区間の追い越しや、ピット作業違反に対するペナルティが続出。一斉に6クラス60台以上が走るレースだけに、速度差があまりにも大きく致し方ない部分もあるが、いつかほころびが生じる可能性もある。また、予想外の暑さで集中力を欠いたのかもしれないが、今後は一層の注意を望みたい。

 決勝レースの総合優勝争いは、ST-Xクラスの23号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rのワンマンショーとなった。ポールポジションこそ、8号車ARN SLS AMG GT3の白石勇樹/佐々木孝太/山脇大輔/東徹次郎組に譲ったものの、わずか4周でトップに立ってレースを支配。他のクルマにペナルティだけでなく、アクシデントが相次ぐ中、まったくトラブルに見舞われることなく9時間を走り抜いた。

「このプログラムが組まれて、今まで何回か勝ったけど、今回ほどパーフェクトなレースはなかった」と藤井。2位に2周もの差をつける圧勝だった。

 2位には3号車ENDLESS ADVAN GT-RのYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/山内英輝/柳田真孝組が入ったが、今回からウエイトハンデ制が設けられ、前回のウイナーに30kg、2位に20kg、そして3位に10kg積まれることとなり、鈴鹿を制していたことが仇となってしまった……。

「ウエイトハンデはスーパーGTで、もちろん経験済みですが、コントロールタイヤを履くこともあり、またGT-RのBoPがGTと違ってブーストも抑えられているので、同じ30kgでも影響はより大きかったように思います」と山内。

 3位はウイナー同様に一度もペナルティを受けなかった、25号車ケーズフロンティア911GT3RのTetsuo Ogino/野尻智紀/飯田太陽/高木真一組が獲得している。

 ST-1クラスも、777号車D‘station Porsche 991の星野敏/荒聖治/星野辰也/リ・ジョンウ組が圧勝。「今日は完璧なレースでした、今年初めて」と星野敏は語るほど。総合でもFIA-GT3の数台を下して7位につける活躍を見せた。

 ST-2クラスでは20号車RSオガワADVANランサーの下垣和也/松本武士/近藤説秀/伊藤勝一組がクラスポールを奪う。久々の優勝にも期待がかかったものの、決勝では燃料ポンプのトラブルに見舞われ、早々に大きな遅れを取ってしまう。ライバルの後退により、慎重な周回を重ねた59号車DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/桧井保孝組が、第1戦以来の2勝目をマークした。

 ST-3でも多くの車両がアクシデントに見舞われる中、中盤からは62号車DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太/平木湧也組が独走。「本当にチームが一丸となって」と嵯峨、昨年の富士ラウンド以来の勝利を獲得した。

 クラスポールだった小松一臣/杉林健一/安宅光徳/古谷直広組がドライブする、14号車岡部自動車KYOSHIN195 Z34はミッショントラブルでピットスタートを強いられ、ポイントリーダーの38号車MUTA Racing TWS IS350の堀田誠/阪口良平/関口雄飛組はセッティングが今ひとつ決まらなかったばかりか、中盤の接触でマシンにダメージを負って、最後までいつものペースで走ることができなかった。また、スポット参戦した加納政樹/本山哲/安田裕信組の35号車SKT team motoyamaは表彰台争いを制し3位に入っている。

 ST-4クラスでは、終盤に激しいバトルが繰り広げられた。トップをいくのは86号車TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/大嶋和也/井口卓人/蒲生尚弥組で、追いかけるのは13号車ENDLESS ADVAN 86の村田信博/小河諒/元嶋佑弥/島谷篤史組。

 それぞれ最後のドライバー交代を終えた時、すべてを託した蒲生と元嶋の間隔は40秒ほどもあった。同じ条件であれば、とうてい届かなかっただろうが、蒲生はタイヤ無交換で、元嶋は四輪交換だったことに賭けた。

 みるみるうちに差は縮まっていく一方で、元嶋のクールスーツが故障。それでも「本当に気力だ、気力だ、と自分に言い聞かせ……」と、ゴールまでラスト6分で13号車が逆転に成功した。この日はチームリーダー村田の誕生日とあって、最高のプレゼントになったようだ。

 ST-5クラスでは、クラスポールの69号車BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFITの大野尊久/梅本淳一/窪田俊浩/大賀裕介組が、序盤のうちにミッショントラブルを抱えて優勝戦線から脱落。代わってレースをリードしたのは、19号車BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FITの古宮正信/松田智也/吉本晶哉/奧村浩一組。2号車ホンダカーズ野崎with CUSCO&FUJITSUBOの松田秀士/ススム/山下潤一郎/山西康司組とのシーソーゲームの末に、3年ぶりの優勝を飾ることとなった。

 9時間のバトルを終えたスーパー耐久シリーズ。次戦は、10月22、23日に岡山国際サーキットで開催される。