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YAMAHA MotoGP第12戦イギリスGP レースレポート

2016年09月05日 12:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

MotoGP第12戦イギリスGP バレンティーノ・ロッシ
ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
Rd.12 9月4日 イギリス
 
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第12戦イギリスGP
■開催日:2016年9月4日(日)決勝結果
■開催地:シルバーストーン/イギリス(5.902km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:18度
■PP:C・クラッチロー(2分19秒265)
■FL:M・イアンノーネ(2分02秒339)

REPORT
ロッシが自己通算250回目のMotoGPで3位を獲得、ロレンソは8位

 Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシが、シルバーストーンで行われた第12戦イギリスGPで自己通算250回目のMotoGP出場。決勝では激しいバトルの末に3位を獲得した。チームメイトのJ・ロレンソは厳しい戦いを強いられながらも、8位に食い込んだ。

 MotoGPクラスが始まった2002年から出場してきたロッシは、このイギリスGPで自己通算250回目の出場を迎えた。スタートは、予選2番手、フロントローからホールショット。その後、M・ビニャーレス(スズキ)の後ろについて虎視眈々とチャンスをうかがう状況だったが、赤旗によりレースは中断となる。

 現地時間15時54分に再開されたレースでは、ロッシがC・クラッチロー(ホンダ)に続く2番手で第1コーナーへ。しかし1周目の終わりには、ビニャーレスとM・マルケス(ホンダ)に先行を許し4番手へ後退した。やがてマルケスがペースを上げてアドバンテージを拡大するのを見るや、すぐさま追撃を開始。

 1ラップもしないうちにクラッチローとマルケスをとらえ、さらに2.4秒先のビニャーレスに照準を合わせた。

 しかし、後続のライダーたちを一気に引き離すことができない。さらに、後半に入るとリアタイヤがスライドをはじめ、A・イアンノーネ(ドゥカティ)に追い上げられ、クラッチローとマルケスも迫って激しい2位争いに発展。

 2ラップ後にはロッシとマルケスのフェアリングがわずかに接触するなど、ロッシは5番手へと後退した。激しいバトルは続き、その間にイアンノーネが転倒して戦線を離脱した。

 ロッシはマルケスを抜き返すことができないものの、終盤は冷静にタイヤを温存しながらチャンスを待った。そしてついにマルケスがコーナーではらみ、その間に前へ出て3番手へ浮上。続いてクラッチローにも近づいたが0.583秒届かず、そのままの3位でチェッカーを受けた。

 予選9番手、グリッド3列目からのスタートしたロレンソ。第1コーナーへ7番手で進入し、さらに前車との差を詰めていく途中、第2コーナーでのアクシデントでレースは中断された。

 再開後もロレンソは、7番手からポジションを上げようとするが、1周目の最後にイアンノーネに先行されて8番手。それでも離されずについていくなかでS・レディング(ドィウカティ)をパスして7番手を奪い返した。

 さらに上位を目指しペースを上げ、一時はD・ペドロサ(ホンダ)に近づいていったが、A・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)とのバトルとなりリアタイヤを消耗。ペドロサに追いつくことが困難になったロレンソは、追い上げてきたA・エスパルガロ(スズキ)にも先行を許して9番手へ後退。その後イアンノーネが転倒し、ひとつ順位を上げチェッカーを受けた。

 シリーズポイントではロッシが160ポイントに伸ばし、トップのマルケスを50ポイント差で追っている。ロレンソは146ポイントとし、ロッシに続くランキング3位をキープした。Movistar Yamaha MotoGPはこの後、サンマリノGP出場のため、ミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリへ向かう。

MotoGPデビュー戦のローズが13位でポイント獲得
 Monster Yamaha Tech 3からMotoGP初出場を果たしたA・ローズが、シルバーストーンでポイントを獲得する大健闘を見せた。午前中に行われたウォームアップでは変わりやすいコンディションのなかで3番手を獲得し、決勝に向けて自信をつけていた。

 決勝は、シグナル・グリーンとともに飛び出したが、P・エスパルガロが他車と接触するアクシデントによりレースは赤旗中断。再スタートではオープニングラップを17番手で終えたあと、わずか2ラップで14番手まで浮上した。

 その後一旦、ポジションをひとつ下げたが、集中力を保って残り5ラップ、ユージン・ラバティー(ドゥカティ)とのバトルを制して13番手へ浮上。そのままラストラップまで懸命に攻め続け、ポジションをキープしたままMotoGPデビュー戦でチェッカーを受けた。

 一方のエスパルガロは、1周目の第1コーナー進入で他車と接触。グリッド5列目から飛び出し、第1コーナーへ向かう区間でL・バズ(ドゥカティ)と接触し、赤旗が提示されてレースは中断した。エスパルガロはメディカル・センターへ運ばれて検査を受けたが、その後、問題なしとの報告を受け、次回サンマリノGPへの出場を予定している。

COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP

V・ロッシ選手談(3位)
「今日はトップのマルケスに対してたった3ポイントを挽回したけれど、とてもいいバトルができたからうれしいんだ。最初から最後まで攻め続け、決してあきらめなかった結果だよ」

「8~9ラップでリアがスライドしはじめ、マシンコントロールが難しくなってしまったが、それでも終盤ではマルケスとクラッチローとバトルを展開し、最終的に表彰台を獲得することができた。すばらしいレースとバトルだった」

「スタート直後後の第1コーナーから最終ラップの最終コーナーまで、全力で戦い続けなければならないことはわかっていた。そのなかでバトルをエンジョイし、表彰台までたどり着けたことにとても満足しているんだ」

「ドライでは、僕らは決して順調ではなかった。後半タイヤに苦しめられることは想定内で、実際にその通りになってしまった。それでもライバルと好バトルを展開。苦しいなかでも全力で攻め続けた結果、表彰台に立つことができたんだ」

「ランキングへの影響は大きくなかったが、僕にとって、チームにとってはとても重要なレースになった。表彰台を賭けたマルケスとの戦いで2、3回接触した。しかしどれもフェアなものでとてもすばらしかった。後でビデオで見てみたいな」

J・ロレンソ選手談(8位)



「セッティングを煮詰めきることができなかった。ウォームアップで試すことのできなかったセッティングを決勝で試すことになったが、その賭けが裏目に出てしまった。第2グループが目の前まで迫っているのに、どうしてもとらえることができず、そのうちにマシンが激しく振動したので、序盤からペースを落とした」

M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「ギャンブルのようなレースだった。フリープラクティス第4セッションとウォームアップがウエットだったため、決勝では、タイヤもセッティングも、それまでに試したことのないものをチョイスすることになったからだ。いくつかは功を奏したが、いくつかは裏目にでることとなった」

「スタートから1ラップで赤旗が出され、そのあと短い時間で再スタートの用意をしなければならなかった。決勝は激しいバトルになり、バレンティーノは、マルケス、イアンノーネ、クラッチローと戦い、その場にいた全員がエンジョイしていた。そしてバレンティーノは、タイヤの消耗をうまくコントロールして表彰台を獲得。これは、今後のレースへのモチベーションをますます高めることになったと思う」

「ホルヘは厳しい戦いを強いられ、序盤から振動とリアのグリップ不足に苦しんでいた。しかしその状況に最大限対処し8位を獲得した。このあとは4日間の休暇を楽しんでから、次の戦いの地、チームにとっては第2のホームレースであるミサノへ向かう」

Monster Yamaha Tech 3
A・ローズ選手談(13位)
「この週末の出来事に満足している。初のMotoGPで本当に多くのことを学ぶことができたからね。変化し続ける天候に翻弄されたが、初めてYZR‒M1に乗る僕にとっては、どのコンディションもとても難しくて本当に大変だった。さらにフルタンクで走るのも、連続で6周以上走るのも初めてだったんだ」

「そういうわけで最初の数ラップのブレーキングでは何度かフロントをロックさせてしまった。それでも何周か走るうちに、燃料の減少とタイヤの消耗によるマシンの挙動の変化を感じられるようになったんだ。近くを走っているライダーたちからも多くを学びながら、最終的にはトップから40秒差、ロレンソから20秒差でチェッカーを受けることができた」

「MotoGPデビュー戦としては評価できる結果だと思う。わずかながらポイントを獲得できた。もちろん、もっとうまく乗れたかもしれないが、でもそれは、自分自身に対して必要以上にネガティブな考え方だとも思うんだ」

「初のMotoGPで何が起きるか、何ができるかはまったく予測がつかなかった。だからすべてのことを理解できなかったとしても、自分を責める必要はない……。この数日の出来事をしっかり思い返し、次のサンマリノまでにもっと強くなりたい。すばらしい仕事ぶりで僕を助けてくれたチームに心から感謝。与えられたチャンスにも感謝している」

P・エスパルガロ選手談(DNS)



「戦いが始まる前に、すべてが終わってしまった。1周目の第1コーナーでいきなり激しい衝撃があり、僕は地面を転がり、次に自分のマシンとロリスのマシンがぶつかった。このアクシデントは不運だと思っているけれど、その一方で、過去のいくつかのレースだって完全にプラン通りに運んだものはほとんどないんだ」

「今はまだ体中に痛みがあって、とくに右脚はひどいけれど、少し体を休め、マッサージなどをするうちに良くなっていくだろう。決勝グリッドが後ろのほうになってしまったときは、いつも少しナーバスになるんだ。その危険性を今日は再確認させられることとなってしまった」

「今回はコンマ1秒差でQ2へ進出できず、予選はウエット・コンディションでリスクを賭け、決勝はさらに大きな代償を払うことになってしまった。それでも激しい転倒のあとも大きな怪我がなく、次のGPに出場できるのだからラッキーだと思う。ミサノでは運が変わって、状況が好転すると信じているよ」

H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「シルバーストンで見ごたえあるレースが展開され、MotoGPの記念すべき一日になった。しかしチームにとっては、決勝が始まるや否やアクシデントだった。クラッシュが起きて、マシンが空中へ跳び上がるのが見えた。カメラがポルの無事を伝えるまでは、本当に怖い思いをさせられた」

「かなりひどい状況だったにもかかわらず、幸いにもポルは無傷。しかし再スタートすることはできなかった。一方のアレックスはすばらしい仕事を見せてくれた。この数日で多くを学び、決勝を力強く走り切り、MotoGPの常連ライダーを何人かパスした」

「彼自身はもっと高い目標を持っていたため満足はしていないが、私はそのハングリー精神を評価している。チームとしてはポイント獲得を期待したが、その通りの結果を残したのだから見事なものだ。彼の努力に、そして彼を選んでくれたヤマハに感謝している」

「もっと上位に近づきたいと思っているアレックスにとって、次のミサノもまた大きな経験になるだろう。ウイークを通してミスをせず、ドライとウエットで多くの経験をした彼は、もはやMotoGPライダーだと言ってもいいと思う。このあと数日の休暇をとってからミサノへ向かう。今から期待でいっぱいだ」