WTCC世界ツーリングカー選手権の日本ラウンドは9月4日、ツインリンクもてぎでオープニングレース/メインレースが行われたが、ホンダ・シビックWTCCを駆りもてぎ戦にスポット参戦した道上龍は、オープニングレースは11位、メインレースは17位という順位でWTCC初挑戦を終えた。
■オープニングレースはかつての僚友との戦いに
前日の予選からアンダーステアに苦しんできた道上は、決勝日朝には何も走行がないこともあり、ある意味“ぶっつけ”で決勝レースに挑むことになった。迎えたオープニングレースでは、1周目に順位を大きく上げ12番手へ。その後、メディ・ベナーニ(シトロエンC-エリーゼWTCC)がピットインすることで、11番手に浮上する。
13周のオープニングレースで、しばらく道上はかつてJGTCをともに戦ったトム・コロネル(シボレーRMLクルーズTC1)を抑える戦いとなる。ただ、やはり今週末悩まされていたアンダーステアが、道上を苦しめることになった。
「タイヤの使い方というところがすごく難しいですね。短いレースですがいろいろな要素が集まっていて、特にフロントのアンダーステアが厳しく、それをどうやって克服して最後まで走りきったらいいのかが、正直最後まで分からなかったですね」と道上は言う。
それでもなんとかコロネルを抑えチェッカー。オープニングレースは11位となった。「予想外だったのは、トムがチェッカー後にピット入口でうしろからぶつけられたこと。なんで追突してきたのが分からないんです(笑)」と、ややマシンにダメージを負うが、無事にスタートを切った。
■メインレースでは予想外のトラブルが襲う
しかし、メインレースではさらに別のトラブルが道上を襲う。「もともと、シビック自体初めて乗った時から暑さをすごく感じていたんです。室内にはほとんど風が入ってこない。クールスーツを使ったんですが、オープニングレースでは問題なかったんです」と道上。
「ただ、メインレースではちょっと周回したら効かなくなってきて、逆にお湯がまわってきているのが体で分かったんです」
「コクピットの右側にコネクタがあったので外そうとも思ったんですが、ドライブ中にどこにあるのか分からず、スイッチを消してはみたものの、ずっと温かいのが残っている状態で……」
道上は序盤こそ14番手を走っていたが、「脱水状態になりかけていた感じ」になってしまい、8周目にヒューゴ・バレンテ(ラーダ・ベスタWTCC)とコロネルにかわされてしまう。さらにジョン・フィリッピ(シボレーRMLクルーズTC1)にもかわされ、17位でチェッカーを受けた。
「マシンを降りた後も医務室に行きました」とレース後語った道上は、「ひさびさのレースでしたが、オープニングレースを走り終わったあとには『まだ走れるかな』という感覚にはなりました。こういう大きな舞台でどうレースをしたらいいか、流れもつかみきれないまま終わってしまったところはありますが、ちゃんと完走することはできましたし、WTCCらしい激しい戦いも経験することができたと思います」とレースを振り返った。
「接触もありますけど、ギリギリのなかでみんなやっているので、『上手いな』と思いましたね。ただコースの外を走ったり、砂煙も飛んできたりしていたので、前の方を走れたら違ったかもしれません。でも、いい経験ができたと思います」
「タイヤの使い方も難しかったですね。5周くらいはいいんですが、その後はブレーキも奥までいけなくなるし、パワーアンダーは出るしオーバーステアも時々出るしで、そのあたりのコントロールはみんなどうやっているのかな……というのは、もっと走ってみないと分からないですね」
■WTCCは「すごく特殊」
気になる次の参戦については「いきなりポッと乗って出るのは難しいと思うので、出るのであればもっとクルマの特性を理解できるようにしっかりと練習してから出たい」と言う。
「乗っていてすごく特殊だと思いました。今まではダウンフォースもあって、タイヤのグリップが高いクルマに乗ってきましたけど、やっぱり違うんです。昔JTCCで走っていたときよりも難しい印象です」
「あの頃はタイヤのグリップもすごく高かったですし、FFの印象が無かったんです。でもWTCCはエンジンパワーもあるし、かといってタイヤはそれほどグリップしないし……。パワーのかけ方が、足がつりそうになるくらいコントロールが難しいです。スロットルの開け方やブレーキもエンジニアにいろいろ教えてもらいましたけど、なかなかすぐにはできなかったですね」