前戦ベルギーGPの予選ではポールポジションのニコ・ロズベルグと2位マックス・フェルスタッペンとの差が約コンマ1秒だったのに対して、イタリアGPはポールポジションのルイス・ハミルトンと他チームのトップである予選3位のセバスチャン・ベッテルとの差は約コンマ8秒に開いてしまった。ダニエル・リカルドの予選6位がベストに終わったレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「今日のメルセデスは別世界にいた」と脱帽していた。
メルセデスのアドバンテージは予選の速さだけでない。彼らだけがQ2をソフトタイヤで通過。レースではトップ10のうち予選3位から10位までの8人がスーパーソフトでスタートしなければならないのに対して、ハミルトンとロズベルグはソフトでスタートできる利点がある。
ピレリのレーシングマネージャー、マリオ・イゾラは「モンツァではスパ・フランコルシャンほどスーパーソフトのデグラデーションは大きくないものの、レースでは20周以上は厳しいだろう」という。ピレリとしては、ソフト25周前後、ミディアム35周前後の距離を想定している。つまりソフトでスタートできるメルセデス勢は楽に1回ストップでフィニッシュできるのに対して、すでに3周使用したユーズドのスーパーソフトでスタートする8人は、18周あたりまで引っ張らないといけないので計算上かなり厳しい。
ただし日曜日のモンツァは、午後は曇りという予報。そうなれば、スーパーソフトでスタートしても、ミディアムにつないで1回ストップは十分可能だ。問題は、ライバルと想定しているチームがアンダーカットしてきた場合に、どう対応するか。ソフトはスーパーソフトより約コンマ6秒遅く、ミディアムはソフトより約1秒遅いので、渋滞に引っかからなければ2回ストップでも戦える。
メルセデスにも不安がないわけではない。Q2のベストラップを刻んだとき、ハミルトンは1コーナーでブレーキをロックさせて右フロントタイヤにフラットスポットをつくっている。本人は「心配していない」と言うが、モンツァは他のサーキットに比べてストレートスピードが高いので、フラットスポットによる振動も大きい。レースでも再びブレーキをロックさせると悪化する可能性もある。
またベルギーGPで問題になったフェルスタッペンのドライビングについては、レースディレクターのチャーリー・ホワイティングが金曜日に口頭で注意しており、「再び同じことをしたら、白黒旗が振られることになっている」と、フェルスタッペン自身も認識している。
ベルギーGPではスタート直後の1コーナーで、チームメイト同士で接触したキミ・ライコネンは「前回のレースと同じようにならないことを願うが、アプローチはいつも同じ」と覚悟を持ってフェラーリの地元戦に臨む。