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「仕事しない社員」を上司に告げたら、本人にバラされ逆恨み...そんなのアリ?

2016年09月04日 11:12  弁護士ドットコム

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仕事をしない社員の勤務態度について上司に相談したところ、本人にバラされたーー。そんな書き込みがネットの掲示板に投稿された。


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投稿者によると、上司は仕事をしない社員本人に対して、「お前が仕事しないから(投稿者が)一緒に入りたくないって言ってたからはずすね」と伝えたそうだ。投稿者はその社員から逆恨みされたという。


投稿者が上司に抗議したところ、「いや、こっちが勝手に動かしたって思われたら困るじゃん。なんでこうなったかって過程を話さないとさ」と言われたという。


他の社員の勤務態度について上司に相談した内容を、上司からその社員本人に伝えることに法的な問題がないのか。國安耕太弁護士に聞いた。


●相談内容を漏らした上司の責任を問える?


「今回のケースでは、(1)就業規則に守秘義務についての規定がある場合、(2)就業規則に規定はないが、上司と部下の間で『相談内容は秘密にする』という口約束があった場合(3)就業規則の規定も、口約束もない場合、という3つのパターンごとに結論が異なります。それぞれについて考えてみましょう」


國安弁護士はこのように切り出した。


「まず、(1)のパターンから解説していきます。たとえば、就業規則に『他の従業員から、業務に関する相談を受けたときは、当該従業員の許諾なく、相談内容を第三者に開示、漏えいしてはならない』などのように明確に規定されているのであれば、守秘義務違反として上司や会社の責任を問える可能性はあると思います。


とはいえ、このような条項が就業規則に規定されていることは、極めてまれでしょう。私自身、これまで多くの企業の就業規則を見てきましたが、このような規定は見たことがありません」


では、(2)上司と部下の間で口約束があった場合はどうだろう。


「(2)については『秘密を漏らさない』と約束をした上司個人に対し、契約に基づく守秘義務違反として責任を問える可能性はあります。契約は口頭でも成立します。ただし、この場合、このような約束があった事実および上司が秘密を漏らしたことで、どのような損害が発生したかといったことを立証するのが難しいかもしれません。


なお、(2)のパターンでは会社の責任を問うことは難しいでしょう。そして、(3)就業規則の規定も、口約束もないというパターンの場合は、会社はおろか上司に対しても責任を追及することは難しいでしょう」


●内部通報者を保護するための法律がある


「なお、本件とは直接関係はありませんが、労働者の内部告発行為を保護するため、平成16年(2008年)に『公益通報者保護法』という法律が制定(公布は平成18年)されました。これは、労働者が、自身が勤務する事業所や企業内部で通報(いわゆる内部告発)したとしても、不当に解雇されたり、組織内で不当な扱いを受けないように保護するためのものです。


会社によっては、この法律の制定を受けて、内部通報に関する規程が制定されていることがあります。会社ごとで規定の仕方や内容は異なりますが、『秘密保持』『守秘義務』に関する規定を設け、内部通報した人物や通報された内容を開示してはならない、と決めている場合もあります。


このような要件に該当する場合は、上司や会社が責任を負うこともありますので、注意が必要です」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
國安 耕太(くにやす・こうた)弁護士
2002年早稲田大学法学部卒業。07年中央大学法科大学院修了。08年弁護士登録。2010年中央大学法科大学院実務講師(現任)。11年中央大学法学部兼任講師(現任)。13年ノースブルー総合法律事務所開設、代表弁護士に就任。14年15年財務省税関研修所委託研修講師(知的財産法)、大田区法律相談員。第一東京弁護士会民事介入暴力対策委員会委員、総合法律研究所(知的所有権法)委員
事務所名:ノースブルー総合法律事務所
事務所URL:http://north-blue-law.com/