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会見ピックアップ:フェラーリ vs メルセデスに水を浴びせた冷静な「ひとこと」

2016年09月03日 19:01  AUTOSPORT web

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2016年F1第14戦イタリアGP 金曜会見
F1イタリアGPの金曜会見は、前日のドライバー会見以上にイタリア色の強いものとなりました。前列にマッティア・ビノット(フェラーリ)、アルド・コスタ(メルセデス)、ルカ・フルバット(マノー)が並び、後列にはイタリア・チームのトロロッソからフランツ・トスト、イタリアのタイヤメーカーであるピレリのポール・ヘンベリー、そしてイタリアのフェラーリやダラーラと提携しているハースのギュンター・シュタイナーと、全員がイタリアと何らかの関係がある人ばかり。

 とくにコスタは元フェラーリだけに、フェラーリもビノットのことも、よく知る存在。そこで、ふたりにメルセデスとフェラーリの関係を探るような質問が多々寄せられました。

 王者メルセデスのコスタに「フェラーリにアドバイスするとしたら?」という答えにくい質問が投げかけられると、コスタは「私もフェラーリにいたときは、いまマッティアがやっているように全力を尽くしたんだけどね……」と笑いながらも、「(うまくいかないのは)何か大きな理由があるのではなく、エンジンや空力やサスペンションや、いろいろな要素が複雑に関わりあっているものだ。それが現在どうなっているかわからない以上、アドバイスなんて不可能だよ」と、エンジニアらしく理路整然とマジメに回答。

 フェラーリのビノットは、新型パワーユニットを投入した効果を聞かれると「まだはっきりとはわからないが、明日(土曜)になればわかるだろう。メルセデスがベルギーGPで5トークンを使ったことも知っているし、彼らも明日はその効果を出してくるだろうからね」と、隣のコスタへニヤリと笑いかけます。

 メルセデスとフェラーリの速さの差について聞かれると、ビノットが「我々は自分たちのことに集中しているし、向こうが何をやっているのか知らないからね」と牽制。コスタも「プログラムの違いもあるしねぇ……我々も自分たちの仕事に専念しているし」と、直接対決を避けます。

 パワーユニットの差は縮まっているのではないかと聞かれると、コスタが「間違いなく差は縮まっているし、規則が同じである以上は必然的なことだ」と答え、もともとパワーユニットの開発責任者であったビノットも「アルドに賛成だ。我々も近付いたしかつてほどの差はない」と明言。

 しかし、そこにトロロッソのトストがひとこと。

「メルセデスは、まだ本気のポテンシャルなんて見せていないと私は思うよ」

 過激ではないものの訥々と率直に語るトストの言葉が、イタリア一色の金曜記者会見を微妙な空気にしたのでした。